そもそも人事は面接の質問で何を知りたいの?

①入社意欲

まず第一にどのくらいの意欲を持ってこの企業で働きたいと思っているのかを知ろうとしています。いくらスキルがあっても、会社や仕事へ対しての愛がないと仕事を続けることは難しいからです。仕事に対してのやる気があれば、困難にぶつかってもへこたれません。そのため志望動機を聞いて、どのくらい意欲があるのかを確かめています。
 

②その人の性格や人柄

新卒の就活に関しては転職の場合と違い、これまでの仕事上のスキルや、仕事に対しての取り組み方が見えません。内定を出して、研修をおこなって企業が社員を育てていく仕組みです。つまり育てていけるだけのポテンシャルを持っているのか、そもそもこの会社に合う人間なのかが大切になってきます。特に日系企業はその人の能力よりも、その人の性格が会社に合うかどうかを見る傾向があります。そのため、自己PRや長所、短所、学生時代に頑張ったことなど過去のエピソードを絡めた事実を知り、その人がどういう価値観を持っているのか、どういう人柄なのかを確認して、社風に合うかどうかを判断しているのです。
 

③今後活躍してくれるかどうか

性格や人柄が大事とはいっても、その性格が仕事をする上で役に立たないと意味がありません。企業によって働くスタイルや考え方が違います。そのため活躍する人材の方向性も企業ごとに違うのです。例えば、仕事への取り組み方がスピード重視のところもあれば、確実にミスなくやることが大切な会社もあります。つまりその人の性格が社風に合うかは、同時にその会社で活躍することができるのか、活躍できそうなスキルを持っているのかということに繋がります。

そもそも人事は面接の質問で何を知りたいの?

ここに気を付けよう!面接で質問の回答をするとき

◇質問で聞かれたことに率直に答えるようにしよう

面接での受け答えとして大切なポイントは「わかりやすいこと」「論理的であること」です。わかりやすくするためには、まず結論から先に話すことが重要です。どんなときも「結論→理由」の流れを意識すると、答え方が明瞭で、論理的な話になります。またダラダラと長く話さないために短く答えて、面接官に質問で突っ込んでもらうことも想定した回答方法も1つの手です。
 

◇質問から大きく脱線するのはNG!

緊張していると、質問されたことと大きく離れた答えをしてしまったり、話しているうちに何が言いたかったのかわからなくなってしまうことがあります。質問と違うことを答えてしまうと「コミュニケーションに難あり」という判断をされてしまい、選考結果に大きく影響します。もし質問をされて意味が分からなかった場合は「申し訳ございませんがもう一度よろしいでしょうか」や「申し訳ございませんが、どういった意味でしょうか」と聞きましょう。

ここに気を付けよう!面接で質問の回答をするとき

【頻出!質問例】答え方のポイントと回答例集

①自己PRをしてください

自分の強みや長所、今後の仕事で活かせることをアピールする質問です。
企業側としては「どういう性格を持った人なのか」「どんな活躍をしてくれる人なのか」ということを考えて質問しています。具体的な過去のエピソードを一つ取り上げて、そこでどんな困難に対して、自分の強みを活かして解決したのかということを伝えます。アルバイトで売上を前年比120%にしたなどの輝かしい実績がなくても大丈夫です。そのときに何を考えたのかが分かるように話すと、よりあなた自身の人柄が見える回答になり、企業が求める答え方になります。

【回答例】
私の強みは、周囲のために課題を解決しようとする協調性があるところです。学生時代に2年間、飲食店でのアルバイトをしていました。20名ほどのアルバイトが在籍しており、連絡事項が共有されないことやシフトがバランスよく組めていないなどの課題がありました。
これらはすべてバイトリーダーが1人で請け負っていたので、何か力になりたいと思い、アルバイトの連絡先や連絡方法をまとめたり、希望休の管理をしたりしました。また、仕事のやり方を全員で統一できるようにマニュアルの作成もおこないました。
この結果、半分以上のアルバイトから「仕事がやりやすくなった」という声を聞くことができました。御社に入社後も協調性を大切にし、困っている人の力になるような行動を心がけていきます。

・同じ系統の質問・
自分を一言で表してください
あなた自身を動物で例えると何ですか?
あなたの強みを仕事でどのように活かしたいですか?
周囲の人からどんな人だといわれますか?
 

