社員の仕事はスマートボールで表現できる。

会社に入ると、全ての社員の動きや活動は、「勘定科目」というもので説明できるようになります。勘定科目の説明は・・・ちょっとクラシックですが、古い温泉旅館のゲームコーナーにあるスマートボールって知っていますか?

いろんなスマートボールがありますが、タマが収まるボックスが各所に備え付けているようなやつをイメージしてください。

タマをビ~ン!と弾いて打つと、上のほうでは釘や木片の影響で、予測不能な動きをして下まで落ちてきます。道中には、いくつかボックスがあって、そのボックスには、点数がついています。

タマの途中の動き方は、一定ではないけれど、必ずどこかのボックスに収まります。言うなれば、この各ボックスが「勘定科目」ですね。スマートボール、つまり会社において、タマ、つまり社員が、どういう動きやパフォーマンスをしても、収まるところは全ていずれかのボックス、つまり勘定科目である、ということです。タマは上から下に落ちてきます。下にあるのは各ボックス。上から生産製造部門、営業部門・・・を通過して、管理部門へ。ボックスに割り振られている点数は定義。これは勝手に代えられない。このボックスを管理して、常にボールを受け止めているのが経理部。だから経理部は、アンカーなのです。

社員の仕事はスマートボールで表現できる。

経理部は例外嫌い。

社員が朝、家を出て、電車もしくは自家用車に乗って出社する、これは「通勤費」がかかります。会社に行って制服に着替える、これは「福利厚生費」。取引先にアポの電話を入れる、これは「通信費」。車に乗って取引先巡回、これは「車両費」と「車両燃料費」。電車で移動すれば「旅費交通費」。帰社してちょっとトイレ、これは「水道光熱費」。席に戻って資料作成、この時使うボールペン、これは「消耗品費(もしくは事務用品費)」

・・・なんていう風に、言い出したらキリがないですが、このように会社の動きは、すべて勘定科目で表現出来るのです。だって、どんなタマも、必ずどこかのボックスに収まるのだから。経理部以外の人間は、日々の行動において、常に勘定科目を意識することはないでしょう。でも社員が動けば、何らかの費用が発生するのは事実。これを適切な勘定科目に振り分けていくのが経理部です。そして、その勘定科目ごとに振り分けた「カネ」の積み重ねが、決算業務という、通信簿になる訳です。

このように経理部は、会社の事業活動を最終的に「勘定科目」というボックスに入れ込むことが仕事です。勘定科目というボックスに入れ込むためには、理屈がいります。理屈とは、法律の場合もありますが、ほとんどの場合、会社のルールです。今、経理担当者の手元にある伝票類がルールどおり流れてきているのか?承認すべき人間のハンコはあるか?などです。経理部は例外が大嫌い。当たり前の処理を当たり前にすることで評価される部署です。当たり前のことを当たり前に行うには、付随する証拠資料(エビデンスともいいます)が必ず必要。経理部には、いつも紙の資料が膨大に存在します。

普段の社内営業が問われる。

経理部は、恣意性や合法的ルール違反をしにくい部署なのです。経理部はアンカー。だからそのすぐ後ろには、常に法律があります。経理部の人間がルールを破ると、場合によっては手にお縄がかかります。それくらいシビアです。

経理部の担当者は、例外を出さぬよう、エビデンスを求めて申請した部署に行き、内容を確認し、エビデンスを入手しようとします。申請部署の人間は、当然ながら嫌がります。それはそうです。自分がその帳票を出したのは、かなり前の話。リレーでいえば、もう既に走り終わっているのだから。それが今頃になってアンカーである経理部が、お前のあの走りは・・・なんて来るものだから、ムッとしてある意味当然。でも経理部は、ゴールのテープを切る前に、何としてもエビデンスがほしい。テープを切ってしまったら後戻りできません。

この辺りは、まさに社内営業。普段から現場を理解せず、横柄に振舞っている経理部の人間であれば、こういうときに現場に仕返しを食らいます。会社にとっては、エビデンスをもらわなきゃいけないのだけど、実際にもらえるかは、経理部の担当者次第。もらえなきゃ上司に怒られるし、かといって申請部署に法律論の難しい話をしても、余計にキレられるし、そうかといって、部署に戻ったら上司にキレられるし・・・。経理部も大変。

勘定科目というのは、非常に複雑で、種類も数も大変多いので、大企業では、勘定科目ごとに担当者がいるほどです。こうなると、その科目だけ追ってしまう、まさに木を見て森を見ず、といった周りが見えない人間ばかりになってしまう危険があるので、会社は、常に部内の配置転換を行って、全ての勘定科目が扱えるように育てる必要があります。

つづく。

新規会員登録はこちら
ページトップ