就活生は抑えておこう!「オワハラ」の意味

◇「オワハラ」とは

「オワハラ」とは「就活終われハラスメント」というものです。またハラスメントの話か…と思う人もいるかもしれませんが、就活生にとっては人生を左右されてしまう由々しき問題になっています。例えば、内々定を出した学生に対して企業から今受けている他の企業の選考をすべて辞退しろと強要されたり、逆に他の選考を受けないことを条件に内定を出すと言ってきたり、他の企業の選考を受けれないような日程で内定後面談や懇親会を頻繁に入れてくるなどの行為を言います。
 

◇「オワハラ」はなぜ起きるのか

なぜこのようなオワハラは起きるのでしょうか。
これは経団連が設定する就活解禁時期の有無と有効求人倍率が関係しています。
まず有効求人倍率とは求職者1人に対してどれくらいの求人数があるのかという数値です。直近ではコロナ禍があり求人数も少なくなってはいますが、コロナ禍以前は多くの求人があり、2020年3月卒業の大卒者の求人倍率は1.83でした。つまり多くの企業が優秀な学生を求めて、採用活動をしており、一種の人材の取り合いもあったのです。それが「就活を終わらせて他の企業にいかないよう」にする「オワハラ」に繋がりました。

また、大手企業などが所属する経団連では、就活が学生の学業の妨げにならないように就活解禁時期というのを設けています。オワハラが横行し始めた2015年の就活解禁時期は8月、現在は6月です。就活生からすると大手企業への就活も視野に入れているため、他の企業の選考を受けていたとしても、この6月からの大手企業の採用試験も想定して就職活動を続けていきます。しかし経団連に属していない企業や中小企業などは、大手企業の採用時期よりも早めに選考をおこなうことで優秀な人材を確保したいという考えがあります。また就活解禁前で正式な内定は出せずとも、人材の確保をしたいと考えている大企業もいます。これらの考えから「就活解禁前になんとしてでもこの学生を入社させたい」「大手の採用が始まる前に人材を押さえておきたい」という思いに繋がり、オワハラが発生してしまうのです。

就活生は抑えておこう!「オワハラ」の意味

「オワハラ」に対して持っておきたい考え方

①大切なのは労働者と使用者(企業)は対等であるという考え方

就活を始めるとこちら側は入社できるかできないかを決められる立場で、企業側に大きな権限があるように感じますが、実際には対等な立場であるべきです。オワハラはその部分を掛け違えた考え方から生まれるものですから、もしオワハラに遭った場合は「自分の就職先は自分が決めるんだ」という意思を持って冷静に対処するようにしましょう。
 

②企業側も優秀な人材を確保するために必死

とはいえ、企業側もより優秀な人材を確保し自社の発展に努めようと躍起になっているわけです。新卒の学生を1人採用するために約100万円の経費がかかっているともいわれています。しかしそれだけのお金をかけるだけの価値があるということなのです。そのため「ぜひうちに入社してくれ」と学生にアピールしたり、「君が欲しいからできれば他の企業の選考は中止してほしい」とかけあう行為自体は違法とはいえません。過剰に「オワハラだ!」と反応するのではなく、「企業も必死なんだな」と一歩引いた眼で見てみるのもオワハラを冷静に対処できる1つの方法かもしれません。
 

③困ったら誰かに相談しよう

どうしても自分一人では手に負えない場合は第三者に相談をしましょう。

・企業の相談窓口
企業によってはオワハラに関する専用の窓口を設けているところがあります。

・学校の就活支援窓口
自分が通っている大学などの就活支援課に相談を持ちかけるのも1つの手です。就活を専門的にサポートしているところですから、これまでにあったオワハラに対する対策方法に熟知している可能性が高いです。また学生の自由な意思によるキャリアビジョンを守るためにも、親身に相談に乗ってくれることでしょう。

・公的機関
東京都には「東京都労働相談情報センター」、厚生労働省では全国379箇所に「総合労働相談コーナー」というのが置かれています。労働に関するあらゆる相談ができる公的機関です。

「オワハラ」に対して持っておきたい考え方

【パターン例あり・対策法】「オワハラ」の対策方法

◇例①:その場で内定承諾/辞退させようとしてくる場合

→従う必要はなし。冷静に返事をする
例えば、最終面接などで「他社の選考をこの場で辞退してくれれば内定をあげる」と条件を持ちかけたり、「内定承諾を今誓って」と強要してきたりした場合、やりたくなければ従う必要はありません。対策方法としては、素直に自分の気持ちを伝えましょう。「申し訳ないのですが、一度考える時間が欲しいです」「正直他社と迷っていて今すぐには決めきれません」というように、感情に任せて反論せず、こちら側がより大人の対応をするようにしましょう。もし気持ちを伝えたあとも変わらず強要してくる場合は、その会社への志望自体も考え直した方がいいかもしれません。
 

◇例②:内定者に対し過密な日程を組み、他社の選考を妨害してくる場合

→理由を話してスケジュール調整をお願いする
内定後に懇親会や社員との面談、研修会などをスケジューリングする企業は多いです。入社までに自社に対する不安を少なくしてもらうため、入社後にスムーズに会社に馴染めるようにするためと理由は様々ですが、これらのイベントがあるから「オワハラだ」とはいえないので注意しましょう。
もしこのようなイベントに参加できない場合は、まず素直に参加が難しい旨と理由を伝え、不参加でも大丈夫か、可能であれば別日で参加したい旨を伝えます。健全な企業であれば代替策を提案してくれるでしょう。しかしここでイベントへの参加を強要されたり、さらには参加しないと内定を取り消すと脅してくるようなときはオワハラを疑い、入社することを再検討するのがおすすめです。
 

◇例③:辞退に対して会社に呼び出し厳しく説得する、叱責する

→辞退は可能。会社には行かない
メールや電話で内定辞退の連絡をした後、会社に呼び出して対面の状況で、面接のときの内定承諾の話を掘り返したり、内定辞退を撤回するように説得されたりするオワハラもあります。労働者には内定承諾書を出していても、入社の2週間前までであれば労働契約を一方的に解除できるルールがあります。そのため内定辞退は問題ありません。
そのためメールや電話で内定辞退の連絡をしたのち、会社への呼び出しがあった場合、会社には行かずにメールもしくは電話で対応していきましょう。

まとめ

オワハラについて、よくあるパターン例や対策方法、オワハラに対応するときの考え方などをご紹介してきましたが、いかがでしたか。企業側も悪気があるわけではなく、いかにより活躍してくれる人材を取れるかどうか躍起になっている現実がわかりました。しかし個人の選択を阻害する権利は企業にはありません。オワハラに遭った時は一歩引いて冷静に状況を判断し、自分の考えを素直に伝えるようにしましょう。そこできちんと対応してくれるのであれば問題ありませんが、なおオワハラを続けてくる企業に対しては第三者を挟んで対処していきましょう。

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