【年収を知る前に】そもそも京セラって何?

「京セラ」という社名は聞いたことがあるけれど、実際にどんなことをしている会社なのかわからないという人もいるのではないでしょうか。年収を見る前に、まずは京セラについて理解を深めていきましょう。

◇京セラは京都に本社を置く電気機器メーカー

京セラの始まりは、1959年に京都市中京区に設立したファインセラミックス専門メーカー「京都セラミツク株式会社」です。
セラミックスは金属、有機材料に並ぶ三大材料の1つで、もともとは陶磁器を指し、現在は耐火物、ガラス、セメントなどを含む非金属・無機材料を指します。一番身近で分かりやすい例としては、セラミック製のナイフでしょうか。こども用の包丁として売られていることも多い、プラスティックのような色合いの包丁です。また人工骨などにも使われています。京セラでよく使われるファインセラミックスはセラミックスを高密度にしたもので、京セラの創業者によって名づけられました。

現在はファインセラミックスの技術を生かして、産業用部品や自動車用部品、半導体関連部品、電子デバイス、携帯電話やスマートフォンの製造などもおこなっています。ちなみに最近話題になったバルミューダのスマートフォンは京セラが委託を受けて製造しています。

事業内容について細かく見ていきましょう。

◇部品事業

売上高の約6割を占めるのが部品事業です。
以下の3つに大きく分かれます。

【産業・自動車用部品】
半導体を製造する装置の部品や、自動車に取り付けられるカメラモジュール、車載用の液晶ディスプレイ、機械工具などを開発、製造しています。
【半導体関連部品】
セラミックと有機材料を用いて、半導体素子を保護するパッケージを作ったり、光通信用の部品を製造したりしています。
【電子デバイス】
スマートフォンや産業用機器の中にある電子部品や、デジタル印刷機器のなかにある部品などを製造しています。

◇機器・システム事業

売上高の約4割を占めるのが機器・システム事業です。
以下の3つに大きく分かれます。

【コミュニケーション】
携帯電話やスマートフォン、タブレット、IoT機器の開発、製造、販売や、情報通信の基地局や通信システムを提供しています。日本ではApple社のスマートフォンが主流ですが、京セラ製のスマートフォンは北アメリカを中心に高耐久モデルのスマートフォンとして有名です。
【ドキュメントソリューション】
プリンターや複合機の開発、製造、販売や、ドキュメントソリューションという顧客のデータや文書を入力から出力まで自社開発製品で一括に管理するサービスをおこなっています。
【生活・環境】
太陽光発電システムやリチウムイオン蓄電システム、人工関節やデンタルインプラントなどお医療用製品、宝飾品やキッチングッズなどの開発、製造、販売をおこなっています。

【年収を知る前に】そもそも京セラって何?

京セラの平均年収は低い?同業他社との比較

◇京セラの平均年収

京セラの事業内容が大まかに理解できたかと思います。
それでは、これらの事業を手掛ける京セラの平均年収はどのくらいなのかを確認していきましょう。
企業の平均年収は有価証券報告書を確認するとわかります。

2020年 684万円 19,865人
2019年 715万円 19,352人
2018年 723万円 19,286人
2017年 720万円 18,451人
2016年 689万円 16,463人
2015年 703万円 14,146人
2014年 668万円 14,026人
2013年 642万円 14,083人
2012年 625万円 14,786人
2011年 627万円 14,773人

2019年から2020年にかけては平均年収が落ちていますが、2017年以降は700万円を超えてきています。
日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円です。それに比べると高水準の平均年収であることがわかります。

◇同業他社との平均年収の比較

電気機器メーカーとして活動している企業の平均年収と比べるとどのくらいになるのか見てみましょう。

【電気機器メーカー業界】
企業名     平均年収 従業員数 平均年齢
ソニー     1,044万円 2,973人  42,2歳
日立製作所    890万円 29,850人 42,6歳
パナソニック   754万円 60,455人 45,7歳
三菱電機     806万円 35,649人 40,5歳
富士通      865万円 32,026人 43,8歳
キャノン     744万円 25,713人 44,4歳
東芝       868万円 3,299人  44,8歳
日本電気(NEC) 829万円 20,589人 43,7歳
シャープ     743万円 6,419人 45,7歳
リコー      782万円 8,022人 45,2歳
京セラ      684万円 19,865人 41,1歳

2020年の売上高ランキングをもとに平均年収と従業員数、平均年齢を並べてみました。
ソニーや東芝は純粋持株会社のため、経営層の社員で構成された平均年収になっており、その影響で平均年収が高くなっています。平均年収が800万円を超える売上上位の企業に比べると、京セラの平均年収は少し低い水準ともいえるでしょう。

京セラの平均年収は低い?同業他社との比較

京セラの初任給はいくら?昇給や職種の違いはあるのか?

◇京セラの初任給

京セラの平均年収についてわかりましたが、その年収になるために、どのくらいの初任給からスタートして、どのように昇給していくのかを押さえておきましょう。

京セラの職種は技術コースと営業管理コースの2つに分けられますが、賃金制度はどちらも同じです。
初任給の設定は次のようになっています。

学部卒(大卒):219,500円
修士了(院卒):243,500円
博士卒(院卒):267,000円

日本の大卒の男女合わせた平均初任給が約21万円ですから、スタートの初任給は平均並みになります。

◇京セラの給与制度

京セラの給与制度は、基本的には年功序列の風潮が強く、ある程度までは皆同じように賃金が上がっていく仕組みです。大体1年で1万円ずつ上がっていくイメージです。

賞与は6月と12月の年2回となっており、会社の業績はあまり関係なく出るようです。つまり業績が悪くても出るということは、好調であっても特段上がることはないともいえます。この安定的に出る賞与が、京セラの年収を上げている要因の1つともいえます。

年収の目安としては、20代前半で440万円~550万円、20代後半から30代で550万円~650万円、主事補クラスになると700万円を超えてきて、係長クラスが800万円~900万円、課長クラスが1,000万円を超えるとなっています。

◇京セラで年収を上げるためには?

京セラで年収を上げるには、長く勤めること、そして昇格試験に合格して職階を上げていくことが必要です。
まず入社4年目に「3年次論文」というものがあり、そして30歳頃に主事補試験があります。しかしここまでは大体みんな合格し、昇格するそうです。40歳前半には副参事試験がありますが、これ以降の試験は合格できるのが一握りということで、このあたりから今までの努力や実績が年収に響いてくるでしょう。

年功序列なのでルールの範囲内である程度頑張っていれば、普通に昇給するようですが、逆を言えば、若手のうちはどんなに頑張っても周りと同じような年収であるといえそうです。自分の実績次第でどこまでも年収を伸ばしたい、という人には不向きな社風かもしれません。

まとめ

京セラの平均年収を中心に、初任給からの昇給、昇格の流れ、京セラの事業内容や職種について解説してきましたが、いかがでしたか。

電気機器メーカーとして、そして日本のセラミックス製品を取り扱う企業の第一人者として活躍している京セラですが、約700万円の高水準の平均年収であることがわかりました。年功序列の社風や昇給・昇格制度も含めて、ぜひ企業選びをしていきましょう。

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