丸紅の平均年収はいくら?

◇丸紅の平均年収の推移

ではさっそく丸紅の平均年収の推移を見ていきましょう。
企業の平均年収を確認する際は、有価証券報告書を見るとわかります。

    平均年収 従業員数
2020年 1,192万円 4,389人
2019年 1,452万円 4,404人
2018年 1,389万円 4,418人
2017年 1,322万円 4,436人
2016年 1,221万円 4,458人
2015年 1,226万円 4,437人
2014年 1,306万円 4,379人
2013年 1,274万円 4,289人
2012年 1,222万円 4,166人
2011年 1,187万円 4,074人

安定的に平均年収1,000万円以上をキープしています。
2020年の平均年収が低くなっているのは、前年度の業績悪化が影響していると考えられます。ちなみに日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円です。それに比べると倍以上の平均年収であることがわかります。

ただし、これは一般職と総合職をあわせた数値から出した平均値です。
そのため総合職のみの年収で換算すると、平均年収はもう少し高くなるでしょう。

◇競合他社との比較

丸紅の平均年収がわかりましたが、これらは商社の中でどのくらいの年収になるのでしょうか。
五大商社の「三菱商事」「住友商事」「三井物産」「丸紅」「伊藤忠商事」で比べてみましょう。

2020年の平均年収
三菱商事  1678万円 5,725人 42,7歳
住友商事  1356万円 5,240人 42,7歳
三井物産  1482万円 5,587人 42,1歳
丸紅    1192万円 4,389人 42,2歳
伊藤忠商事 1627万円 4,215人 42,0歳

2019年の平均年収
三菱商事  1631万円
住友商事  1437万円
三井物産  1393万円
丸紅    1452万円
伊藤忠商事 1565万円

コロナ禍の影響が出る前(2019年)の五大商社の平均年収はそこまで大きな差はありません。しかし2019年は資源価格の下落が響き、丸紅の業績がよくなかった年でもあります。丸紅のボーナスは前年の会社の実績も加味されるため、2020年の平均年収が他の商社よりも低いのはその影響が考えられます。

丸紅の平均年収はいくら?

丸紅の事業内容や強みって何?

丸紅の平均年収と五大商社の中での平均年収の比較を見てきましたが、実際、どんな事業をおこなっていて、どのような強みがあるから、ここまで高い年収になるのでしょうか。丸紅の事業内容を見ていきましょう。

◇生活産業グループ

衣料品や生活用品、情報ネットワーク事業など、生活に身近にある製品を取り扱っている部署をまとめたグループです。
次の3つの部門に分かれています。

【ライフスタイル本部】
衣料品やフットウェア、生活用品、繊維原料、産業資材を取り扱っている部門です。
具体的には有名ブランドの企画、製造、販売のお手伝いをして、ブランドマーケティング事業をおこなったり、発注元企業の名義やブランド名で販売される商品を、自社の技術やビジネス網を駆使して、代わりに開発、設計、製造をおこなったりしています。

【情報・不動産本部】
システムソリューション、モバイル販売、ネットワーク事業、国内外の住宅開発、不動産投資運用、プロパティマネジメント、アメリカの不動産アセットマネジメントサービス、物流、保険などの事業をおこなっている部門です。

【フォレストプロダクツ本部】
チップ燃料、バイオマス燃料、パルプや古紙、紙製品、板紙製品、衛生用品、縦材、木材製品など、木材を用いた燃料や製品を取り扱っている部門です。2カ国で植林事業の適正管理をおこなっています。

◇食料・アグリ・化学品グループ

生活の中の「食」に関する製品を取り扱うグループです。
次の4つの部門に分かれています。

【食料第一本部】
市販用食品、業務用食品、乳製品、小麦粉、砂糖、油脂などの食品原料、コーヒー、茶、果汁などの飲料原料、農産物、水産物、水産加工品を取り扱っている部門です。ちなみにマックスバリュやマルエツなどのスーパーはユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングスのスーパーであり、この会社の株式を丸紅はイオンと共同で持っています。そのためこの部門で卸された商品がこれらのスーパーに流れているでしょう。また輸入コーヒー豆の販売シェアの3割は丸紅の取引になっています。

【食料第二本部】
畜産物や畜産加工品、トウモロコシや大豆、小麦、菜種などの穀物全般、大豆粕や菜種粕、魚粉などの飼料副産物、配合飼料などを取り扱っている部門です。穀物事業は、五大商社の中でも丸紅が大きな存在感を放っており、丸紅の強みともいえます。国内自給率の低い日本にとっては重要な存在です。

【アグリ事業本部】
農業資材の販売や、農業に関する技術サービスの提供、肥料原料のトレード、穀物や油糧種子の集荷と販売そして輸出などをおこなっている部門です。食料品の取引ではなく、食料品を作るための農業に着目したビジネスを展開しています。

【化学品本部】
石油化学基礎製品や合成樹脂、塩やクロールアルカリ、食品機能材、飼料添加物、オレオケミカル、パーソナルケア素材、電子材料、無機鉱物資源、肥料原料、無機化学品などを取り扱っている部門です。食の中で使われる化学品の取引をおこなっています。

◇エネルギー・金属グループ

おもにエネルギー資源に関する商品や開発プロジェクトを進めているグループです。
次の2つの部門に分かれます。

【エネルギー本部】
新エネルギー関連事業、天然ガス事業、石油やガスの探鉱、開発、生産事業、石油やLPGのトレードや物流、マーケティング事業、原子力事業をおこなっている部門です。

【金属本部】
鉄鉱石、原料炭、銅の鉱山開発、アルミニウムやマグネシウムの製錬、鉄鋼や製鋼原料、セメント関連資材、非鉄軽金属原料、地金のトレード、鉄鋼製品のトレードや事業投資、鉄や非鉄軽金属、レアメタルなどのリサイクルをおこなっている部門です。

