そもそも気配りは自己PRに使えるのかどうか

気配りは仕事上ではとても重要な能力です。強みとしてアピールできるポイントではありますが、自己PRとしてそのまま「気配りができる」と話して好印象を覚える面接官は多くありません。「気配り」という言葉はすごく曖昧だからです。

気配りには、「周囲の状況を正確に判断する」「相手の気持ちになって考える」「やるべきことを率先して行える」など、一言でも様々な意味が込められています。つまり、単純に「気配りができる」と言われても、言われた方としてはどんな風に気配りができるのかがわからないのです。

自己PRでは、自分がどういう人なのか具体的に示していかないと意味がありません。ただ「気配りができる」というだけの自己PRでは、良い印象を持ってもらうことは難しいでしょう。

「気配りができる」ことを自己PRしていくのであれば、その言葉をそのまま使うのではなく、ちょっとした工夫を加えていきましょう。表現の仕方を少し変えるだけで聞いた人の印象に残る自己PRにできます。

そもそも気配りは自己PRに使えるのかどうか

自己PRで気配りを上げる際に一体どういった部分を押さえないといけないか

先ほど触れたように、気配りができることを自己PRの題材として通用させるには、ちょっとした工夫が必要です。ではどんなことを工夫していけば良いのでしょうか。以下のポイントを押さえていけば、曖昧だった気配りという言葉にグッと具体性が出てくるはずです。

気配りができることが伝わるエピソード

自己PRで大切なのは具体性です。どんなものでも具体的なエピソードがあれば伝わりやすくなります。つまり、気配りを題材にするなら、「この人は気が利く人なんだな」と感じられるようなエピソードを盛り込むことで、うんと伝わりやすくなるのです。

例えば、「アルバイト先でお客様から働きを評価してもらえることが多く、後輩の指導係を任された」「自分が機転を利かせたことで部活の運営が円滑に運んだ」のような内容が具体的なエピソードになります。

気配りを行うことで一体どのような変化が見られたか

気配りを自己PRに使うには、エピソードに伴ってどういった変化が見られたかを伝えることも大切です。前項で挙げた例で言えば、ただ「アルバイト先でお客様からの評判が良かった」と言うよりも「後輩の指導係を任された」と後に続く方が説得力も増すことがわかります。

また変化を伝える際には、以前はどうだったのかを一緒に伝えるとよりわかりやすい内容になります。例えば「当初は引っ込み思案で接客が苦手だったけど、克服しようとアルバイトの中でも率先して接客を行うよう努力した」といった具合です。この場合気配りができるだけでなく、「苦手なことも努力で乗り越えられる人なんだな」と思ってもらえるでしょう。

アルバイトや学校等で普段どのような気配りを行っているか

以上のような理由から、まずは自分の私生活から具体的なエピソードを見つけ出す必要があることがわかります。アルバイト先や学校などで普段自分がどういった気配りをしているか、「気配り」ということに焦点を当てて自分の行動を振り返ってみてください。

自己PRの題材に選ぼうとしているということは、気配りに対してそれなりに覚えがあることの表れです。注意深く振り返ってみれば、必ず具体的なエピソードも浮かんでくるはずです。

仕事で今後どのように気配りを活かしていくのか

具体的なエピソードが浮かんだら、自分ができる気配りをどのように仕事で活かしていけるかを考える必要があります。採用試験での判断ポイントは、その人が入社してからいかに力を発揮できるかどうかだからです。自分の強みをアピールしても、それを仕事と結びつけられなければ就活においての強みにはなり得ません。

アルバイト先での経験なら、「お客様の立場になって考えることができる」「状況を迅速に判断して対応できる」など直接仕事に繋げることができます。また仕事をする上で人間関係が何より大切になってくることを考えると、部活や学校での私生活のことも十分繋げられるでしょう。

コミュニケーション等を行う上で気を付けていること

他人とコミュニケーションを取るときにどんなことに気を付けているでしょうか。自分が他人と接するときの心がけやクセは、気配りのエピソードを考える上でのヒントになります。例を挙げるなら「常に笑顔を絶やさないようにしている」「相手の話をよく聞いてから話すようにしている」といったところです。

そういった心がけやクセに対して、「何がきっかけでそうするようになったのか」「その心がけをしていて、良かったと思った出来事はないか」などと考えていくと、自己PRに使えるエピソードも見つかりやすくなります。さまざまな視点から自分自身を掘り下げて、自己PRになるような具体的なエピソードを形作っていきましょう。

