粘り強い人ってどんな人?まずは特徴を押さえよう
一言に「粘り強い」といっても、多様な意味が込められています。それ故に単にそれだけをいわれても、面接官は判断に困ってしまうのです。粘り強い人とは一体どんな人のことをいうのか、理解を深めるために、まずはポイントを押さえていきましょう。
忍耐力がある
特徴の一つにはまず、忍耐力が挙げられます。忍耐力は読んで字のごとく、「忍んで耐える力」です。つまり困難に見舞われても、じっと耐える強さを持っているということです。
アルバイトをしている人ならわかるはずですが、給料を貰うためにはある程度の我慢をしなければいけません。何も労せず報酬に辿り着けることなどなく、それを得るためには必ずある程度の我慢が必要となります。忍耐力のある人は多少の重圧には潰されません。よって最後は大きな報酬に辿り着けることも多いのです。
コツコツと地道な努力ができる
コツコツと地道に努力できる人も、粘り強い人だといえます。地道に努力するというのは、すぐには結果が出なさそうでも、結果が出るまで続けることができることです。例えばスポーツにしても、始めたてで急に上手くなることはありません。何年も練習を積み重ねてやっと上達するものです。プロのアスリートの生い立ちを辿っていると、コツコツと頑張った経歴が必ずあります。
スポーツは好きなら下手でも楽しめるかもしれません。しかし地道に頑張れる人とは、一見楽しくないことでも頑張れる人のことをいいます。本人は楽しんでいるのかもしれません。ただ、側から見ていると「よく頑張れるよな……」と思わされることがほとんどなのです。
物事に対して意欲的である
そして粘り強い人は、物事に対して人より意欲的な場合も多いです。これは一見直接結びつかない要素にも感じますが、粘り強さはやる気があってこそ生まれるものです。
向き合っている物事に対してやる気がなければ、苦しい状況を耐えたり、地道な努力を続けたりはできません。「早くできるようになりたい」と人一倍強く想っているから、苦しい状況にも耐えられるのです。
どうして「粘り強さ」がアピールポイントになるの?
ここまでで粘り強い人の特徴をざっと見てきました。その特徴を見るだけでも、優れた長所になることは伝わってきますが、一体どういった部分が企業から評価されるのかが気になるところです。ここからは粘り強いことが、どうして就活のアピールポイントになるのかについて見ていきましょう。
仕事を諦めない・投げ出さないというイメージを与える
まず人一倍の忍耐力を持っているので、仕事が大変でも簡単に投げ出したりしません。またわからないからと諦めて他人任せにしたり、適当に済ませたりすることもないでしょう。
入社したてのころというのは、右も左をわからない状態で、特に大変です。しかし仕事に対しても積極的な粘り強い人は、そういった状況も自分の成長に繋がると思うものなのでしょう。真面目に責任を持って与えられた仕事は最後まできっちりこなします。こういった人が企業から評価されるのは当然のことでしょう。
難易度の高い仕事でも成果を出すことができる
こういう人はただ仕事をこなすだけではなく、成果を挙げたいと思って取り組みます。例えば普通の新入社員ならお手上げの難易度の仕事でも、なんとかやり方を探って成果を出そうとするでしょう。
これも仕事に対する意欲の高さからくるものです。それ以上に粘り強い人はできるまでやるので、自ずと成果もついてきます。難易度の高い仕事にも積極的に取り組む社員は、企業としても大歓迎でしょう。
周囲へ良い影響を与え、チームが活気づく
それだけ高い意欲を持っていれば、周りで働いている人にもそれが伝染していきます。頑張って成果を挙げようとしている人がそばにいると、自分までやる気が出てくる経験をしたことはないでしょうか。
仕事に対する意欲が旺盛な人は、自分だけではなく会社の雰囲気も良くする力を持っているのです。その人の影響で意欲のある社員が増えていけば、企業としても願ったり叶ったりといったところでしょう。
メンタルが強く、失敗しても立ち上がることができる
こういう人は一度や二度の失敗では挫けません。そもそも失敗するたびに挫けていたら、地道に努力を続けることなどできないでしょう。こういう人は失敗したことよりも、次どうしたら成果を挙げることができるかに意識がいっているのでしょう。
新入社員に失敗は付き物です。そういう失敗に耐えられる人が、会社の中でも育っていくことを考えると、やはりアピールになることにも納得がいきます。
多少のストレスに耐えられると評価される
以上のような理由から、粘り強い人はストレスに対する耐性が強いと評価されます。社会人になるとアルバイトとはまた違い、仕事一つを取っても責任の重みがうんと増します。これは多くの人が次の日の仕事を憂鬱に感じる一番の理由でしょう。社会人になるためには、多少のストレスにも耐えられる忍耐力を持っている必要があるのです。
「粘り強さ」をPRする際の注意点
最初の方でも触れましたが、ただ単に「粘り強いです」といわれても、面接官は判断に困ってしまいます。では粘り強さを伝えるためには、どういったことを踏まえれば良いのでしょうか。以下よりいくつかの注意点を挙げていきましょう。
シンプルにまとめる
