そもそもソニーの経営体制・事業内容とは?

「ソニー」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?音楽、ゲーム、テレビなど、さまざまなイメージがあると思います。平均年収を確認する前に、まずはソニーの経営体制や事業内容を押さえて、より年収の実態が理解できるようにしておきましょう。

◇ソニーは「純粋持株会社」

会社を経営する際、企業の規模が大きければ大きいほど、どこまでの権限をどのような形で管理するかという点は難しい問題です。そのため会社の特徴や方針によって、さまざまな経営の形があります。そんな中、ソニーでは「純粋持株会社」という体制をとって経営をおこなっています。

「純粋持株会社」とは、自分たちでは製造や販売などの活動はおこなわず、グループ会社や子会社の株式を持ち、それぞれの企業の経営方針を牛耳ることを目的とした会社です。聞こえは悪く感じますが、製造や販売の機能と、経営の機能を分けることで意思決定や情報共有がスムーズにいき、現場や市場に合ったビジネスを迅速に展開できるなどのメリットがあります。

ソニーでは、まず子会社の株式を所有する会社として「ソニーグループ株式会社」があり、6つの事業別に分かれて「株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(ゲーム&ネットワークサービス)」、「株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(日本/音楽)」、「株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(映画)」、「ソニー株式会社(エレクトロニクス・プロダクツ&ソリューション)」、「ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社(イメージング&センシング・ソリューション)」、「ソニーフィナンシャルグループ株式会社(金融)」が主な子会社として構成されています。

ちなみに新卒採用では、各企業ごとに募集をしていたり、いくつかの企業が合同で募集をおこなっているなど、ソニーの関連会社として多様な形で募集をしています。募集要項や応募資格などをよく確認してエントリーするようにしましょう。

◇ソニーの事業内容

では、ソニーグループ株式会社が株式を所有する企業、つまり実際に開発や製造、販売をおこなっている会社はどんな事業を進めているのか押さえておきましょう。
 

・株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント

プレイステーションに関する企画、開発、販売や、toio(トイオ)というロボットトイに関する企画、開発、販売をおこなっています。ソニーのゲームやネットワークサービスの商品を担う会社です。
 

・株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント

音楽に関わるコンテンツ事業、ストリーミング事業、スポーツやライブなどのエンタメ事業、タレントやアーティストの発掘や育成、エンタメのマーケティングやタイアップ事業の企画などをおこなっています。ソニーの音楽やエンタメに関するサービスを担う会社です。
 

・株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

放送事業や、映画、ビデオソフト、テレビ番組などの企画、制作、販売、輸出入、放送、上映、配給などをおこなっています。ソニーの映画・映像コンテンツに関する商品を担う会社です。
 

・ソニー株式会社

Xperiaなどのモバイル電子機器やカメラ、ヘッドフォン、ウォークマンなど、いわゆる家電商品の開発、製造、販売をおこなっています。ソニーの家電事業を担う会社です。
 

・ソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社

半導体関連製品や電子、電気機械器具の研究、開発、生産、販売をおこなっています。ソニーの半導体事業を担う会社です。
 

・ソニーフィナンシャルグループ株式会社

生命保険会社、損害保険会社、銀行などの業務をおこない、ソニーの各子会社の経営管理や保険商品、損保商品の販売もおこなっています。ソニーの金融に関するサービスを担う会社です。

そもそもソニーの経営体制・事業内容とは?

ソニーの平均年収は1,000万以上!?これまでの年収の推移と初任給

では、ソニー全体の経営体制が大まかにわかったところで、ソニーの平均年収について押さえていきましょう。今回はソニーの子会社の経営を担うソニーグループ株式会社の有価証券報告書を基に解説していきます。

◇ソニーの平均年収の推移

過去10年間の平均年収の推移は次のとおりです。

    平均年収 従業員数
2020年 1,044万円 2,973人
2019年 1,057万円 2,682人
2018年 1,050万円 2,519人
2017年 1,013万円 2,428人
2016年  910万円 6,185人
2015年  935万円 10,510人
2014年  859万円 12,286人
2013年  885万円 14,642人
2012年  891万円 15,531人
2011年  951万円 16,576人

近年は平均年収が1,000万円以上になっていることがよくわかります。
しかし実態を考えてみましょう。まず2014年にテレビ事業の分社化とPC事業を売却したため、従業員数が前年から約2000人ほど減っています。そして2015年にテレビ&サウンド事業の分社化、2016年に半導体事業の分社化、2017年に今のソニー株式会社に入っている写真映像系の事業を分社化しており、結果として現在の純粋持株会社の体制へ移行しています。

そのため、この平均年収はソニー全体の経営を決める会社のものであり、実際に現場で働く社員とは少し違うという認識も持っておくといいかもしれません。
とはいえ、ソニーは日本の総合電機メーカーのなかでトップの売上高を誇っており、また優秀な人材を確保するために、社員の給与や新卒の初任給を上げる方向性を示している会社です。実際の社員も年収1,000万円を目指せるといっても過言ではありません。

ちなみに日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円です。それに比べたら、非常に高い年収であることがわかります。

◇ソニーの新卒の初任給はいくら?

