<事例の分析> 居酒屋でのアルバイト経験を掘り起こす。

この自己PRを考えたのは、現在社会人3年目です。仮にAさんとしましょう。

このシリーズ、ここまでの繰り返しになりますが、この<事例1>の自己PRが良いとか悪いとか、そんな次元で今後、書いていく気は全くないし、それはナンセンスです。Aさんの事例に限らず、自分で一生懸命考えた自己PRというのは、全部正解。

ただし、これを面接でアピールした後の、面接官の突っ込みに対応できるようにしておかなければなりません。自己PRの目的は、会社サイドに自分の人物像をできるだけ的確に伝えること。最初に学生が語る自己PRはあくまでもキッカケに過ぎません。

Aさんは、アパレルを中心に接客販売ができる業界を中心に就活をしている子です。将来的には店舗運営や独立して経営者的な仕事で自己実現を図っていきたいと考えている素晴らしい夢を持った学生でした。

今では、社会人3年目に突入していますが、とにかく仕事は激務らしい。残業もハンパじゃないしね。学生時代に思い描いた夢と、社会の現実に悩みながらも、でも、まだ辞めずに頑張っています。結婚とか、大人の悩みも出てきたようですが(笑)。

今回挙げた事例は、履歴書に記載する自己PRバージョンです。ESに書くバージョンは、もう少し長くアレンジしているのですが、どっちにせよAさんは、アルバイト経験をネタにしています。やはり学生にとって、アルバイトの経験というのは自分の好奇心と向上心を煽る出来事がたくさんあって、自己成長を促すみたい。僕もそうでしたけどね。

キーワード「状況をすばやく判断できる」から手のひらを考える。

Aさんが自分で選んだキーワードは、「状況をすばやく判断できる」というものです。彼女がアルバイトをしていた居酒屋は、他のチェーン店舗と比較しても、仕事量が多い激務で有名な店舗だったようです。それは僕がAさんと雑談まがいの話をしている時に判りました。そんな大変な店舗で、Aさんは結構長い間、仕事をしていた訳です。僕ならすぐに辞めますね。根性ないので(笑)。

実際、Aさんの友達や家族も、あまりのハードワークと拘束時間の多さを憂慮し、辞めることを勧めてきたらしい。最終的には、彼女もその居酒屋のバイトを辞めてしまうのですが、途中で辞めてしまったことを本当に悔しかったと、今でも思っています。バイトの思い出を聞いたとき、途中で辞めてしまったこと、というのが咄嗟に出てくるところからも、本気度が伺えます。

Aさんとは、実際に会って話したことがあるのですが、彼女は背も小さく、線も細い可愛らしい子です。そんな彼女の外見の第一印象からは、そこまでバイタリティがあるようには、お世辞にも読み取ることができません。でも実際には、激務環境で長い間頑張ってきたみたいだし、途中リタイヤしたことを悔やんでもいる。この辺りに、Aさんが気づかない、というか気づけない「手のひら」が眠っているような気が、僕はしました。

事例1から波及させて膨らませる。

そこでAさんの場合は、キーワードはとりあえず棚の上に置いといて、バイトの話をざっくばらんに聞くことと、あとは今まで書いた自己PRや、他の質問に対して書いてきた回答を教えてもらうことにしました。

以下はAさんの他の回答です。

<事例1-②> 学業で力を入れたこと

経営に興味があった私は、本来の履修外のゼミに入りました。当初はついていくのがやっとの状態でしたが、1回も欠席せず、積極的に質問し、早く理解できるように努めました。その結果、財務諸表を読み、業界研究をすることにより、企業の経営状態を把握できるようになりました。今ではメンバーとも打ち解けて、とても楽しく取り組んでいます。

<事例1-③> 学業以外で力を入れたこと

私が力を入れたことは、居酒屋でのアルバイトです。1年半、接客リーダーをしていました。当初は、スタッフ間に確執がありとても働きづらい環境だったのですが、なんとかそれを変えようと努めました。日々の業務も本当に厳しいものでしたが、結果的にここで前向きに物事を捉えるということを学ぶことができました。

ここからAさんの「手のひら」って、皆さん見えますか?

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