せっかく優れた長所を持っていても、話が長々とわかりづらくては上手く伝わらず台無しになってしまいます。中には話に個性を持たせようとして、回りくどくなっている人もいるでしょう。しかし個性というのは、シンプルにまとめられた話の中にもちゃんとあります。
そもそも伝わらなければ個性云々以前の話です。
シンプルにまとめるコツとしては、「結論から話す」「句点を適宜打って、文章を区切ることを意識する」などをすると良いでしょう。
具体的なエピソードを交える
面接官が粘り強さを判断するために必要なのは「具体的なエピソード」です。例えを挙げるなら、「高校から野球を始めましたが、中学からやっている連中に適わず高校時代は万年補欠でした。それでも諦めずに練習を続け、大学の野球部ではレギュラーを勝ち取ることができました」といった具合です。
このエピソードを通して、「普通は諦めてしまいそうな逆境でも、自分の理想を叶えるために努力し続けられる人なんだな」といったことが伝わってきます。話の内容を通して、その粘り強さを伝えることができるのです。
耐えた期間ではなく、耐えた理由を説明する
「レギュラーになれるまで〇年耐えた」のような言い方でも、年数によっては感心されるパターンもあるでしょう。しかし単純に年数を並べるよりも、耐えることを選んだ理由を話した方がその人の人となりは伝わりやすいのです。
例えば「他の人より出遅れた状態でも、レギュラーを獲得できるころには、すごく自分が成長しているはずだと思ったので」と伝えると、「この人は自分を成長させるために努力できる人なんだな」と思ってもらえるはずです。
思考プロセスの根拠を示す
思考プロセスの根拠を示すとは、自分がどうしてそう思っているのかを根拠立てて説明することです。今回の場合は「私は粘り強いです」ということに対して、どうしてそういえるのかを根拠立てて説明していくのです。
粘り強さを伝えるには、「困難に立ち向かったこと」「どのように思考を巡らせて立ち向かったのか」「その結果どうなったのか」を順序立てて説明していく必要があります。この順番は就活全般で使える内容なので、覚えておいて損はありません。
「粘り強さ」をどのように仕事に活かせるのか説明する
最後に自分の長所をいかに仕事と結び付けていくかも忘れてはいけません。企業が求めているのは、仕事上で成果を出せる人材です。自分の長所がいかに優れていようと、仕事と関係のないことなら、面接官も興味はありません。
自分の長所を仕事に活かせることを説明しようと思うと、企業のことをよく研究していることが大切になってきます。企業独自の特色と絡めながら、貢献できそうなポイントを伝えることで「他ではなくこの会社に入りたい」という特別感を出すことができるのです。
こんな自己PRは要注意!NG例文をご紹介
ここで粘り強さを題材にした自己PRのNG例を紹介しておきましょう。それぞれ企業から悪い評価をつけられてしまう典型例ですが、思わずやってしまいがちなので、しっかりチェックしておくようにしましょう。
例文その1
『私の長所は持ち前の粘り強さです。高校から野球を始めたものの、出遅れていたこともあり、万年補欠でした。それが諦めず努力した結果大学ではレギュラーを勝ち取ることができたのです。またアルバイトも同じ場所で3年続け、最終的にはアルバイトリーダーを任されるようになりました。
この例がNGなのは、まず話に全く具体性がないところです。諦めずに努力してレギュラーを勝ち取ったのはすごいことですが、どんな努力をしたのかがわからないと説得力がありません。また、最後に関係のないアルバイトの話を盛り込むことで、余計話がわかりにくくなっています。エピソードはなるべく一つに絞る方が伝わりやすいのです。』
例文その2
『私の長所はどんな困難にも挫けず、粘り強く努力をし続け、与えられたことは最後までやり切れることです。部活のキャプテンを任されたときにも、リーダーシップを発揮した経験が今までにないことから不安もありましたが、自分なりに試行錯誤し、メンバーそれぞれに詳しく話を聞いていくことで、上手くまとめることができました。
この例文は全体的に一文が長くてわかりにくい内容の話になっています。つまり一文にいろんな要素を詰め込もうとしすぎなのです。自己PRは「シンプルにわかりやすく」が基本です。最初に結論を述べるところなどは、一言「私の長所は与えられたことを最後までやり切れることです」ぐらいに留めておくのが丁度良いのです。』
例文その3
『私の長所は困難に見舞われても努力し続けられる粘り強さです。私が学生時代にアルバイトをしていた飲食店は、慢性的な人員不足に悩まされており、勤務しているメンバーではお店が回らないようなケースも多々ありました。一人あたりの業務の負担も大きく、過酷な状況の中務めたことが私の今の粘り強さに繋がっています。』
この話の場合、努力というよりはただ忙しいお店で働いていただけです。その困難に対してどう思考を働かせ、どう対処しようとしたのかというプロセスが見えません。本当に粘り強い人なら、きっとお店の人員不足を解消するためなんらかの策を考え出しているはずです。
「粘り強さ」をアピールするための自己PR見本とは
