資金運用について。

会社も、基本的にはこれと同じような考え方をします。会社の場合は、取引先との付き合いやしがらみがあったりして、個人の単純な思惑とは、同レベルで議論することはできませんが、貯蓄した資金を、ただ眠らせておいて単純に利子だけ懐に・・・っていう風に考えている会社はほとんどありません。何らかのカタチで「資金運用」を行っています。

今の学生にとっては、すでに歴史の1ページかもしれないけど、昭和の終わり頃から平成初頭にかけて、景気がこれでもかというほど悪くなった時代、倒産する企業が続出、それは俗に言う土地ころがしや株式取得、ゴルフ会員権購入などに走った結果、一気に価値が下がってさあ大変・・・なんていうニュースがありました。いわゆるバブルの崩壊。それは企業が本業、つまり自分の取り扱っている商品を、地道に売って稼ぐことで利益を出すのとは別の方法で儲けたもので、そんな方法で収益を得ようとするのは自業自得!という論調で叩かれたものです。

でも、どんな優良企業でも、本業とは別のところで資金運用は行っています。それは、例えば系列グループ間の力関係であったり、上に書いた取引先との付き合いであったり、企業が大きくなればなるほど、色々なしがらみが出てくるものです。それは一概に悪いことであるとは断定できません。バブル時代に潰れた企業は、本業を忘れるかのように、そっちばかりに走った結果であり、これは正しい資金運用とは次元が違います。

デリバティブの意味。

また、資金運用という概念とは若干ズレますが、「デリバティブ」という手法を用いて運用することも、企業では普通に行っています。デリバティブとは簡単にいうと、以下のようなことです。

僕が、大好きな彼女にプラチナの指輪を買ってあげようと銀座を歩いていて、ジュエリーショップを覗いたところ、気に入った指輪を発見、値段は10万円でした。ところが、財布を見ると5万円しかありません。でも僕は、あと1ヶ月すればボーナスで10万円入ってくる予定があります。だからボーナスをもらった時点では買えます。

でも、プラチナ価格って変動するのです。だから、今日10万円だからといっても、1ヵ月後には急騰して、15万円になっているかもしれません。そうなると、また僕は彼女のために指輪が買えなくなってしまいます。そのため、僕は「1ヵ月後にこの指輪を10万円で買う!」と宣言(予約する)し、お店と契約するのです。こうすると、いくらプラチナ価格が変動するとは言っても、1ヵ月後には、僕は間違いなく手持ちの10万円で指輪が買えることになります。

これがデリバティブの基本的な考え方ですね。だから、もし1ヵ月後にプラチナが急騰して15万円になったとしたら、それを10万で買った僕は、5万円得したことになるし、逆に相場が安定して、1ヵ月後に8万円になったとしても、僕は10万円で購入しなければならず、2万円損することになります。こういったことを、財務部は会社のカネを使って行っているのです。悪い言い方をすれば、会社のカネで公然とバクチをやっているようなもの。でも、企業にとっては安定した資金運用を行うためには、当たり前に行っています(リスクヘッジすると言いますが)。

財務部に配属になった新入社員の業務は?

以上が、財務部のメイン業務であり、他部署にいるとなかなか見えてこない業務です。会社のカネでバクチをする訳ですから、当然ながら経験もいるし、専門知識もいるし、何より責任が伴います。こういう仕事(特にジャッジする方)は財務経験の長い部課長クラスが行います。

じゃあ、財務部に入社した新入社員が何をやるかと言えば、「売掛金(買掛金)の管理」と「経費の支払」業務でしょう。売掛金の管理というのは、顧客・消費者が期日までに、商品の購入代金を支払ってくれているか?を確認する仕事。買掛は逆で、仕入先に、間違いなく代金を支払っているかの確認。

経費の精算は色々あるのですが、一番判りやすいのは、『管理部門(2)』 でも触れましたが、従業員が業務で使用した費用(例えばお客さんのところに訪問した交通費とか)を精算してあげる業務です。これは、所定の伝票を書かせて申請させ、その要件を満たしていれば支払うという手続業務です。これは自分のカネじゃなく、会社のカネを扱うために結構神経を使います。万一、帳簿と実際の現金が合わなくなったら、合うまで確認作業が続きます。冗談じゃなく、帰れないかもしれません。

財務部まとめ。

財務部は、カネを扱う部署だけに、当然ながら会計知識、特に簿記の知識は必要です。経理部のところで触れますが、「勘定科目」という体系を理解していないと、仕事ができないのです。財務部を希望するヒトは、学生時代に、必ずしも簿記の資格を取る必要はないですが、配属になると、必ず取らされるか勉強しろと言われるので、意識はしといた方がいいかな?

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