【年収を知る前に】大和証券とはどういう組織なのか?

大和証券の平均年収を知る前に、まずは大和証券がどのような会社なのかを押さえておきましょう。

◇大和証券の組織図

大和証券は日本の大手証券会社5社「大和証券」「野村証券」「SMBC日興証券」「みずほ証券」「三菱UFJモルガンスタンレー証券」の1つとして数えられます。

まず大元の会社として「大和証券グループ本社」という純粋持株会社があります。
純粋持株会社とは実際の金融業務などは行わず、保有する株式の会社の経営をサポートして売上を上げ、結果的に得られる配当金の量を増やすことで利益を立てていく会社です。つまり大和証券グループの場合、証券会社としての仕事をしている「大和証券」という会社があり、その株式を所有して経営を担っているのが「大和証券グループ本社」ということです。

会社の平均年収を見る際に「有価証券報告書」というのを確認するのですが、大和証券の場合は経営層が多く所属する「大和証券グループ本社」の有価証券報告書しか見れないため、実際に働く社員の平均年収の実態は口コミなどでしかわからないという点に注意しましょう。

なお、大和証券グループ本社の組織図としては、まず金融商品を個人向け・法人向けに売買する「リテール部門」「ホールセール部門」、そして投資運用や投資運用をサポートする「アセット・マネジメント部門」、これから成長する企業を育ててから売却などをして利益を得るPEファンドなどの投資事業をおこなう「投資部門」、ほか10社に分かれており、それぞれ独立した株式会社として成り立っています。そうした株式会社の株式を保有しているのが「大和証券グループ本社」です。

今回、年収の話をするのは「大和証券グループ本社」のなかでリテール部門とホールセール部門を担っている「大和証券」ということになります。

◇大和証券の事業内容

それでは、そんな大和証券の事業内容を具体的に見ていきましょう。

・リテール部門

新卒で入社後は基本的にこのリテール部門への配属となります。
「リテール」とは一般消費者向けの小売のことを指すように、個人や未上場の法人向けに、それぞれの資産運用ニーズに合わせて金融商品やサービスを売っていく仕事です。これを資産運用コンサルタント業務といいます。他にも相続や事業継承、不動産や資産保全などのサポートもおこないます。

・ホールセール部門

「リテール」とは反対に「ホールセール」は「卸売」を意味しますが、金融期間においては法人や機関投資家、公共機関などの大口の顧客に対して営業をおこなう仕事のことをいいます。主に「グローバル・マーケッツ」と「グローバル・インベストメント・バンキング」に分かれます。
グローバル・マーケッツは株式や証券、為替、デリバティブなどを使ってセールスやトレーディング事業をおこない、顧客である機関投資家や事業法人の資産運用の課題を解決します。
一方でグローバル・インベストメント・バンキングは、国内外の機関投資家や上場法人の発行体の株式や証券の発行をサポートしたり、M&Aアドバイザーなど企業価値を高めるためのサポートをおこないます。

【年収を知る前に】大和証券とはどういう組織なのか?

大和証券の平均年収はどのくらい?他社との比較とは?

大和証券の組織の仕組みや事業内容を確認できました。

それではついに、そうした業務をおこなっている社員は一体どのくらいの年収を稼いでいるのか見ていきましょう。
企業の平均年収を見る際には有価証券報告書を確認しますが、前述したように一般公開されている有価証券報告書は「大和証券グループ本社」のもののため、実際にリテール部門やホールセール部門で働いている社員の平均年収とは異なることをあらかじめご承知おきください。

◇大和証券グループ本社の平均年収の推移

過去5年間の大和証券グループ本社の平均年収の推移は次のとおりです。

2020年 1,007万円 575人
2019年 1,014万円 601人
2018年 1,056万円 617人
2017年 1,045万円 619人
2016年 1,072万円 612人

平均年収が1,000万円越えと、かなりの高水準の平均年収であることがわかります。
ちなみに日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円です。
それと比べると群を抜いて高い年収であることがわかりますね。

◇大手証券会社5社との平均年収の比較

では日本の大手証券会社と呼ばれる5社で、平均年収を比較してみましょう。

               平均年収 従業員数 平均年齢
大和証券           1,007万円 575人  42,1歳
野村証券           1,414万円 154人  43,1歳
SMBC日興証券         1,142万円 1,034人 40.0歳
みずほ証券           993万円 1,949人  41,4歳
三菱UFJモルガンスタンレー証券 882万円 173人  45,6歳