自己PRで気配りを上げる際に一体どういった部分を押さえないといけないか

自己PRの書き方について

自己PRは内容だけでなく、伝え方も重要です。一生懸命考えた自己PRのエピソードも、伝え方が悪いと良い印象には繋がりません。良い伝え方をマスターするために、まず人に伝わりやすい文章の書き方をおさえましょう。文章が作れるようになれば、伝わりやすい話し方もできるようになっていきます。ここではエントリーシートでの自己PRを題材に、伝わりやすい文章の書き方を解説していきましょう。

文章の構成を理解する

伝わりやすい文章を書くコツは「結論→具体的なエピソード→結果」の順番で構成していくことです。結論というのはアルバイトの例で言えば、「私は学生時代のアルバイトを通して、相手の立場に立って考えることの大切さを学び、身に付けることができました」といった具合でです。

その次の具体的なエピソードは、前項で挙げたような「お客様に評価された」「後輩の指導係を任された」などの内容です。そこから結果に結び付けていくのですが、「こういった経験から仕事上でも顧客目線の対応ができると感じています」など、仕事に直接関係のある内容にするのが効果的です。

一貫性のある文章にする

中には自己PRに複数のエピソードを盛り込みたいと考えている人もいるではないでしょうか。エピソードはできる限りしぼった方が良いのですが、複数に渡る場合はそれぞれに一貫性を持たせることで効果の高い内容にできます。

例えば、「アルバイト先で後輩の指導係を任された」という話は「部活では部長として地区大会優勝までチームを引っ張ることができた」などの話と繋げてみましょう。そうすることで、「この人は周りから信頼されているんだな」と印象づけられます。このように自己PRでは、一貫性がある内容を意識して書くことで強い説得力を持たせられます。

誤字や脱字を無くす

誤字や脱字は、面接官に雑な印象を与えてしまうことになります。書かれている内容が良いのに、その他のことで減点されてしまうのはもったいない話です。

ただ、誤字脱字というのは、どうしても自分で確認するだけでは見落としてしまう場合があります。エントリーシートを提出する前には第三者に添削をお願いすると良いでしょう。第三者に目を通してもらうことで思わぬ間違いが見つかり、アドバイスをもらうこともできます。企業に提出する大切な書類だということを念頭に置き、入念なチェックをするよう心掛けておきましょう。

自己PRの内容を深めるためにアルバイト等での様子を誰かに聞く

自分で考えたエピソードを自己PRとして書く前に、周りに「自分はどんな人に映っているか」を尋ねるのも効果的です。自分が気付けなかった点を教えてもらえてり、第三者から見た客観的な事実を伝えるほうが、自称するよりもより説得力のあるものになります。

自分で「気配りができます」と言っている人より、周りから「気配りができるよね」と言われている人の方がその情報の信用度は高くなります。

分かりやすくシンプルにする

当然ですが、文章はシンプルな方がわかりやすくなります。シンプルにするには、伝えたい内容をしぼることに加え、一文を短くすることを意識すると良いでしょう。適宜句点を打って、区切っていくことが文章をわかりやすくするポイントです。

エントリーシートでは、記入欄を空白なく埋めなければという考えから、多くの人が一文を長く書きがちです。ただし、句点が少ないとわかりづらい文章になってしまいます。まずは句点を打つ位置をしっかり意識することが、シンプルでわかりやすい文章への一歩となります。

自己PRの書き方について

気配りを題材にした自己PRの例文

伝わりやすい良い文章の書き方のポイントを見てきました。これらのポイントを押さえて自己PRを作成していけば、具体性のある説得力の高い文章になります。ここからは紹介した方法を使って、いくつか例文を挙げていきます。

例文その1

『私は学生時代、部活動を通してチームをまとめる力を身に付けました。私の所属していたバスケットボール部は、入部当初は大会でも一回戦に勝てるかどうかという実力でした。その原因は、行っている練習が部員それぞれのやりたいものと大きく異なっていることにあると私は気付きました。

そこで私は、一人ずつ時間を取ってどんな練習がしたいのかを聞いて回り、新しい練習メニューを提案したのです。自分のやりたい練習がメニューに盛り込まれると部員の士気は一気に上がっていき、最終的には地区大会を優勝できるほどの実力に導くことができました。部活動で身に付けたチームの意見をまとめて新しいものを生み出す力を、仕事上でも企画を提案する場面などで役立てていきたいと思っております。』

