面接でなぜ「最近のニュース」を聞くのか?

最近のニュースを聞かれたときの答え方を知る前に、まずは採用担当者が最近のニュースを聞くのは一体なぜなのか、この質問への答えからどんなことを見ようとしているのか考えてみましょう。
 

①学生の個性を知るため

学生が同じニュースを取り上げて答えたとしても、その人の価値観や考え方が異なれば、ニュースに対する捉え方や意見の違いが出てきます。また、その人が興味を持っていることが異なれば、注目するニュースも違ってきます。
このようにニュースに対して何を考えたのかということや、どんなニュースに関心を持ったのかを見ることで、その人の根底にある価値観や興味関心のある方向性を掴むことができるのです。新卒の就活では「会社の風土に合う人間かどうか」という点も非常に大事な評価のポイントです。そのため「最近気になるニュース」の質問も含めて、様々な質問の答えからその人の人柄を探ろうと企業側はしています。
 

②情報収集スキルを測るため

そもそも世の中のニュースに対してきちんとアンテナを貼っている人間なのか、どのくらいの範囲のニュースを知ろうとしているのかということも見ています。ニュースや世の中の話題は誰かが自動的に教えてくれるものではなく、自分で「今どんなことが話題になっているのかな」と考えて行動しないと知ることができません。
また、そのように自分で考えて行動できるということは、仕事においても同じように行動してくれるのでは、と企業側は考えます。ビジネスシーンでは自ら考えて動ける人が成長していきます。さらに世の中の動きをいち早くキャッチできる人は、それだけ早く顧客のニーズに合った新しいビジネスを生み出すきっかけを持つことができます。
「幅広いニュースを知っている」=「情報収集スキルが高い」=「自分で考え行動する力が強い・世の中の流れを抑える力が強い」=「仕事においても自主的に取り組み、新しいビジネスを生み出すきっかけを持てる」という構図があるのです。
 

③社会問題に対する意識や思考力を測るため

ただニュースを知っているだけではいけません。ニュースを知ることは誰にでもできますが、それを理解し自分なりの考えを持つには、ニュースを読み解く読解力や、そのニュースが抱える問題点を考える分析力、そして自分事として意見を考える思考力が必要です。きちんと自分のなかに落とし込んで、社会の問題について考えているのかどうかも質問の答えから読み解かれています。

面接でなぜ「最近のニュース」を聞くのか?

【答え方のポイント】面接で「最近のニュース」を答える時

企業側が最近のニュースを質問する意図がわかりました。
では、さっそく面接でその質問をされたときの答え方のポイントを抑えていきましょう。
 

①まず結論から述べる

まずは就活の基本「結論から述べる」を実行していきます。
今回は「最近の気になるニュース」について答えるので、「私が最近気になっているニュースは〇〇です」もしくは「私は〇〇というニュースが気になっています」と答えましょう。
 

②次に理由/根拠を述べる

何のニュースが気になっているのか答えたあとは「なぜそのニュースに関心があるのか」を伝えます。面接で大切なのはこの「なぜ」の部分です。なぜならここから、その人の価値観や興味関心のある方向性を知ることができるからです。
そのためどんな価値観を持っている人間なのか、自分の興味関心の方向性がどこを向いているのかが分かるような話、例えば過去にこういう経験をしてこういう考えを持っていたので~、昔からこういうことが好きでこれに興味を持っていたので~など、実体験と繋がるようなニュースをピックアップして、「なぜ」の答えを伝えると一層説得力があり、人柄もよくわかります。
 

③具体的な説明をする

気になっているニュースが具体的にどんな内容であるのかも軽く話をします。ただし、ニュースを分かりやすく伝えることを目的にしているのではなく、あくまでもこれから自分の意見を述べる前に、自分と面接官の間で共通の認識を生み出すための工程です。話が長くならないように概要だけ話しましょう。
 

④そのニュースに対する感想や学び

次にそのニュースを受けて自分はどんなことを考えたのか、どういう意見を持ったのか、どんな学びがあったのかなど、自分の思考が伝わる話をします。ここもこの質問に対する答えで重要なポイントです。どのくらいの思考力を働かせられる人材なのか、課題に対してどう向き合い意見を持てる人間なのか、など実際の仕事につながる思考力や判断力が垣間見えるポイントです。「世界中が注目しないといけない問題だなと思いました」などざっくりとした意見や、抽象的な表現をすると「あまり考える力がないのかな、自分事として捉えることができないのかな」と思われてしまいます。
 

⑤企業にどう還元できるのか述べる

④で終わっても問題はありませんが、最後にそのニュースに関連して、自分が入社したらこう働きたいという話に持っていけると尚よいです。例えばそのニュースから学ぶことがあれば「その学びを入社後に活かしてこういう風に頑張りたい」と志望度の高さを伝えたり、企業の事業内容に関連するニュースであれば「ニュースに書かれているような未来を想定して、入社後は御社のこの事業にこういう風に関わりたい」と今後を見据えて就活をしていることをアピールできます。

【答え方のポイント】面接で「最近のニュース」を答える時

これはよくない!面接で「最近のニュース」を答える時の注意点

◇NGジャンルは避けよう

最近の「気になっている」ニュースを聞かれているとはいえ、気になっていれば何でもいいというわけではありません。
例えば「芸能ゴシップ」「宗教・思想に関連すること」「政治」「スポーツ」などは避けたほうがいい話題です。
芸能ゴシップは気になる話題ではありますが、ビジネスには関係のないことであり、自分自身をアピールする要素にもなりません。また宗教や個々人の思想に関することも避けたほうがいいです。採用担当者の考え方が把握できず、人柄をどう捉えられてしまうかわからないからです。政治も一見、国内の動きに関心の高い学生であるように思えますが、例えば採用担当者がある政党の熱心な支持者であった場合、自分の発言によって気分を悪くしてしまうことが考えられます。またスポーツのニュースはスポーツ業界を志望する際は良いですが、それ以外の業界を受ける場合は、とくに関連付けられることがないためやめておいたほうがいいでしょう。
 

◇志望先と関係のあるニュースを選ぼう!