②志望動機を教えてください

なぜこの業界に興味があるのか、なぜこの会社で働きたいと思っているのかを答える質問です。
「動機」ですから、あなた自身の考えや元々持っている価値観が見える回答がベストです。おそらくその仕事に興味を持っているのは、過去に何かしらのきっかけがあったはずです。そのエピソードを話して説得力のある回答にしましょう。「お金が稼げるから」「業界研究をしていて一番興味を持ったから」「その会社の商品が好きだから」などの表面的な理由はNGです。なぜお金を稼ぎたいと思っているのか、なぜ一番興味を持ったのか、なぜ他の商品よりも好きなのかを追求して、根底にある自分の価値観を見つけ、それが理由で志望していることを伝えましょう。

【回答例】
スポーツ用品の提供を通じ、もっと多くの人にスポーツの楽しさを知ってもらいたいと考え、貴社を志望しました。貴社は他のメーカーにはないマイナースポーツの用品も数多く製造しており、国内唯一の商品も多数あります。
もともと小さいころから引っ越しが多く、引っ越しをするたびに友達を作るのに悩んでいました。しかし公園に行ってサッカーや野球をしている同級生に声をかけると、いつも仲良くしてくれたのが印象的で、スポーツは私にとって人との交流を作るきっかけでした。そのためスポーツに関わる仕事をして、多くの人の繋がりを作っていきたいと考えています。
また御社に入社してメジャーなものからマイナーなものまで幅広く流通させるお手伝いをすることで、多くの人にスポーツの喜びを伝えていきたいと考えています。大学時代はフィットネスジムでアルバイトをし、コミュニケーション能力を身につけました。販売促進事業に携わり、日本だけではなく海外にも御社のユーザーを増やしたいと考えております。

・同じ系統の質問・
弊社で成し遂げたいことはなんですか?
志望するきっかけになった経験を教えてください
この業界を志望している理由は何ですか?
弊社の名前を最初に知ったきっかけは何ですか?
弊社のイベントには参加されましたか?
 

③学生時代に頑張ったことは何ですか?

いわゆる「ガクチカ」の質問です。学生時代に頑張ったことを聞くことで「どんなことにモチベーションが湧く人間なのか」「困難に当たってもどうやって頑張れる人なのか」ということを知ることができ、入社後に活躍するイメージが湧きます。なぜそのことに取り組んだのか、どう工夫して取り組んでいたのかがわかると良いでしょう。アルバイト、部活、ゼミ活動、学業などどんなことでもいいですが、グループで取り組んだ話を題材にすると、チームでどのように活躍できる人間かイメージしやすいのでおすすめです。

【回答例】
大学時代は部活動に打ち込み、サッカー部でサイドバックのポジションを勝ち取りました。入学時点でサイドバック希望者が10人以上いたため、突出した力がないと勝ち抜けないと思いました。私は体力に自信がなかったため、試合を通して走り続けられるスタミナを付けるべく、毎日練習前後の10kmのランニングを自分に課しました。
この結果誰にも負けない体力を身につけ、レギュラーを勝ち取ることが出来ました。御社でも粘り強く仕事に取り組み、自分には何が出来るか、どの分野なら勝てるかを考えて努力し、活躍出来る人材に成長したいと考えています。

・同じ系統の質問・
ゼミでの活動で印象に残っていることはありますか?
部活動、サークル活動は何かやっていましたか?
アルバイトは何をしていましたか?
ボランティア活動の経験はありますか?
卒業論文のテーマを教えてください
 