では新卒社員の初任給はどのくらいなのでしょうか。
まずは先ほど紹介した平均年収の数値を出しているソニーグループ株式会社の初任給についてです。家電事業のソニー株式会社と、半導体事業のソニーセミコンダクタソリューションズ株式会社も同じ条件になります。

大学卒 255,000円
修士了 285,000円

他の子会社の初任給は次のとおりです。

株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント(ゲーム&ネットワークサービス)
技術職/事務職/制作系
学部卒 年俸制・415万円(別途特別賞与)
修士了 年俸制・465万円(別途特別賞与)

株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメント(日本/音楽)
大卒・院卒 年俸制・385万円(別途業績賞与)
短大・専門卒 年俸制・360万円(別途業績賞与)

株式会社ソニー・ピクチャーズエンタテインメント(映画)
※近年、新卒採用はおこなっていません。

ソニーフィナンシャルグループ株式会社(金融)
・ソニー生命
大卒 224,600円
院卒 242,600円
・ソニー損保(全国勤務型)
大卒 220,000円
・ソニー銀行
大卒 241,667円
院卒 254,167円
・ソニーペイメントサービス
大卒 230,000円
院卒 245,000円

日本の平均初任給は約20万円ですから、軒並み平均以上の初任給となっています。
とくに半導体や電気機器、AIなどの先進技術に関する会社では、技術力の海外流出を防ぐために新卒で年収600万~750万円は稼げるようにしてきています。海外では技術系の新入社員に対して初任給50万円は当たり前の世界になってきており、そうした流れを汲んでソニーでも賃金アップを目指して動いているのです。

ソニーの平均年収は1,000万以上!?これまでの年収の推移と初任給

ソニーの年収は低い?競合他社との比較

では総合電機メーカーの中で、ソニーの平均年収はどのくらいの立ち位置なのか押さえておきましょう。

会社名  平均年収 従業員数 平均年齢
ソニー    1,044万円 2,973人 42,2歳
日立製作所  890万円 29,850人 42,6歳
パナソニック 743万円 59,006人 45,8歳
三菱電機   796万円 36,162人 40,7歳
富士通    865万円 32,026人 43,8歳

ソニーの平均年収が高いことがわかります。年収が高くなっている要因としては、そもそもソニーの経営を担う会社の社員の統計のため平均年収が高く出てしまうこと、日本の電機メーカーが経営に苦戦する中、売上が好調であり、それに応じて賞与もたくさん出ていることなどが挙げられます。

ソニーの年収は低い?競合他社との比較

ソニーで年収を上げるには?給与制度の仕組み

では最後に、ソニーの給与制度とそれによってどのように年収を上げることが出来るのか確認しましょう。

ソニーの給与制度は「ジョブグレード制」

日本は古くから「どのくらいその会社で働いているか」という年次によって給与が決められてきましたが、最近は「どんな役割を担ってどのくらいの実績を出したか」ということに注目して、昇給を決めるところが増えてきています。ソニーもその傾向が強く出ており、個人の役割と実績で評価する「ジョブグレード制」を導入しています。

ソニーのジョブグレード制は、一般社員の「I」というグループ(インディビジュアルコントリビューター群)と管理職社員の「M」というグループ(マネージャー群)に分かれており、Iの中で「I1」~「I9」、Mの中で「M6」~「M12」という階層があります。大卒の新入社員は「I3」からスタートし、「I4」で主任、「I5」でリーダーという形です。「I6」は管理職グループの「M6」と同じ階級及び給与となり、管理職を目指したければこの段階から「M」のグループに移れます。もし現場のスペシャリストとして働きたいという希望があれば「I6」~「I9」を目指す形です。「I6」は「M6」で統括課長と同じテーブル、「I8」は「M8」で統括部長と同じテーブル、「I9」は「M9」で事業部長と同じテーブルです。

これまでは管理職にならないと年収が急激に増えないという欠点がありましたが、この制度のおかげで、主に技術職やエンジニアを中心に、経験を積んで現場のスペシャリストとして働き年収を上げたいという社員のニーズに答えることができるようになりました。

ソニーの20代・30代の年収は?

このジョブグレード制に基づいて実際の年収を見てみると、

20代の「I3」で年収600万円
30代の「I4」~「I5」で年収800~1,000万円
40代「I6」もしくは「M6」以上で年収1,100万円
といったところのようです。

早い人では20代で「I5」のテーブルに行く人もおり、もしソニーに入社して年収を稼ぎたいということであれば、毎年実績を残してジョブグレード制をフル活用するといいでしょう。

まとめ

ソニーの年収を中心に、ソニーの経営体制や事業内容の解説、平均年収の推移と給与制度を紹介してきましたが、いかがでしたか。

総合電機メーカーの多くが海外企業の急速な発展により経営苦戦に陥る中、事業内容の刷新や経営体制の改革に乗り出し、なんとか困難を乗り越えているソニーです。今後はさらに人材の取り合いが加速し、より実力主義の世界になってくるでしょう。それに伴って平均年収や給与制度も変わってくるはずです。年功序列の上にあぐらをかかずに、入社後も努力を続けて自分の力で年収を上げていきましょう。

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