◇電力・インフラグループ

電力関連事業やインフラ事業を手掛けるグループです。国内外問わずおこなっており、特に途上国の電力供給やインフラ整備に携わっています。次の2つの部門に分けられます。

【電力本部】
発電事業と電力サービス事業に分かれており、再生可能エネルギーの発電事業や、電力小売り事業などにも着手しています。電力事業は丸紅の強みの1つであり、その地域の特徴にあった電源を使った発電事業をおこなっており、世界20カ国以上に合計12,003メガワットの電力資源を所有しています。

【インフラプロジェクト本部】
鉄道、道路、港湾、空港などの交通インフラ事業や、上下水処理事業、海水淡水化事業、ガスの配送、小売事業、石油やガスの生産、処理、輸送、貯蔵などのエネルギーインフラ事業、廃棄物発電や燃料転換、CO2の回収などをおこなっている部門です。

◇社会産業・金融グループ

船舶や建設機械など産業に関わる物のトレードや販売、レンタル事業などをおこなっているグループです。
次の3つの部門に分かれます。

【航空・船舶本部】
航空機やエンジンの部品のトレード事業や、資産運用、開発投資事業、民間航空や防衛装備品の代理店、宇宙関連業、ビジネスジェットの販売代理業、空港グランドハンドリング事業や空港車両自動化事業、一般商船の売買や用船仲介、保有運行事業、船舶プール事業、船舶ファンド事業、LNG船の保有運行事業や海洋事業などをおこなっている部門です。

【金融・リース事業部】
自動車販売金融事業、商用車のレンタル事業やリース事業、航空機や航空機エンジンのリース事業、冷凍トレーラーや冷蔵トレーラーのリース事業やレンタル事業、貨車リース事業などをおこなっている部門です。

【建機・産機・モビリティ本部】
建設機械や鉱山機械の販売やサービスや金融事業、タイヤの小売販売や自動車のアフターサービス事業、コンベヤベルトのゴム資材やゴム原料の販売事業、自動車ディーラー事業、自動車のアフターマーケット部品販売事業、EVインフラと分散電源の開発事業、モビリティサービス関連事業、自動車関連設備機械や工作機械の販売、産業機械の販売などをおこなっている部門です。

◇CDIO

【次世代事業開発本部】
領域に関わらず、次の丸紅の強みやビジネスになる事業を展開する部門です。スマートシティや脱炭素の新技術に関する事業、eスポーツ事業など次の世代を担うビジネスモデルの開発と構築をおこなっています。

丸紅の事業内容や強みって何?

丸紅の総合職と一般職の違いとは?新卒の初任給はいくら?

丸紅の事業内容を見てきましたが、日本の五大商社ということもあり、幅広い事業をおこなっていることがわかります。少数精鋭のチームで大きなお金を動かしているわけですから、それだけ平均年収が高くなることもうなずけるでしょう。

次に丸紅の初任給や職種による違いなどを見ていきます。
平均年収1,000万円以上になるためのスタート地点である初任給は一体いくらなのでしょうか。

◇丸紅の初任給と昇給制度

基本的に五大商社の初任給は大体同じ水準になっています。
丸紅の場合、総合職と一般職があり初任給もそれぞれに分かれます。

総合職
大卒:255,000円
院卒:290,000円

一般職
大卒・院卒:205,000円

大卒の男女合わせた平均初任給は約21万円ですから、総合職の場合はそれよりも高い水準であることが言えます。

初任給からの昇給については、年々実力主義よりの制度になっているものの、まだ年功序列の風潮が残っているといいます。そのため入社後10年は大体皆同じ昇給の仕方をしていきます。違いが出るとすると、海外勤務の有無や残業時間の違いです。早ければ20代後半、遅くても30代には年収1,000万円に到達するようです。

なお、丸紅の特徴としてはボーナスが高額であることが挙げられます。
年収に対するボーナスの割合は大体30~50%です。ボーナスは個人の成績と会社の業績によって変わり、前年の評価が次の年のボーナスに影響します。そのため前述したように、2019年の丸紅の会社全体としての業績がよくなかったことから、ボーナスが減り、2020年の全体の平均年収が低くなったといえます。

◇丸紅の総合職と一般職の違いとは?

丸紅の総合職と一般職の違いは、まず業務範囲の違いです。
総合職はチームや部門の方針を踏まえて、自分がするべき業務や解決すべき課題を決めて実行に移しますが、一般職は上長の指示や決められたルールの上で仕事を遂行していきます。そのため一般職は総合職のアシスタント業務をおこなうことが多いです。また一般職は勤務地の変更などの異動はありません。「アシスタント業務なら簡単そう」と思うかもしれませんが、最近は一般職にも上長の指示のもと主体的に働くことが求められており、ただ指示を聞いて仕事をするだけとは思わないほうがいいでしょう。

ちなみに一般職から総合職へ変更することもできます。上長からの推薦を得て、職拳転換試験に合格すれば総合職になることが可能です。

丸紅の総合職と一般職の違いとは?新卒の初任給はいくら?

まとめ

丸紅の平均年収を中心に、初任給の金額や職種の違い、丸紅が取り組む事業内容について解説してきましたが、いかがでしたか。五大商社ということもあり、高水準の平均年収で、他の五大商社と比べても引けを取らない金額であることがわかりました。しかしまだまだ年功序列の色は濃く、新卒で入社してから年収を上げるためには長く勤めることが必要なこと、そしてボーナスの年収に占める割合が高く、会社の業績によって個人の年収も大きく左右されることが見えてきました。そうした面も踏まえながら企業選びをしていくといいでしょう。

まとめ
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