【年収を知る前に】味の素の強み・事業内容とは何か?

「味の素」と聞くと何をイメージされるでしょうか。
うま味調味料、冷凍食品などさまざまにあると思いますが、そんな味の素の平均年収を知る前に、まずは味の素がどんな事業をおこなっている会社なのかを確認していきましょう。

味の素の始まりは、1907年に合資会社鈴木製薬所を設立した鈴木三郎助が、池田菊苗が取得したグルタミン酸ナトリウムの製造法特許を使って「味の素」を製造し、1909年に販売を開始したことによります。
今では味の素の製品が135カ国の国や地域に広まっており、アジアに79、ヨーロッパ・アフリカ地域に16、南北アメリカ地域に25の工場があるなど、グローバルなビジネスを展開しています。
売上高の約6割が調味料・食品で、約2割が冷凍食品、残り約2割がヘルスケア商品等になっています。事業利益の約8割が調味料・食品からで、コンソメ製品群の国内シェアは約8割、和風だしの素製品群の国内シェアは約6割、うま味調味料製品群の国内シェアは約9割と国内マーケットでの確固たる地位を築いていることが味の素の強みです。ちなみに、うま味調味料と風味調味料を総称するドライセイボリー分野ではタイで8割、ベトナムで6割のシェアがあり、海外の市場でも「AJINOMOTO」のブランド力の高さが伺えます。

では具体的にどんな事業内容なのか押さえておきましょう。

◇調味料・食品事業

うま味調味料「味の素」、アメリカの企業と提供して販売を開始した「クノールカップスープ」、風味調味料の「ほんだし」や「中華あじ」、合わせ調味料の「Cook Do」などの調味料や栄養加工食品の開発、製造、販売をおこなっています。またあまり知られてはいませんが、子会社の味の素AGF社を通してコーヒー市場にも進出しています。スティックコーヒーやボトルコーヒーでおなじみの「Blendy」は味の素AGF社の商品です。
さらに国内のみならず、海外向けにも現地の需要に沿った商品を開発、製造、販売しています。
調味料や食品のほかにも、グルタミン酸などを使った発酵法によるアミノ酸製造技術を用いて、アミノ酸事業もおこなっています。例えばアミノ酸系甘味料のアスパルテームを「パルスイート」として国内で販売しています。

◇冷凍食品

調味料・食品事業で培われたマーケティング力やブランド力、開発・生産・販売体制を使って、国内外問わず冷凍食品の開発製造販売もおこなっています。とくに日本においては家庭用冷凍餃子のシェアが48%で1位です。海外へも欧米向けには餃子や炒飯、中国向けには野菜加工品、タイ向けには鶏肉製品などそれぞれの国のマーケットの特徴をつかんで、需要にあったビジネスを展開しています。

◇ヘルスケア等

医薬用アミノ酸、食品用アミノ酸の開発、製造、販売や、製薬企業を相手に医薬中間体や原薬の製造、開発サービス、化成品や動物栄養の製造、販売、スポーツ向けのサプリメントなどの開発、製造、販売をおこなっています。どの事業もアミノ酸関連の技術を活用したものになっています。

【年収を知る前に】味の素の強み・事業内容とは何か?

味の素の年収は低い?平均年収の推移と比較

味の素が国内外問わず幅広い地域でビジネスを展開していることがわかりました。
ではさっそく、味の素の平均年収の推移や、食品業界のランキングをもとに競合他社との平均年収の比較を見ていきましょう。

◇味の素の年収の推移

企業の平均年収を確認する場合は、有価証券報告書を見るといいでしょう。
味の素の有価証券報告書をもとに、過去9年間の平均年収の推移は次のようになっています。

    平均年収 従業員数
2020年 997万円 3,184人
2019年 955万円 3,401人
2018年 982万円 3,494人
2017年 945万円 3,464人
2016年 952万円 3,459人
2015年 951万円 3,477人
2014年 923万円 3,484人
2013年 909万円 3,398人
2012年 906万円 3,343人

