新卒の平均年収はどのくらい?手取りは?

◇そもそも「年収」とは?

新卒採用の募集要項を見ていると、給与に関して「初任給」「基本給」「月給」「年収」「手取り」など様々な言葉が出てきます。これらの違いをまずは理解しておきましょう。

まず「年収」は社会保険料や所得税、その他の控除が引かれる前の会社から支給された1年分の総額をいいます。総支給額とも呼ばれます。企業から支払われ年収に含まれるものは次の通りです。
・基本給
・時間外労働手当
・住宅手当
・通勤手当
・資格手当

年収にも含まれる「基本給」とは上記のように時間外労働手当(残業代)や各種手当は別にした給料をいいます。おそらく多くの企業の新卒の募集要項には基本給が示されているでしょう。
一方、似た言葉で「月給」というものもありますが、これは基本給に毎月固定して支払われるもの、例を挙げると固定残業代や役職手当などを加えたものをいい、例えば固定残業代がある場合は月給〇〇万(基本給〇〇万+固定残業代〇〇万)と書かれています。

「初任給」は基本給にすべての手当てを含めた入社後最初に貰う給与のことです。つまり残業代も交通費なども含まれています。もし企業の募集要項に「初任給〇〇万」と書かれている場合は、手当などを含んで支給できる最高額という意味なので、いくら残業をしても最初はそれ以上は加算されないという認識になります。

最後に「手取り」とは実際に受け取れる給与のことをいいます。就活をしていると初任給や基本給、月給のみを見てしまいがちですが、実際にはそこから「所得税」「健康保険料」「雇用保険料」「年金」「住民税(入社2年目から)」が引かれます。そのため入社後に実際の給与額を見て「こんなに少ないのか…」とショックを受けることも少なくはありません。
 

◇新卒の平均初任給【学歴別】

では実際に初任給として新卒社員は平均どのくらい貰っているのか見てみましょう。

【学歴】    初任給    手取り換算(所得税、雇用保険料のみを引いた場合)
・大学院卒   23万8,700円  約23万3,000円
・大卒     20万6,700円  約20万2,000円
・短大・高専卒 18万1,400円  約17万7,000円
・高卒     16万5,100円  約16万1,000円

ちなみに毎月の給与から引かれる健康保険料と年金は5月分から徴収する企業が多いため、初任給は所得税と雇用保険料が引かれることになります。そのため初任給と手取り換算額はそこまで大きな違いはありません。
なお、給与は前月分の報酬のため、企業によっては新卒社員に最初に支給する給与が日割り計算になり、1か月分の給与でないこともあります。
 

◇新卒の平均年収【学歴別】

新卒の平均年収は約250万円、手取り額でいうと約200万円といわれています。平均ですから、高卒・大卒・大学院卒も含めた平均年収です。
学歴別にみてみると次のようになっています。

【学歴】   平均年収 手取り換算
・大学院卒   370万  308万
・大卒     325万  270万
・短大・高専卒 280万  232万
・高卒     260万  216万

学歴が高いほど新卒の平均年収も高いことがわかります。
ちなみに平均年収から実際に受け取れる手取り額の差が大きいことに驚いた人もいるかもしれません。

大卒の新卒社員の平均年収20万6,700円をもとに月の手取り額をシミュレーションしてみると、手取り額は17万3,068円になります。さらに2年目からは前年の給与額によって住民税も引かれるため、昇給がなければここからさらに手取り額が低くなります。実際に受け取れるのは額面の8割と考えておくといいでしょう。

新卒の平均年収はどのくらい?手取りは?

いっぱい稼ぎたい!新卒の平均年収が高い業界とは?

