そもそも旭化成とは?

旭化成は1922年に設立された旭絹織株式会社を創業としています。その後、さまざまな会社との経営統合を経て、2001年に旭化成工業株式会社から旭化成株式会社に社名を変更して今に至ります。現在は繊維や化学の分野はもちろんのこと、住宅事業や医療・医薬事業もおこなっている総合化学メーカーです。詳しく見ていきましょう。

◇旭化成の事業内容

旭化成の事業は主に「マテリアル領域」「住宅領域」「ヘルスケア領域」の3つに区分されます。
 

【マテリアル領域】ケミカル事業

旭化成の事業の軸ともいえるのがこのケミカル事業です。セーターなどのアクリル繊維や電気製品の機械を収める箱に用いられるABS樹脂の原料をつくったり、サランラップ、イオン交換膜、医薬品錠剤や飲料の原料、パソコンや携帯電話のフィルム、テレビなどの電機絶縁体などの開発、製造、販売をおこなっています。

【マテリアル領域】繊維事業

創業が絹織物会社であったことから、繊維事業も旭化成の軸となる、80年以上の歴史を持つ伝統事業です。豊富な技術を駆使してさまざまな繊維が作られています。それらの繊維は、例えばスーツの裏地や水着などのスポーツウェア、自動車のシート、エアバッグなどに用いられます。

【マテリアル領域】エレクトロニクス事業

携帯電話などの電子部品や赤外線に反応するセンサーなどの開発、製造、販売をおこなっています。例えばスマートフォンのGPS機能として利用される電子コンパスや、家庭用のオーディオ機器、自動車に載せるオーディオ機器やカーナビゲーション、エアコンの人感センサー、ガスセンサー機器などが製造されています。
 

【住宅領域】住宅事業

「へーベルハウス」や「へーベルメゾン」などの住宅を聞いたことがあるのではないでしょうか。これらは旭化成の住宅事業の1つです。住宅事業では、リフォームをしたい方や住宅を建てたい方への提案やサポートをおこなったり、賃貸管理や不動産仲介業などをおこなっています。

【住宅領域】建材事業

住宅を建てるときに使われる材料を取り扱う事業です。有名なのはへーベルハウスに用いられる「へーベル」という軽量気泡コンクリートです。他にも断熱材や基礎杭、地盤改良、構造資材などの製品を提供しています。
 

【ヘルスケア領域】医薬事業

医療用医薬品や診断薬を開発、製造、販売しています。これまで整形外科、泌尿科、中枢神経、免疫、血液、循環器の領域に新薬を届けています。

【ヘルスケア領域】医療事業

繊維会社としての技術を用いて医療事業でもビジネスをおこなっています。例えば旭化成のセルロース繊維技術を基にして人工腎臓の開発をしたり、膜分離・吸着分離技術を使って血液浄化治療システム、ウイルス除去フィルター、輸血用血液フィルターなどを医療現場に提供しています。

【ヘルスケア領域】クリティカルケア事業

2012年にアメリカのゾールメディカル社を買収し連結子会社化したことで始まった事業です。AED・除細動器、体温管理システムなどを開発、提供することで、医療現場へ貢献しています。

◇旭化成の職種とは?

ではこれらの事業をおこなう旭化成では具体的にどのような職種があるのでしょうか。
旭化成の新卒採用では「総合職」と「専門職」に分かれ、そして総合職の中で「技術系」「事務系」「MR職」、専門職の中で「技術系」「事務系」という職種があります。
 

・総合職・技術系職種

旭化成の製品に関わる研究開発をおこなう職種です。分野によって関わる・関わらないなどがありますが、細かく分けると以下のようなものがあります。
・研究開発
・生産技術開発
・プラントエンジニアリング
・医療材料、機器開発
・半導体デバイス開発
・回路設計開発
・情報システム開発
・臨床開発
・知的財産、技術営業、品質保証

専門職の技術系の職種は募集職種が狭まっており、年度によって変動します。2022年卒の採用では「化学・化工系」「機械系」「電気・制御・情報系」の募集がありました。
 

・総合職・事務系職種

事務系となっていますが、ただ座って事務作業をする職種ではありません。旭化成の製品のものづくりのプロデュースをおこなう「企画営業」や、これからどんな製品を製造していくのか企画する「事業企画」、旭化成のすべての事業を支える「経理」や「法務」などが事務系職種にあたります。
・企画営業
・事業企画
・経理、財務
・購買、物流
・人事
・法務

専門職の事務系の職種は募集職種が狭まっており、年度によって変動します。2022年卒の採用では「経理・計数」「人事・給与」「購買」「物流」の募集がありました。
 

・総合職・MR職

MR職とは病院やクリニックの医師や薬剤師などを訪問して、どんなことに困っているのか、どんな医薬品や治療機器が必要になっているのかなどを聞き、医療現場のリアルな情報をつかみ、また自社製品の提案などをおこなう仕事です。

そもそも旭化成とは?

