管理部門を志望する学生の本音。

ここから数回は、管理部門の全体論です。管理部門とは、いわゆる内勤の事務のセクション。総務とか人事とか経理とかね。営業事務や生産事務、一般事務も、事務という意味では管理部門の範疇です。

この管理部門を志望する学生は結構存在します。でも管理部門の役割を理解した上で、この部署に配属になりたい!と主張する学生はほとんどいません。管理部門を志望する学生に多く見られるのが、

①営業部門に行きたくないから
②本社の仕事がスマートでカッコいいってイメージだから
③事務はノルマもないし楽チンだから
④本社の管理部門はエリートっぽいから

などという理由(本音ベース)です。この4つが圧倒的。付随する理由で、商品企画やマーケティングに行きたい!!ってもの。でも、それもこれも、突っ込んだ質問をしていくと大体の学生に共通するのが、上記4つの理由に由来するもの。これは、会社で働くということを深く考えていない典型です。特に④の理由は、面接で馬鹿正直に言ってしまったら、無意味極まりないですね。仕事の基本は全て営業ですから。イメージで管理部門を選ぶ学生は真っ先に落ちるでしょう。

・・・と、偉そうに書いている僕自身が④の理由でしたけど(笑)。

管理部門の業務は、分かりそうで分からない。

僕が新卒の時に管理部門を志望した理由を④以外に挙げろと言われたら、「本社の経営部門に行って会社を大局的に見たい」というものでした。でも、じゃあ実際にどの部署がどんな仕事をしているのか?というのはさっぱり分かっていなかったし、勉強もしてなかった。非常にダメな学生でした。だからせめて、今から社会に羽ばたこうとしている学生の方には、的確に理解してほしいと思っています。

読んで分かりやすい部署はまだいいですよね?例えば「人事部」とか「経理部」とか。やっている仕事そのものは分からないでしょうが、でもやってる業務のイメージはなんとなくつきませんか?社員を扱っているのだろうなあとか、数字を扱っているのだろうなあとかね。でも例えば「総務部」って何やる部署か分かりますか?「広報部」ってどうですか?

僕は今まで新卒の面接をやってきて、希望する配属先はあるの?と聞いた時、「人事部がいい」とか「経理部がいい」とかはたくさんいましたが、「総務部に行きたい!総務部でこれをやりたい!」と言い切った学生に今のところお目にかかってません。総務なら事務ができるだろう、という女子はたくさんいますけど。

まあ、このように管理部門の業務は簡単にイメージできそうですが、実は、あらためて考えると、分かりそうで分からないのです。でもそれは、管理部門に所属して仕事している社員以外には、例え社内の人間であっても分かりにくいという、そういう部門でもあるんですけどね。どういう意味かは、後ほど書きます。

大企業にもベンチャー企業にも通じる企業の公式とは?

会社の仕組みというのは、ある意味、非常に簡単です。何万人という社員を抱えている大企業であっても、今からのし上がって行くことを虎視眈々と狙っているベンチャー企業も、基本的な仕組みは同じ。これは会計上の観点から見るとよく分かります。

会計上と言ってもそんなに難しい話ではありません。第1回で書きましたが、会社とは利益をあげてナンボの世界。簿記を知っている人なら分かると思うけど、これって、

【売上高 ― 売上原価 ― 販売管理費 = (営業)利益】

で表すことが出来ます。まずは、この公式を覚えておいてほしいと思います。売上高とは、文字通り商品を売ることによる収益。どんなに聞こえの良いフレーズで企業理念を訴えたところで、売上がなければ絵に書いた餅。どんな企業だって、まずは1円でも多くこの売上高をあげようと汗水たらして頑張っています。ここを受け持つ箱(部署)が「営業部門」です。

この公式における管理部門は、主に「販売管理費」について責任を持つ部門です。ここは、「発生する費用を1円でも合理的に減らす」といった、減らすということへの使命を負った部門です。しかも管理部門は、売上を上げることのない部門。商品持って、売って歩くような営業活動してないのだから。机に座った仕事や、社内で完結する仕事が圧倒的。雨が降ろうが槍が降ろうが、暑かろうが寒かろうが、オフィスにいるから関係ない。外回りの営業マンからすれば、たまにムカつくこともあるかも(笑)。

管理部門の仕事内容はどの業界でも同じ?

管理部門は、売上を上げることがないので、実は、その存在自体が会社の利益を減らしてしまう因果な部門なのです。売りは上がらない、つまりゼロだけど、管理部門の社員の給料は発生するし、電話代とかもかかる。売上がゼロなのだから、利益は常にマイナス。

じゃあ、いらないじゃん!と思ってしまいがちですが、でも絶対に必要な部門なのです。ここがなければ会社は成り立ちません。その証拠に管理部門は、業種業界を問わず、全ての会社に存在します。箱(部署)の名称は会社によって異なりますよ。管理部門全体を「管理部」と総称している場合もあるでしょうし、キッチリと箱を並べている会社もあるはずです。しかし部門としては、常に利益を減らすにもかかわらず、どこの会社にも存在する。

また、その業務内容も業種業界を問わず、根の部分は一緒です。なぜこれが断言できるかというと、僕は今まで製造業、サービス業、商社産業、IT通信業、広告業、コンサル業、人材紹介業、教育産業などで管理部門を仕切ってきましたが、業種は違えど仕事はできる。つまり根本的な業務内容が同じなのです。これは、管理部門の仕事は、法律や基準を相手に仕事をしている場合が多いからなのです。だからどこでもやっていける。しかし一方で、本当にいい仕事をしようと思えば、管理部門は会社の成長の源泉、つまりどうやって売上を上げて利益を出しているか?を把握しておかないとできません。これも詳しくは後で書きます。

管理部門を希望する学生は、男女問わず(女性の方が多いですね、実際は)多いです。でもその役割や適性が分かっていない人が多い。僕がこれから書く記事で少しでも選ぶ基準になれば、と思います。

つづく。

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