そもそも講談社とは?
講談社は日本を代表する大手総合出版社です。
もともと1909年に「大日本雄辯會」として創業しました。「講談社」という名の通り、
「講談」に由来するものを中心に弁論雑誌や「講談倶楽部」という大衆文学雑誌を発刊してきました。現在は雑誌、書籍、コミックの出版や販売、それに関連したコンテンツ事業をおこなっており、海外へ日本のコミックを広めるなど日本のみならず海外も視野に入れたビジネスをおこなっています。
◇どんな仕事がある?講談社の職種を解説!
出版社と聞くと編集者のイメージがあると思いますが、他にどんな仕事があるのでしょうか。
編集という仕事はほんの一部であり、他には校閲やデジタル面で出版を支える仕事、出版した書籍をさまざまな方法を用いて届ける仕事、講談社の経営を支える仕事があります。新卒で募集している職種を中心にみていきましょう。
・つくる仕事
編集者というイメージの通り、雑誌や書籍をつくるために作家と調整をおこなったり、取材をおこなったりします。講談社の「つくる」仕事は次のような部門に分かれます。
・コミック
・文芸
・こども、教育
・学芸、学術
・報道、芸能
・ファッション、ライフスタイル
・とどける仕事
書籍を出版しても、消費者へ広く届かないと売上になりません。そのため消費者に届ける仕事が次に紹介する職種です。講談社の売上に直結する大事な仕事と言えるでしょう。企画力や営業力が問われます。
【コンテンツ事業】コミックや小説を、映像作品にしたり、関連するグッズやゲームを作ったり、舞台、イベントなどを企画するために、国内の企業と交渉し、企画営業などをおこなっていきます。
【海外事業】コミックや書籍、映像作品の海外版権を管理、運用していく仕事です。海外4カ国に関連会社があり、出向することもあります。
【マーケティングプロモーション】ジャンル別に分かれて、出版物の販売戦略の策定、マーケティング、宣伝や販促活動などをおこなう仕事です。書店や電子書店、販売会社などと関わります。
【メディアコミュニケーション】雑誌に載っている広告などは、企業がその雑誌に広告を載せることでその企業の宣伝になり、雑誌を発刊している出版社は広告を出す企業から広告料を貰って収入を得ています。そうした自社の商品を活用して、他の企業の課題を解決する仕事がメディアコミュニケーションの仕事です。
【業務、流通】製紙会社や印刷会社と関わりながら、出版物がきちんと制作されているかどうか確認し、品質管理、在庫運営などをおこなう仕事です。正しく市場に流通させるためになくてはならない仕事です。
・ささえる仕事
出版社にもそれらに関わる技術職があります。
【校閲】出版物の文字の誤りや内容の誤りなどを確認し、訂正する仕事です。講談社としての信頼性を高める仕事ともいえます。
【デジタルシステム】出版社というとどうしても紙とペンのアナログなイメージがありますが、これだけデジタル化が進んだ現在、講談社ではデジタル技術を用いた改革を進めています。そのため近年力を入れている部門です。社内システムの構築や、デジタル技術を使った新しいビジネスの開発をおこなっています。
【知財、法務】諸契約に関する確認や著作権、商標などのサポートをおこなったり、出版物の記事内容や表現方法の確認、法務処理などをおこなう仕事です。
【写真】合計11個のスタジオを社内に完備しており、さまざまな撮影をおこなう社員がいます。
出版業界の採用試験ってどんな内容?
近年はコロナ禍の影響もあり、採用試験の形が変わってきていますが、まずは一般的な出版業界の採用試験の内容をご紹介します。
◇出版社の採用試験は少し特殊!