NG例に続いて見本となる自己PRの例文も見ていくことにしましょう。それぞれを見比べることで、自己PRで気を付けないといけないポイントもよりはっきりとわかってくるはずです。
例文その1
『私は高校、大学での野球部での経験を通して、地道にコツコツと努力することの大切さを学びました。私は高校から野球を始めたということもあり、中学から野球をやっていた連中には到底かなわず、高校1、2年時は万年補欠でした。それでも、いつかレギュラーを取れる日が来れば、そのころにはものすごく成長した自分になれているはずだと言い聞かせ、地道に練習を続けました。
まず私が心掛けたのは、部活の朝練には他の部員よりも1時間早く足を運ぶということでした。夜のランニングや素振りにも、一層力を入れて取り組みました。その甲斐もあってか、高校3年の夏の大会には見事レギュラーで出場することができたのです。その後大学へ進学してからも野球を続け、そこからレギュラーを下ろされたことは一度もありません。
この経験から私は努力して目標を叶えることは非常に意義のあることだと学びました。お仕事をさせていただく上でも目標をしっかり定め、耐えず努力し続けることを約束します。』
例文その2
『私の長所は困難に見舞われても、決して折れない粘り強さです。私は学生時代に留学していた経験があります。その際にルームメイトとの間に誤解が生じ、一切口を聞いてもらえなくなるトラブルに見舞われました。私にとって彼との関係性はすごく大切なものだったので、すぐにでも誤解を解きたかったのですが、何せ彼は聞く耳を持ちませんでした。そこで私は彼との共有スペースに毎日置手紙をすることにしました。
最初のころ、彼はそれを読む気配すら見せなかったのですが、口を聞かなくなって1ヶ月を過ぎたころ彼から再び話しかけて来てくれたのです。彼が話したのは「君は1か月間毎日、僕が読まないにも関わらず置手紙を絶やすことがなかった。さすがに根負けしたよ」といった内容でした。それ以来彼との仲は一層深まり、今でも連絡を取り合う大親友となりました。
この経験から私は、一見難解に見える問題にも必ず解決策があることを学びました。お仕事をさせていただく上でも、難題にぶつかっても持ち前の粘り強さで解決に導くことに努めます。』
例文その3
『私はやると決めたことは最後まで貫き通す粘り強さを持っています。私は学生時代飲食店でアルバイトをしていました。あるとき店長が怪我をしたことをきっかけに、出勤できる従業員がアルバイトだけになってしまったのです。私は店長に良くしてもらっていたこともあり、何か力になれないかと考えていました。そこに店長が無理にでも出勤するとおっしゃるので、私に代理で店長の仕事をさせてくださいと申し出ました。
そこから店長業務を教わり、店長代理としてお店に立つようになりました。親に話すと学校は大丈夫なのかと心配されましたが、学業もきちんと両立させた上で、結局半年間店長代理を務めることができました。
大学に行くことも、大学に通いながら店長代理をすることを決めたのも全部自分です。この経験から、私にはやると決めたことは最後まで貫ける粘り強さがあることを実感することができました。御社でお仕事をさせていただくにあたっても、途中で音を上げるようなことは絶対にありません。』
ここまで例文を3つ紹介してきましたが、例文は飽くまで例文です。真似するのではなく、参考にする程度に留めておいてください。自己PRというのは自分の言葉で書くからこそ、説得力が出てくるものです。
「粘り強い」の類語も知っておくと得
自分が粘り強いということをアピールするにしても、「粘り強い」という言葉だけを何度も使うのは野暮な話です。粘り強いことを長所に選ぶと同時に、その類語もいくつか覚えておくことをおすすめします。類語を使って言い回しを変えれば、同じ話を繰り返しているような印象も防ぐことができます。それだけ表現の幅が広がれば、知的な印象を与えて効果的なアピールにも繋がるのです。
類語の例を挙げると
・根気強い
・我慢強い
・辛抱強い
・骨のある
・根性がある
辺りが使いやすいでしょう。
「粘り強さ」を長所にするなら、短所は「頑固」がおすすめ
面接では長所と一緒に短所を聞かれることがあります。短所といわれると答えにくいものですが、面接では長所の裏返しに取れるものを選ぶのが良いです。「粘り強い」を長所に選ぶ場合、特に選びやすい短所は「頑固」です。
頑固は短所といえば短所ですが、どこか職人肌なイメージもあり、そこまで悪い印象を受けるものではありません。また頑固な自分を改善しようと努力しているエピソードも作りやすいのです。例を挙げると「自分は頑固で一度決めたら周りが見えなくなってしまうことがあるので、最近は人の意見には特に耳を傾けるよう心掛けています」といったところでしょうか。
まとめ
粘り強さを持っている人は、自己PRにおいてはこの上ない武器となることは伝わったでしょうか。その武器を活かせるかどうかは、記事の中でも触れたように伝え方次第です。せっかく優れた長所を持っているのですから、最大限利用できるよう工夫していきましょう。その粘り強さがあれば、社会人になっても活躍できること間違いなしです。
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