大和証券以外の平均年収の数値も、実際に証券会社としての仕事をしている社員の平均年収ではなく、グループ本体の経営管理をしている会社のものであることに注意してください。ちなみに野村証券はホールディングスの、SMBC日興証券は三井住友フィナンシャルグループの、みずほ証券はみずほフィナンシャルグループの、三菱UFJモルガンスタンレー証券は三菱UFJ証券ホールディングスの傘下です。

それぞれを比べてみると、野村証券が一番高く、次にSMBC日興証券、そして大和証券と続きます。現在の売上高や営業利益を見ると、野村証券が飛びぬけてトップであり、次点で大和証券となっています。SMBC日興証券の平均年収が高いのは、従業員数が少ないことも影響していることが考えられるため、平均年収のランキングが野村証券、大和証券と続くのは妥当だといえそうです。

ちなみに2020年から2021年の証券会社の営業収益ランキングをもとにすると、次のようになります。

野村ホールディングス         1,414万円  154人  43,1歳
大和証券グループ本社         1,007万円  575人  42,1歳
SBIホールディングス            804万円  212人  39,2歳
三菱UFJ証券ホールディングス       882万円  173人  45,6歳
マネックスグループ           828万円  46人  41,6歳

野村証券を抱える野村ホールディングスと、大和証券を抱える大和証券グループ本社の平均年収の高さがわかります。

大和証券の平均年収はどのくらい?他社との比較とは?

【新卒必見】大和証券の初任給はいくら?20代・30代の年収とは?

就活生にとって一番大切なのは、初任給がいくらなのかということと、新卒で入社後にどのような形で昇格・昇給ができ、年収が上がっていくのかということですよね。最後にそれらを確認していきましょう。

◇大和証券の初任給は40万⁉

大和証券の募集要項を見てみると、大卒、院卒での初任給の違いはなく、職種によって初任給が異なります。

【総合職】
大卒:255,000円
【総合職・エキスパートコース】
大卒:400,000円
【カスタマーサービス職】
大卒:220,000円

総合職のエキスパートコースが初任給40万円というのは驚きですが、これは2022年卒の社員から始まったもので、デジタルITや高度な金融知識を持った人材を得るために設定された人事制度です。金融業界ではAIを使った資産運用やネットでの証券取引が盛んになっており、そうした分野で活躍できる人材を他社に負けずに引き抜けるようにしています。

一般的な総合職の初任給は255,000円ですが、これも高水準の初任給です。
日本の大卒の男女合わせた初任給の平均は約21万円ですから、大手証券会社として高い初任給であることは間違いないでしょう。

◇初任給からの年収の推移・昇給制度とは?

ではこの約25万円の初任給からどのように年収が推移していくのでしょうか。

まず、新卒1年目の年収は総合職で約400万、カスタマーサービス職で約300万が想定されます。
大和証券の昇給は年1回、賞与は6月と12月の年2回です。
昇給・昇格は入社してから15年ほどは基本的に年功序列で上がっていきます。ただし昇格は横並びでも、実績や評価によって月給が1万円以上違うこともあり、ある程度年次が上がると個々人の実績によって給与に差が出てくるそうです。
賞与は会社の業績によって変わるため、安定したボーナスというよりも変動の大きいボーナスといえます。

大和証券の特徴として、19時以降は残業禁止など残業に対して厳しいという面があります。
そのため年功序列の大手企業でよくある「若手は残業代で稼ぐ」という風潮はあまりありません。大和証券で年収を上げるためには、やはり営業成績がものをいう世界ですから「実績を積む」そして「昇格する」というのが一番でしょう。

部門や個人成績によっても年収は異なってきますが、大まかな推移は次のとおりです。

役職なし   約350万円~600万円
主任     約500万円~1,000万円
課長代理   約900万円~1,100万円
上席課長代理 約1,100万円~1,500万円
次長     約1,400万円~1,600万円
副部長・部長 約1,600万円~2,000万円

【新卒必見】大和証券の初任給はいくら?20代・30代の年収とは?

まとめ

大和証券の平均年収や新卒の初任給からの推移などを見てきましたが、いかがでしたか。

大手証券会社としての高い年収と初任給の実態がわかりましたね。昇格は年功序列である風潮が強いものの、やはり証券取引の営業という仕事ですから、個人成績やノルマの達成具合が重視されて、それが給与にも影響するようです。金融商品を取り扱いながら、ノルマ達成に向けてバリバリに働きたい!という方にはぴったりの職場ではないでしょうか。

まとめ
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