【年収を知る前に】IHIはどんな事業をおこなっているのか?

IHIの平均年収を見ていきたいところですが、そもそもIHIがどんな事業をしていて何が強みなのかご存じでしょうか。
年収について確認する前に、まずはIHIについての予備知識をつけていきましょう。

◇創業は幕末!日本の三大重工業「IHI」

株式会社IHI(アイ・エイチ・アイ)はもともと「石川島播磨重工業株式会社」という名前でしたが、2017年にこれまで略称として使用してきた「IHI」を正式な社名としました。もとの社名である「石川島播磨重工業株式会社」の「石川島」とは、隅田川の河口にあった地名で、現在の中央区佃にあたります。幕末に江戸幕府からの命を受けた水戸藩がここに造船所を創業したのが、IHIの始まりです。その後、兵庫県の株式会社播磨造船所と合併し、石川島播磨重工業株式会社になり、現在のIHIに至ったというのがおおまかな流れになります。

三菱重工(MHI)、川崎重工(KHI)と並ぶ三大重工業の1つで、航空機のエンジン事業では国内1位のシェアを誇り、防衛省が使用する航空機のエンジンも多数製造しています。また海外の市場で見ても、航空機のエンジンや部品を供給する会社として高いシェアを獲得しているのが特徴です。

ではそんなIHIでは具体的にどんな事業をおこなっているのか、押さえていきましょう。

◇航空・宇宙・防衛事業

IHIの売上高の約4割を占める事業です。航空エンジン航空管制システムロケットシステムなどの開発、製造をおこなっています。とくに航空エンジンは日本のジェットエンジン生産の6~7割を担っており、IHI最大の強みと言っても過言ではありません。

◇産業システム・汎用機械事業

IHIの売上高の約3割を占める事業です。エンジンに圧縮した空気を送り込む車両用過給機や、パーキングシステム、さまざまな産業で使われる産業機械の開発、製造をおこなっています。ちなみに日本で最初のタワーパーキングを納入したのはIHIです。

◇資源・エネルギー・環境事業

IHIの売上高の約2割を占める事業です。産業用ボイラ発電用ボイラ、ガスエンジンやディーゼルエンジンなどの原動機、医薬プラントや天然ガス液化プラントなどの工場設備原子力発電用機器や装置の開発、製造、建設などをおこなっています。

◇社会基盤・海洋事業

IHIの売上高の約1割を占める事業です。橋梁水門都市開発などをおこなっています。国内では明石海峡大橋や瀬戸大橋に関わっており、海外でもトルコの第二ボスポラス橋やアメリカ、ロシア、ベトナムなどの橋の建設に関わっています。

【年収を知る前に】IHIはどんな事業をおこなっているのか?

IHIの年収は低い?平均年収の推移と比較

IHIがどのような事業をおこなっているのかがわかりました。
では、さっそくIHIの平均年収とその推移について見ていきましょう。

◇IHIの平均年収の推移

企業の平均年収を見る場合は、有価証券報告書を見てみましょう。
今回もIHIの有価証券報告書をもとに解説していきます。
過去4年間の平均年収の推移は次のとおりです。

    平均年収 従業員数
2020年 765万円 7,796人
2019年 799万円 7,741人
2018年 762万円 8,011人
2017年 743万円 8,256人

年によって変動はありますが、700万円台後半が平均年収といったところでしょう。
日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円です。それと比べると、IHIの平均年収は高い水準といえるでしょう。

◇重工業の競合他社との平均年収の比較

IHIの平均年収の推移がわかりましたが、これらの年収額は競合他社と比べるとどうなのかみていきましょう。

             平均年収 従業員数 平均年齢
三菱重工業        859万円 14,553人 41,3歳
川崎重工業        715万円 17,218人 39,0歳
IHI            765万円 7,796人 39,4歳
住友重機械工業      771万円 3,356人 42,4歳
三井E&Sホールディングス 659万円 38人 45,2歳
日立造船         683万円 4,105人 42,6歳
名村造船所        512万円 1,037人 39,5歳

2021年3月期の売上高順に並べてみました。
競合他社と比べると、IHIの平均年収は売上高1位の三菱重工業に次いで3位となっています。三菱重工業の800万円台には届きませんが、重工業界において700万円台後半の平均年収はかなり高い水準だということがわかります。

◇なぜIHIの平均年収は高いのか?

