統計学や機械学習などデータ解析に必要な知識を体系的に学び活用した経験または,プログラミング言語を用いて解析をした経験を具体的に教えてください. (200文字以上~800文字以下)

大学院の研究で「合意形成会議の新たな分析手法の構築」を行っている.新手法は統計ソフトRでプログラミングされ,テキストマイニングとネットワーク分析という2つの柱から構成されている.研究背景として,合意形成会議とはある公共事業について,専門家による司会運営のもと利害関係者で話し合い,事業内容を決める場である.しかし,既往の研究では会議の分析手法が議事録の読み込みによるもので,合意形成過程を満足に分析することが出来なかった.そのため現在でも適切な運営方法が分かっておらず,利害関係者の対立で東北復興の遅れなどを招いている.そこで,本研究では合意形成会議の議事録を活用した新手法の構築を目指した.具体的には,第一段階で議事録にテキストマイニングを行い,参加者の発言内容を数学的に扱えるようにしたのち,第2段階でネットワーク分析を行い,会議内の力関係を推定する.その上で,会議成功例に新手法を用いて合意形成と力関係の相関関係を明らかにする.
研究当初は専門分野から外れた知識を要求されたため,新手法構築に対して全く検討がつかなかった.しかし「新たな課題に挑戦し,自分を高める」という信念のもと,修士1年のときから独学し,社会心理学会主催の勉強会にも参加するなどして,能動的に知識を習得した.また情報収集も継続し,国内外の論文に100編以上目を通した.そして自然言語処理やベイズ推定,ネットワーク分析の知識を身に付けた.その結果,テキストマイニングでは最新手法であるトピックモデルを使用し,発言内容をより正確に推定できるようになった.また,ネットワーク分析でも最新の研究例に基づく,より妥当な計算手法を採用した.いずれも最先端のものであり,土木分野では前例がない.新手法を用いた分析結果は,査読付き論文集に投稿予定である.この経験を通じ,自分の強みである「課題解決力」への自信を深めることが出来た.

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