有価証券報告書の平均年収の算出はグループの親会社のみで出す場合が多いため、あくまでも参考程度で見ていきましょう。
味の素の場合、直近9年間で約90万円も年収が上がっており、平均年収が900万円以上とかなり高い年収であることがわかります。日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円ですから、それに比べるとはるかに高い水準の平均年収です。

◇味の素と競合他社との年収の比較

では食品業界の売上高ランキング順に、それぞれの平均年収を比較していきましょう。
なお、食品業界の売上高ランキング1位は日本たばこ産業ですが、売上の8割がたばこのため、今回は省いて比べていきます。

                平均年収 従業員数
サントリーホールディングス   1,185万円 462人
アサヒグループホールディングス 1,325万円 313人
キリンホールディングス      873万円 1,117人
明治ホールディングス       998万円 66人
日本ハム             839万円 1,314人
味の素              997万円 3,184人
山崎製パン            557万円 19,832人

上位4社はホールディングスカンパニー制であるため、経営層の社員の年収をもとに割り出された数値です。それゆえに参考にはなりません。とはいっても、味の素の平均年収が食品業界の中でもかなり高い水準であることがよくわかります。味の素が国内市場だけではなく、海外市場でも大きなシェアを獲得していること、そして食品業界だけではなく医療分野、ヘルスケア分野でも活躍していることで大きく利益を上げていることが要因といえそうです。

味の素の年収は低い?平均年収の推移と比較

味の素の総合職・研究職の初任給や年収はいくら?

では最後に、もし味の素に入社した場合の初任給の金額や、そこからどのような流れで年収が上がっていくのかを見ていきましょう。

◇味の素の初任給

味の素の新卒採用では研究職の「研究開発・生産」、営業職の「セールス&マーケティング」、人事や総務など経営をサポートする「コーポレート」の3つのコースに分かれています。少し前までは一般職と総合職という職種が社内にありましたが、現在は皆総合職という扱いになっています。
初任給は次のとおりです。

【研究開発・生産】
博士卒 295,000円
修士卒 246,000円
学士卒 234,000円

【セールス&マーケティング】
博士卒 295,000円
修士卒 246,000円
学士卒 234,000円

【コーポレート】
修士卒 295,000円
修士卒 246,000円
学士卒 234,000円

職種による初任給の違いはありません。
日本の大卒の平均初任給は約21万円ですから、それよりも高い初任給であることがわかります。
賞与は年に2回です。

◇味の素での年収の上がり方とは?30歳代で役職持ちがポイント!

平均よりも高い初任給から、味の素ではどのような流れで年収が上がっていくのでしょうか。
基本的には年功序列であり、入社7年目あたりまでは同じような年収の上がり方をするようです。しかし30歳以降、役職がつくようになると基本給が上がり、30代の主任クラスで年収約800~900万円、課長クラスで年収約1000~1200万円、部長クラスで年収約1400万円以上になるようです。年功序列ですから、大卒入社の場合は40歳までには全員課長になるという声もあります。
しかし一方で、近年はこの年功序列から徐々に成果主義のほうに移行しており、今までは同じ年次の人が受けて全員合格していた昇格試験の様子が変わり始めたようです。今後評価制度や人事制度が大きく変わる可能性は大いにあるでしょう。

味の素の総合職・研究職の初任給や年収はいくら?

まとめ

味の素の年収を中心に、平均年収の推移や食品業界の中での比較、初任給からの年収の上がり方などを解説してきましたが、いかがでしたか。事業内容や味の素のビジネス展開地域も合わせて確認したことで、市場でのシェアが大きいこと、それゆえに売上高も大きく、平均年収が高いことが理解できました。今のところ年功序列ですが、徐々に成果主義の評価制度へ変わってくることも踏まえて、長く勤めれば安泰という風には考えずにキャリアビジョンを考えていきましょう。

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