旭化成の平均年収は?これまでの推移と特徴

旭化成の事業内容や職種などがわかったところで、旭化成の平均年収はどのくらいなのか見ていきましょう。
有価証券報告書をもとに過去10年の平均年収の推移は次のとおりです。

    平均年収 社員数
2020年 750万円 8,524人
2019年 769万円 7,691人
2018年 787万円 7,864人
2017年 764万円 7,520人
2016年 770万円 7,356人
2015年 921万円 1,178人
2014年 902万円 1,185人
2013年 845万円 1,205人
2012年 892万円 1,138人
2011年 923万円 1,089人

全体でみると、平均年収が下がってきているようにみえます。
しかし実態をみると平均年収がガクンと下がった2016年に、旭化成株式会社は旭化成ケミカルズ株式会社、旭化成せんい株式会社、旭化成イーマテリアルズ株式会社を吸収合併し、事業持株会社へ移行しています。つまり2015年までは経営を担う社員が多かった体制から、実際に現場で働く社員を含めた体制になったことから、平均年収が下がったのです。より実態に近い平均年収の数値になったといえます。

現在、旭化成の平均年収は700万円後半を推移しています。日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円ですから、全国平均よりも高い年収であることがわかります。

◇競合他社との比較

では化学メーカーのなかでは、旭化成の平均年収はどのくらいになるのでしょうか。

会社名            平均年収 人数 平均年齢
三菱ケミカルホールディングス 1,011万円 201人 45,6才
富士フイルムホールディングス 970万円 633人 45,5才
住友化学           855万円 6,277人 41,0才
旭化成            750万円 8,524人 41,5才
信越化学工業         848万円 3,238人 42,2才
花王             823万円 8,112人 40,5才

三菱ケミカルホールディングスと富士フイルムホールディングスの平均年収が飛びぬけて高くなっていますが、これはどちらも純粋持株会社という体制をとっている企業で、以前の旭化成のように、株式を持っている子会社の経営戦略を担う社員で構成されています。そのため実際に現場で働く社員の年収とは少し違う点に注意しましょう。

旭化成以外の化学メーカーの平均年収は800万円を超えるぐらいです。
とはいえ、旭化成は多様な事業をおこなっており、社員数も多いので化学メーカーのなかで極端に低い年収であるとはいえないでしょう。

◇課長で年収1000万?旭化成のキャリアアップとは?

では旭化成の年代別の年収や、キャリアアップの仕組み、昇給・賞与についてはどのようになっているのでしょうか。
まず賞与については年2回の支給で、個人評価も含んで算出されます。
昇給は基本的には年功序列の風潮が強く、年次や役職がつくことで昇給していく形です。役職なしで年収500万、係長、課長代理で年収500万~850万、課長職で年収1000万円以上になるようです。

なお、社員のスキルアップを支援する体制が整っており、所定の国家資格や公的資格に合格した場合に受験料や登録料を負担してくれたり、TOEICなどの受験料の補助、会社指定の通信教育を受講終了すれば受講料の補助、語学学校へ通う場合の受講料の補助などがあります。昇給の仕組みとして、役職で年収が異なる職階制とは別に「群」というグループもあり、どのグループに属しているかにもよって昇給のスピードが異なります。公的試験などに合格すれば昇給スピードも上がるので、自分のスキルアップが昇給に結びついているところもポイントです。

旭化成の平均年収は?これまでの推移と特徴

【新卒】旭化成の初任給・年収はいくら?院生・高専卒の初任給とは?

◇新卒の初任給と年収

就活生にとって一番気になるのは初任給がどのくらいかということでしょう。
2020年の実績を見てみると、旭化成の初任給は次のとおりです。

【総合職】
大卒:224,210円
修士:248,890円
博士:291,510円

【専門職】
高専本科卒・専門卒:192,300円
高専専攻科卒・大学学士卒:201,670円
大学修士卒:223,580円

大卒の平均年収は約20万円ですから、総合職であれば平均よりも高い初任給であることがわかります。年収に換算すると、300万円後半~400万円といったところでしょう。

まとめ

旭化成の平均年収にフォーカスを当て、そもそもの旭化成の事業内容や職種なども見てきましたが、いかがでしたか。大手総合化学メーカーとしての年収の高さが実感できたのではないでしょうか。年功序列、役職による昇給の差はあれど、資格の取得をすることでそのスキルアップが認められ、昇給のスピードが早くなるのは魅力的な点です。年次が上がるのを待つのではなく、ぜひ資格取得を目指して勉強し、年収を上げられるようにしていきましょう。

まとめ

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