④長所と短所を教えてください

長所と短所を聞くことで、きちんと自己分析ができている人間なのかを見ています。自己分析ができていれば、仕事に取り組む際、自分の長所が活かせる動き方を自分でできますし、逆に短所を補って仕事を効率よく進めることができます。長所を話すときは仕事への活かし方を伝え、短所を話すときは今おこなっている改善策も伝えましょう。

【回答例】
私の長所は、ポジティブ思考なところです。大学時代はバレー部に所属していたのですが、試合に負けて悔しい思いをしても、「次は絶対に勝つ」とすぐに切り替えることができました。これは、試合に負けても必ず学びがあったので、弱いままで終わるわけがないと信じていたからです。チームで落ち込んでいるメンバーがいたら、必ず声をかけて励ましていました。
一方で、短所は楽観的なところです。「やればできる」という考えのもと、よく調べもせずに行動してしまうことが多く、失敗した際のリカバリーに時間を要することがあります。短所を改善するために、今では物事を始める前にきちんとしたプロセスを踏むようにしています。すると以前より効率よく物事が進むようになり、失敗も減るようになってきました。

・同じ系統の質問・
他人の短所とあなたの短所がぶつかったときにどうしますか?
あなたの長所を複数個挙げてください
長所を伸ばすために意識していることはありますか?
あなたの長所は会社でどのように役立ちますか?
短所を克服するためにどんな努力をしていますか?
 

⑤入社後はどんなことがしたいですか?

内定がゴールではないため、きちんと入社後にやりたいことがイメージできている人間なのかを確認しています。企業研究をしてその会社でどんなことをやっているのか、どんな働き方があるのかを調べて、具体的に述べましょう。自分が持っているスキルもアピールしつつ伝えると良いです。長期的な目標よりも、3~5年後何をしていたいのか、そのために1年後どんなことをしていたいのかという中期的な目標のほうが、具体性があり、計画的にキャリアビジョンを考えていることが伝わります。

【回答例】
入社後は御社のスマホアプリ開発に携わり、アプリのトップセールスランキングで1位を獲得したいと考えています。プログラミングは得意分野であり、今はSwiftを勉強中です。1位を獲得するために、開発のほかにCMやインターネット広告などの企画もしたいと考えています。1位を獲得した後は、多くのユーザーのニーズを満たすアプリの開発に力を入れていきたいです。

・同じ系統の質問・
弊社の業務で気になっている業務や部署はありますか?
入社後のキャリアプランを教えてください
10年後に達成したいことはありますか?
将来の夢はありますか?
どのような社会人になっていたいですか?
 

⑥最も苦労した出来事について教えてください

困難に対してどんな対処ができる人間なのか、苦労した出来事からどんな学びを得られる人間なのかを知るための質問です。これを知ることで、仕事で困難にあたったときの取り組み方がイメージできます。伝えるときは、どんなことがあったのかということの他に「どう向き合って対処したのか」「その苦労から何を学んで、これからどう活かすことができるのか」を話しましょう。

【回答例】
私が最も苦労したことは、1年生の時になかなかレギュラー入りすることができなかったことです。私は小学校高学年からサッカーを始め、高校ではインターハイにも出場した経験があります。そのため、技術には自信がありました。
しかし、大学ではなかなかレギュラー入りすることができず、チームメイトに嫉妬することも多くありました。この悔しさをバネに自分の弱点を分析し、克服するための練習メニューに取り組みました。この結果、2年時にレギュラー入りすることができました。この経験から、自分の実力を過信せずに弱点を克服することの大切さを学びました。入社しても謙虚な姿勢で仕事に取組み、苦手な部分が見つかれば自分で分析して解決する姿勢を忘れずにしていきます。

・同じ系統の質問・
チームで苦労したことはありますか?
ストレスがたまった時はどのようにリフレッシュしますか?
努力を継続するためのモチベーションは何ですか?
課題を乗り越えた経験を教えてください
 

⑦尊敬する人は誰ですか?