一般的な企業の採用試験は、ES・履歴書の提出から書類選考があり、グループディスカッション、集団面接、個人面接などがあって採用となります。しかし出版社の場合は、その人の個性や創意工夫の力、文化、文芸に対する愛を知るために、少し特殊な問題が出てくるのが特徴です。特にグループディスカッションはなく、代わりに「作文」や「時事問題」などの各社オリジナルの筆記試験があります。どれだけ自分の文芸に対する愛を伝えられるかというところがポイントです。
また出版業界の採用試験のスタートは、経団連所属の企業が採用活動を本格的に始める6月よりも早く、2月頃にはスタートします。そのため出版業界に興味を持っている人は早めの対策が必要です。
◇出版業界の採用試験の流れ
・エントリーシート
志望動機、学生時代に頑張ったこと(ガクチカ)の他に、その人の人間性や、文化文芸に対する思い入れを量るための質問があることが特徴的です。具体的には「好きな本とその理由」「失敗経験や自分の弱み」「自分の一発芸やカラオケの十八番」などがあります。
ただ自分が好きな本や漫画の話を熱く語ればいいのかというと、そういうことではありません。出版社で働くには「ヒットする作品を見極める力」や「どうすれば売れるようになるかを考える企画力」などが求められるため、「その作品を客観的に分析した視点」を交えたうえで話せるといいでしょう。
・作文
他の業界ではない試験です。エントリーシート提出時と筆記試験のどちらか、もしくは2回作文を書くことがあります。文字数は800字程度で時間制限があり、実際に企業へ赴いて書くことが多いのでその時の瞬発力が必要です。大学などの小論文とは違い、自分自身のエッセイを書くことがほとんどです。
・筆記試験(時事問題、漢字問題)
一般的な企業の採用試験では、筆記試験と言えばSPIや玉手箱といったものですが、出版業界の場合は各社独自の筆記試験を用意しています。内容としては最新のトレンドに基づいた問題が多いです。エンタメ系、政治系など幅広く多くのことにアンテナを張っておく必要があります。
・面接
大手出版社になってくると面接を複数回やるため、面接にたどり着けても、ここからがまた戦いの始まりです。出版社のファン、文芸文化のファンであることはもちろんですが、それ以上に出版社でどんな企画をやりたいのか、どんな風に自分は活躍できるのかを伝えることが一番大切です。
採用人数が少ない?講談社の実際の採用試験の流れ
では、最後に2020年におこなわれた講談社の採用試験の実態をご紹介します。
コロナ禍が始まった年でもあり、通常の採用試験とは異なるのが特徴です。
◇講談社の採用試験の時期
2020年の採用試験では採用試験が2クールでおこなわれました。1つは2月中旬、もう1つは4月上旬にエントリーシートの提出が締め切られています。そのため12月頃から自己分析などの対策を始めておいた方が良さそうです。ちなみに、この年は2クール制がとられたものの、コロナ禍ということもあり最終的にはどちらも合流して採用試験がおこなわれています。
◇講談社の採用試験の流れ
①書類選考
応募者は4375人、通過者は1511人で通過率は約3割です。第1クールが2月13日、第2クールが4月3日提出締め切りでした。講談社のエントリーシートは3枚で1枚は手書きの自由回答となっています。意外と提出締め切りオーバーや提出書類が一枚足りないなどのアップロードミス、ケアレスミスで落とされている人が多いようなので、提出の際には確認を怠らないようにしましょう。
②筆記試験
受験者1492人、通過者789人で通過率は約5割です。第1クールが3月1日、第2クールが4月20日に開催されました。WEBテストと講談社オリジナルテスト、作文を実施する予定でしたが、コロナ禍の影響でWEBテストと作文の提出のみになっています。そのため界隈では有名な講談社の奇問難問のオリジナルテストがなかった採用試験です。
③第一次面接(オンライン)
受験者774人、通過者294人で通過率は約4割です。第1クールは3月15日から18日、第2クールは6月6日におこなわれています。受験者1名に対して実際に現場で活躍する社員2名、約20分間でおこなう形式です。「一緒に働きたいと思えるかどうか」を基準に見られていたそうです。講談社の求める人柄、人材はどういうものなのかを分析していく必要がありそうです。
④第二次面接(対面)
受験者270人、通過者82人で通過率は約3割です。第1クールは6月11日と13日、第2クールは6月12日におこなわれています。受験者1名に対して部長や編集長クラスの社員3名の形式です。初めての緊急事態宣言が発令されたこともあり、ここで第1クールと第2クールの日程が合流しました。ちょうど大手企業の採用試験が本格的になるところですから、日程調整に注意が必要です。
⑤第三次面接(対面)
受験者82人、通過者24人で通過率は約3割です。6月19日と20日に開催されています。受験者1人に対して役員など社員5~6人の形式です。面談時間が30分以上になることもあったようで、かなりの踏ん張り時の時期でしょう。
⑥総務面談(オンライン)
講談社では社長との面接の前に採用を担当する総務との面接があります。今回は面談という名称です。社長面接の前の打ち合わせのようなもので、落とすための面接というよりもお互いの最終確認のようなものです。通過率も100%で、健康診断も前後に行われます。
⑦第四次面接(対面)
受験者24人、通過者23人で通過率は約9割です。6月25日と26日におこなわれています。受験者1名に対して社長を含めた4名の社員と面接をします。1人15分と短い時間での面接になり、最後に何を伝えたいのか整理しておくことが大切です。
⑧内々定
最終的に応募者4375人から、入社予定者23人になりました。内訳としては男性12人、女性11人、理系は4人で外国籍の方も5人います。大手出版社とはいえ、採用人数が少ないのがよくわかるかと思います。
まとめ
講談社の採用について細かく見てきましたが、いかがでしたか。一般的な大手企業の採用試験とは違い、それぞれの個性や人柄を十分に見極めて、文化・文芸に対する愛情がどのくらいあるのかを量る採用試験であることがわかったかと思います。グループディスカッションや集団面接がないのも、その表れです。採用試験のスタートが早いことがわかったと思いますので、ぜひ対策をしっかりして講談社の採用試験に臨みましょう。
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