抑えておきたい、日本の労働市場の「キホン」

2012年12月に始まったとされる「アベノミクス」による景気の回復は緩やかに継続していて、戦後3番目の長期好景気と言われています。
一方で、日本の少子高齢化による労働人口の減少は、同じ時期から既に始まっています。

「人材を採用できれば仕事はいくらでもある」

私がコンサルタントとして経営アドバイスをしている企業は、口を揃えてそう話します。
景気が回復しているのに、従業員が採用できない。
人材採用の難しさを表す「有効求人倍率」も1.48倍(2017,4)
1人を採用するのに企業が1.5社、獲得競争をしているという意味なのです。
これは、バブル時代以来の高水準。
バブル時代を知っている私からすれば、当時の「浮かれた状況」には程遠いのですが、人材の採用は、まさしく今が「バブル」で、さらにこの状況は続いていくと考えています。

中小企業が熱視線!新卒採用市場

では、新卒の採用市場はどうなのでしょうか?
新卒の内定率は、リーマンショック以降、年々改善しており、今年4月では97.6%となっています。
安定的に企業を存続、成長させたい大手企業は、景気の波に影響は受けつつも、新卒採用を毎年行い、定年まで安定的に雇用を継続させてきました。
一方で、中小企業はそこまでの体力がなく、採用ブランドとして大手に負けてしまうこともあり、中途採用を中心とした採用活動を行ってきました。
しかし、前述したように人材採用のニーズは年々高まる中で、中途採用は本当に難しくなったのです。
社会人経験や業務知識もある中途採用ができなくなった中小企業は、未経験でも良いのでなんとか新卒を採用しようと躍起になっていて、私も多くの相談を受けています。
「そんなに採用は簡単ではないですよ」
「育成体制はどう考えますか?」
「給与体系を整備しないと・・・」

多くの課題を乗り越えても、なんとか新卒採用したい。そんな中小企業が多く見られます。

出典:厚生労働省「平成28年度大学等卒業者の就職状況調査(4月1日現在)について」

中小企業が熱視線!新卒採用市場

まだまだ長い、今年の就活

先日も、大手企業の採用担当の方とお会いしました。
6月に入って内定を出そうとしていた学生から、「他社に行きたい」と言われ、採用そのものが振り出しに戻って、「これからどうすれば良いでしょう?」との相談でした。

解禁時期が2か月早まって2年目。
2か月早まったということは、企業からすれば2か月間、入社式までの期間が延びた訳です。
どのように内定者を確保し続けるのか?
辞退されたときに、どうやって採用活動を始めたらよいのか?

大企業ですら、悩みは深いのです。

ここまで読んでいただければ、もう、お分かりですね。

「選考初日で内定率63.4%」
何かもう終盤戦的な新聞報道もありますが、そんなことはありません。
もう一度、ギアを切り替えて、いきましょう!

金子正一プロフィール

1987年筑波大学第三学群社会工学類卒業。
同年、株式会社リクルートに入社。入社2年目まで、新卒採用プロジェクトを兼任。
フロムエー東海版、タウンワークなどの求人事業のスタートアップに事業企画部門の責任者を歴任。
2011年 事業統括室長
2012年 リクルートグループの分社化に伴い、株式会社リクルートジョブズ営業統括本部執行役員。数多くの新卒学生面接を担当。
2016年 退任 株式会社51,Co-Creation Office設立。
一部上場企業から街の中小企業まで、幅広く経営支援、コンサルティングを行う。
特に、労働人口の減少に伴い、人材採用、育成、定着のテーマが、経営課題として大きくクローズアップされてきており、経営支援の大きなウエイトを占めている。

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