誰を尊敬しているかによって、その人の価値観や大切にしているものがわかります。基本的には誰でもよいですが、世間一般で悪人とされている人や犯罪者は避けましょう。なぜその人のことを尊敬しているのか、その人に近づくために努力していることや、影響を受けていることも伝えると良いです。

【回答例】
私が尊敬しているのは母です。母は気遣いが上手な人で、私が何も言わなくても落ち込んでいる時は声をかけてくれます。どうして落ち込んでいることが分かるのか聞いたところ、「いつもと違うから」という答えが返ってきましたが、いつも周りのことよく見ているからだと考えました。私も母のように気遣いができる人になりたいと思い、自分のことだけではなく、周りの人のことも自分事のように気を配るように意識しています。御社でもお客様の悩みを解決し、「利用してよかった」と満足していただける仕事をしたいと考えています。

・同じ系統の質問・
好きな言葉や座右の銘はありますか?
周囲から尊敬される人材はどんな人材だと思いますか?
尊敬している作家や偉人はいますか?
一緒に働くにあたり、どんな仲間や人に魅力を感じますか?
 

⑧最近気になるニュースは何ですか?

その人が何に興味関心を抱いているのか、情報感度が高い人間なのかを確かめるためにこの質問をします。ニュースをただ話すだけではなく、そのニュースに対してどんな意見を持っているのか、どんな学びがあるのかを話しましょう。
 

⑨転勤は可能ですか?

転勤の可能性がある職種の面接をするときに意思確認として質問されることが多いです。転勤があることを前提に応募しているわけですから、YESとしか答えられません。自らそこに応募したのに、転勤ができないと答えてしまうと「指示に従えない人」という印象が生まれます。転勤は可能であること、なぜ大丈夫だと考えているのかも一緒に伝えると前向きに仕事をしてくれる印象になります。

【回答例】
はい、転勤は問題ありません。転勤によって環境が変わることで仕事のやり方や人間関係にも変化が生まれ、自分自身の成長にプラスになると感じております。

・同じ系統の質問・
通勤時間はどのくらいですか?
お実家にお住まいですか?
海外転勤も可能ですか?
暮らしが変わることへの苦手意識はありますか?
 

⑩弊社が第一希望ですか?

この質問をしてくる会社は多いです。素直な方は答えるのに躊躇してしまうかもしれませんが、ここは「第一希望です」とはっきりと答えましょう。企業としては真意を問うているわけではなく、入社することを考えてこの場にいるのかどうかを確認しているのです。

・同じ系統の質問・
同じ業界の他社と弊社の違いは何だと思いますか?
並行して他の企業はどんな業界を受けていますか?
就活の軸は何ですか?
弊社で内定が出た場合、就活は終了しますか?

上記の「弊社で内定が出た場合、就活は終了しますか?」以外は、志望企業の機嫌を損なうことなく素直に答えましょう。「弊社で内定が出た場合、就活は終了しますか?」は終了しますと答えましょう。
 

⑪最後に質問はありますか?

いわゆる逆質問です。逆質問をきちんとすることで志望度の高さやキャリアプランをどこまで考えているのかがわかります。他記事でも紹介しているので、是非参考にしてみてください。

【頻出!質問例】答え方のポイントと回答例集

まとめ

就活の面接でよく聞かれる質問を中心に解説してきましたが、いかがでしたか。面接をこなしていくと想定外の質問が出てきて慌てることも多いと思います。すべての質問を想定することは難しいですから、頻出の質問とそこから派生する質問を抑えて、あとは自己分析と業界・企業分析をきちんとおこなっていれば答えられるでしょう。企業は面接をする人自身の能力や人柄、価値観を見ようとしているのですから、自分自身のその部分がわかっていれば対応できます。あとはしっかりと質問を聞くことを忘れずに!

まとめ

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