採用とは「一緒に働く仲間を探す行為」

「自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか(働きたいかどうか)」
これまで数多くの採用担当者とお会いしてきたが、会社の採用基準について彼らは口をそろえてこう語る。
つまり採用は、「一緒に働く仲間を探す行為」なのだ。Companyのもともとの意味が「仲間・友人」であるように、会社とは「一緒に働く仲間の集まり」なのだ。
現在のようにインターネットが普及する前には、若手社員(いわゆるリクルーター)が大学に戻って、サークルやゼミの後輩を面接に連れてくることが多かった。社員がそれぞれ一緒に働きたい人を探すことで、結果的に多様な人材が確保できていたのである。
この「一緒に働きたいかどうか」という基準は、言い換えれば、「一定の能力は求められるものの、必ずしも“すごい人物”“できる人材”である必要はない」ということだ。面接のときに自分の実績や経験を必要以上にアピールする学生は少なくないが、採用担当者が知りたいのは、【目の前にいる学生が、自分たちのスタンスにフィットしているかどうか】なのである。

すべての会社に共通する「採用基準」とは?

なぜ能力よりも人間性なのか。
それは、会社の人的資源が、社員の能力を単純に足し算したものではないからだ。組織としてまとまって初めて、その力が発揮されるのである。会社経営では、社員がまとまって大きな力になることが不可欠である。実際の仕事においても、「縁の下の力持ち」的な任務や、黒子に徹する役割が圧倒的に多い。
だから、多くの採用担当者が欲しい学生の条件として挙げていたのは、「一緒に気持ちよく仕事ができる(できそうな)人」「組織のパフォーマンスが上がる環境づくりができる(できそうな)人」なのである。

「内定をとれる学生」「とれない学生」―その差はこれだけ!

それでは「自分の部下、後輩として一緒に働けるかどうか(働きたいかどうか)」という採用基準を、就活生の立場から考えるとどうなるか。
ひとことで言うと、「年代や価値観の異なる上司・同僚や顧客と、うまくやっていけるか」ということである。
会社では、たとえ自分の親より年上の上司でも、相性の合わない同僚でも、初対面の顧客でも、相手のニーズをくみ取り、意思疎通を図りながら一緒に進んでいくことが求められる。立場や価値観の異なる人であっても、折り合ってやっていかなければならない。むしろ、立場も価値観も同じ人とやりとりをすることは少ないのである。
だからどの会社も、学生にこの能力が備わっているかどうかをまず見る。つまり、この能力を学生のうちに十分獲得できれば、どんな会社でも通用するとさえいってよい。会社が求めるのは、こういう人材なのだ。

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