以上の例文では、「チームメイトの意見に耳をかたむけて、そこから新しい案を生み出す」という点がアピールポイントになっています。人の意見をしっかり聞けるというのも、また気配りなのです。

例文その2

『私は学生時代のアルバイトで、相手の立場に立って考えることの大切さを学びました。元々私は人とコミュニケーションを取るのがあまり得意ではなく、接客に対しても苦手意識を持っていました。ですが、それを克服しようとアルバイトの中でも率先して接客をするよう努力しました。

接客にあたっては、お客様の立場に立って店員がどういった対応をするべきなのかを徹底的に考えました。その結果お店のアンケートで私の名前を指して、お客様から接客を褒めていただける機会を何度も経験しました。相手のことを考えて接していると、本当に伝わるのだなと実感させられる私にとって忘れられない体験となりました。お仕事をさせていただく上でも、お客様の気持ちを大切にして、日々接客の向上に努めていけることを約束します。』

以上の例文は、アルバイトの接客を通してお客様への気配りを身に付けていったことを表したものです。努力することに喜びを感じた具体的なエピソードを盛り込むことで、仕事上でも気配りの質をさらに向上させていけるような印象を与えられます。

気配りを題材にした自己PRの例文

気配りを自己PRにする際の注意点

気配りを自己PRの題材にするときには、注意しておくべきことがいくつかあります。考えたことを無駄にしないためにも、以下の項目には特に気を付けるようにしておきましょう。

企業にどのようなメリットがあるかを伝えないといけない

自己PRは仕事と関連付けることが大切ですが、その際に相手の企業がどのような企業かということも意識しておかなければいけません。気配りはどんな仕事にも役立つ能力ですが、企業は自社の特徴をよく理解した上での自己PRを評価するからです。

つまり、どんな仕事でも役立つことをアピールするよりも、その企業の方針に合うことを伝えた方がより高評価を得やすいのです。

このことを考えると、自己PRは毎回作り直す必要があります。作り直すごとに企業のこともしっかりと研究するようにしましょう。そうすれば自ずと何をアピールすれば良いのかも見えてきます。

面接や連絡時の態度もしっかりしないといけない

気配りをアピールポイントにするなら、面接官の話をよく聞いていることを態度でも表していきましょう。気配りができることが強みと言っておきながら、話を聞く態度が悪いなどと思われては、自己PRが台無しになってしまいます。また、話を聞いているかどうかは言葉よりも表情に出るので、その点も念頭に置いておきましょう。

また企業と連絡をする際の対応も気を付けておかなければいけません。ここで面接時とあまりに対応が違うようでは、企業の人に「面接用に用意された対応だったのかな」と不信感を抱かれかねません。

面接官だけでなく他の就活生にも気配りをしないといけない

特別に気配りができる人は、周りの人に分け隔てなく気配りができるものです。選考での面接では気配りの対象は面接官、そして自分と一緒に面接を受ける就活生も入ります。

他の就活生が話をしている間も油断は禁物です。他の人が話している時の態度も面接官はきっちり見ています。面接官は採用のプロであり、毎年大勢の就活生を相手にしてきているのですから、「気配りができる振り」は簡単に見破られてしまいます。

企業に電話をかける際の時間帯に注意しないといけない

面接を受ける企業に確認しておきたいことがある場合など、こちらから電話をかけることもあるでしょう。その場合、営業時間内であればいつ電話をかけても問題がないように感じるかもしれませんが、ここも気配りの差が出るポイントになります。

始業開始直後となる朝一は忙しいものですし、昼休みの前後は下手をすれば休み時間の妨げになります。また終業間近の時間帯も避けた方が良いでしょう。企業に電話する場合、営業時間を踏まえた上でこれらの時間帯を除く午前中、もしくは午後にかけるのが気配りになります。

気配りを自己PRにする際の注意点

まとめ

気配りができるということは、具体的なエピソードを加えることで自己PRの強力な題材になります。自分の強みを具体的にしていくことは、自己PRに役立つだけではなく、新たな自分の可能性に気付くことにも繋がっていきます。就活をしていく中で、「こういうことが得意なら、この業界も向いているかも」という場面に出くわすこともたくさんあるでしょう。

就活にはそういった自分の可能性に気付くチャンスがたくさん隠されているのです。自己PRの作成を機に、自分自身を振り返ってみてください。良い自己PRの作成に役立つだけでなく、自分の将来を深く考えることにもつながっていきます。

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