ニュースを選ぶとき、出来るだけ志望先企業に関連するニュースを選ぶといいでしょう。
そうすることでその業界への関心の高さをアピールすることができますし、そのニュースから学ぶこと→入社後にどう活かすかという話がしやすいからです。ただし、採用担当者のほうがその話題について詳しい可能性があり、深く突っ込まれてしまうことも考えられます。だからといってその話題を避けるのではなく、企業の社員とも対等に話ができるくらい準備をしておきましょう。もしかしたら、採用担当者とその話で盛り上がって内定につながるかもしれません。
なお志望先と関係のあるニュースを選ぶときは、業界専門のニュースサイトを活用するのがおすすめです。「業界名+ニュース」で検索すると、専門のニュースサイトが出てきます。業界専門ですから初めは難しいかもしれませんが、業界の細かいニュースを知ることで、それが生まれた根本の社会問題やニュースを知るきっかけにもなります。
 

◇誰でも知れるニュースは出来るだけ避ける

新型コロナウイルスの感染拡大に関するニュースや、東京オリンピックの話題など、わざわざ情報収集をしなくても得られる大きなニュースは、その人の情報収集スキルを測ることができないので避けたほうがいいです。とりあえず用意した感、用意していなくて今考えた雰囲気が出てしまいます。もし話すのであればコロナ×志望業界の話など、志望業界と関連させたニュースがいいです。業界が今抱えている問題に対して関心があることを示すことができますし、そこから自分事として何を今後しなければいけないのかを話すことができます。
 

◇信頼性のあるニュースなのか注意する

ソーシャルネットワークサービスが普及し、様々なニュースであふれている世の中ですが、逆に何を根拠にしたのか分からないニュースや信頼性に欠けるニュースも数多くあります。そのため、きちんとした報道機関を通したニュースを見るようにしましょう。
社会人がよく見るのは日本経済新聞ですが、電子版もあるのでそれに登録して読むのもいいですし、経済ニュースを取り上げているニュースサイトとして「NewsPicks」や「ダイアモンドオンライン」もおすすめです。またNHKが学生と一緒に作成している「大学生とつくる就活応援ニュースゼミ」というのも、今注目されている時事問題を分かりやすく取り上げているのでおすすめです。

これはよくない!面接で「最近のニュース」を答える時の注意点

【例文】面接で「最近のニュース」を聞かれたとき

例文1:新型コロナウイルスを絡めたニュース

私が気になっているニュースは、サブスクリプション事業の普及に関してです。
私自身ステイホームを実施する中で、複数のサブスクリプションを利用して楽しんでいたため、サブスクリプション事業の普及に関心があります。
新型コロナウイルスによってさまざまな業界が揺れる中で、自宅で楽しめるものが多いサブスクリプション事業は、外出自粛が追い風となり事業の拡大を実現しています。現在は映画や音楽、漫画などが見られるサービスがメインですが、新型コロナウイルスが終息した後は、飲食店や美容室などの利用に関するサブスクリプション事業も多くなるのではないかと予想しています。
世界情勢は常に変化しますし、新型コロナウイルスの流行などの予想できないことも多くあります。そういった情勢の流れを読み取っていち早く需要を見極めることで、事業の拡大を目指せるのだろうと感じています。
御社でもサブスクリプション事業を進めているため、将来における社会全体の需要の流れを的確に把握することで、御社の経営に貢献したいです。
 
 

例文2:国内の時事問題

私が気になっているニュースは、核のゴミに関する問題です。
なぜなら私の地元でも最終処分場として参加するかどうかの議論があったからです。
使用済み核燃料の最終処分場として、北海道内にある2つの市町村が手を挙げていますが、地域住民や近隣の市町村による反対の声は根強く、物議を醸しています。
ここで問題なのは、市町村と住民の諍いではなく、そもそも市町村側に手を上げさせるというシステムにあるのではないかと感じました。どちらにせよ、どこで核燃料を最終処分するかという件を決めなければなりませんが、それを市町村の判断に委ねるのは非常に難しい問題です。そのため、国が責任をもって土地を探し、市町村と交渉する必要があるのではないかと感じました。
意見の衝突があった場合、そもそものシステムの見直しが必要なことも多いのではと感じます。そのため、入社後に何らかのトラブルがあった際には俯瞰的に状況に鑑み、冷静に判断できるように努力していきたいです。

参考:https://www.s-agent.jp/column/13806

【例文】面接で「最近のニュース」を聞かれたとき

まとめ

「最近気になるニュースは何ですか」に対する質問の答え方や、ポイント、注意点などを解説してきましたが、いかがでしたか。ただどんなニュースに関心があるのかを単純に説いているのではなく、そのニュースに対する思考力や分析力などを見て、企業があなたの人柄を探ろうとしていることがわかりました。就活だけではなく、これから仕事をする上でも情報収集する力や自分なりの意見を考える力は重要ですから、日々ニュースに関心を寄せながら過ごしていきましょう。

まとめ

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