会社選び、仕事選びの軸として「給与の高さ」を重視している人もいるでしょう。
新卒の平均年収は大卒で325万とはいえ、なかには400万以上稼いでいる人もいます。どんな業界で新卒の平均年収が高いのか見ていきましょう。
 

①コンサルティング業界

経営をおこなううえで問題が発生した企業に対して、解決策を提示してサポートする仕事を主におこなっているのがコンサルティング業界です。一企業の経営を左右する仕事のため責任が重く、多くのプレッシャーを感じながら仕事をする一面もあります。しかしインセンティブ制度を設けている企業が多いため、実力次第でどんどん高い年収を稼げます。
 

②IT業界

IT業界は情報化社会への移行に伴い急成長している業界です。
そのため優秀な人材を得るために基本給を高く設定しているところが多く、結果新卒の平均年収も高くなる傾向にあります。特に技術職、ITエンジニア職は新卒の平均年収が高いです。
 

③商社

モノの売り買いの際に滞りなく取引ができるようパイプ役になるのが商社です。もともとの基本給も高いですが、そのあとの昇給額が他業界を圧倒して大きく、さらにボーナスも多いため平均年収、生涯年収が高い業界です。職種によっては年収1,500~2,000万円も夢ではない業界といわれています。
 

④外資系企業

新卒の平均年収が高い業界として外資系企業も挙げられます。
日本企業はいまだ年功序列の風土が強いため、経験値の少ない新卒の給与は低く、年齢を重ねるごとに昇給していくという流れです。しかし外資系企業は実力主義の風土が強いため、実力があるのであればそれに見合う給与を与える、という風になります。ただそれだけ見切りを付けられるのも早く、スキルがない、結果が出ないと判断されれば減給・解雇のリスクもあるわけです。

いっぱい稼ぎたい!新卒の平均年収が高い業界とは?

東京は給与が高い?新卒の平均年収解説【条件別】

「やっぱり東京に出たほうが給与は高くなるのかな…」と考えている人もいるかもしれません。実際に都道府県別に新卒の平均年収を見てみるとどのようになっているのでしょうか。

◇都道府県別・新卒の初任給

東京  21,6万円
神奈川 21,0万円
埼玉  21,0万円
京都  20,8万円
大阪  20,8万円
愛知  20,7万円
    …
鳥取  18,5万円
沖縄  18,1万円
秋田  18,0万円

やはり都市部の初任給が高い傾向にあります。ただし、だからといって自由に使えるお金が多いかというとそういうわけでもありません。地方よりも都市部のほうが物価は高く、1人暮らしをする場合は家賃もそれだけ高くなります。自分が生活で何を重視するかを考えながら、仕事選びの軸を決めていきましょう。
 

◇男女別・新卒の初任給

男女で基本給に差が出ることは法律で禁止されています。そのため募集要項で初任給や基本給に男女で違いがある企業はないと思います。しかし統計を見てみると男性の初任給の平均が210,100円、女性の初任給の平均が202,600円と7,500円の差が生まれています。これは女性の方が事務職や一般職などの給与が低い職種に就く傾向が高いからです。

東京は給与が高い?新卒の平均年収解説【条件別】

初任給・新卒の平均年収が高いことはいいことなのか?

新卒の平均年収を見てきましたが、企業を選ぶときに、初任給や基本給が高く、新卒の平均年収よりも稼げる可能性がある企業へ就職することが果たしていいことなのでしょうか。

就活中に募集要項で見る給料はあくまでも入社してから1年間の金額です。最初の初任給や基本給が高くてもそれ以降に中々昇給しない会社もあれば、逆に最初の1年間は平均的な基本給でも、昇給の額やスピードが早かったりボーナスが大きかったりすると、結果的に生涯で稼げる金額が平均よりも高くなるという会社もあります。また給与は平均的でも福利厚生が充実している会社もあります。

基本給が高いだけで判断せず、その会社の人事評価制度はどうなっていて昇給はどのくらいあるのか、福利厚生はどんなものがあるのかを含めて見ていくと良いでしょう。

まとめ

新卒の平均年収を学歴別、業界別、都道府県別、男女別で見てきましたが、いかがでしたか。大卒の新卒社員で初任給の平均が約20万円、年収が約325万円とわかりました。今志望しようとしている企業の基本給や初任給はこれよりも高いでしょうか、それとも低いでしょうか。入社してからこんなに給与が低いなんて思わなかったとならないように、実際に手取りにするといくらになるのか、きちんと把握しながら就活を進めていきましょう。

まとめ
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