日本の三大重工業の1つとして重工業界3位の売上高を出しているだけあって、平均年収が高いこともうなずけますが、IHIの何が高い平均年収を生み出しているのでしょうか。

まず第一に、採算の合わない事業を整理して営業利益率を改善したことが挙げられます。
5~6年前までIHIは赤字受注や事業収支の悪化により、営業利益率が低いことが経営の足を引っ張っていました。しかし建設機械事業の売却や造船事業に関わる工場の閉鎖など社内事業を整理し、営業利益率を回復させました。

また航空エンジン事業を強化していることも営業利益率を回復させた1つの要因です。
航空エンジンや航空機の部品は消耗が激しく、その都度修理や整備などが必要になります。そのため一度受注すれば、そのあとのアフターケアで継続的に利益を出せる事業です。そんな航空エンジン事業の国内シェア1位であること、さらにグローバル市場においても航空機エンジンや部品供給会社として高いシェアを誇っていることから、航空エンジン事業を強化することで、安定的に利益を出せる基盤を作っているわけです。

具体的には2021年6月から埼玉県鶴ヶ島市に航空エンジン整備工場が新しく稼働しました。これは近年の格安航空会社の台頭によって、民間航空エンジンの修理や整備の受託事業の需要が増えていることから整備されました。コロナ禍で今後の展開はわかりませんが、おそらくIHIの今後の発展を考えるうえで、航空エンジン事業は重要なポイントになっていくでしょう。

IHIの年収は低い?平均年収の推移と比較

IHIの院卒・高卒の初任給はいくら?IHIの年収の上がり方とは?

◇IHIの初任給

では最後にIHIの初任給はいくらなのか見ていきましょう。

新卒入社の場合、基本的には総合職での採用となり「技術系」と「事務系」に分かれます。
職種によって初任給の違いはなく、院卒、大卒、高専卒などの学歴によって差が生じます。
2020年4月の実績では次のようになっています。

【技術系】
修士了 239,500円
大卒  215,000円
高専卒 193,500円

【事務系】
修士了 239,500円
大卒  215,000円
日本の大卒の平均初任給は約21万円ですから、平均的な初任給といえます。

◇IHIの給与制度と年収の上がり方

IHIの給与制度はまだ年功序列の風潮が残っており、基本的には30代中盤まで皆同じような年収の上がり方をします。残業が多い部署かそうでないかで差が出てくるぐらいです。30代前半、月残業時間が50~60時間ぐらいで年収750万円といったところだそうです。

そして30代中盤以降は昇給や昇格に差が出始めます。課長代理になることで年収が100~200万円ほど上がり、年収800万円以上になります。課長代理から課長の昇格の際はそこまで年収の差は出てきませんが、部長まで昇格すると一部の社員で年収1000万円が見えてきそうです。

課長代理と課長になるためには試験があり、課長代理の試験は基本的には全員合格します。
課長への昇格試験は合格率7割ほどで、3回落ちると受験すらできなくなる仕組みです。

しかし近年は昇格試験も厳しくなってきており、社内の評価制度や給与制度も能力重視のものに移行しつつあるため、これから年功序列の制度はなくなり、より実力主義を反映した給与制度になる可能性もあります。

IHIの院卒・高卒の初任給はいくら?IHIの年収の上がり方とは?

まとめ

IHIの平均年収を中心に、競合他社との比較や高い年収の要因、初任給やそこからの年収の上がり方などを解説してきましたが、いかがでしたか。

航空エンジン事業を強化して、あらなる成長を見込んでいること、そして重工業を通じて高い売上高を出し、それが平均年収にも表れていることがよくわかりました。
企業によっては年功序列のままのところもありますが、IHIは能力重視に移行しつつあるということですから、もし入社しても自分のスキルアップを忘れずにおこない、年収を上げていきたいですね。

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