【年収を知る前に】そもそも大成建設とは?
大成建設の平均年収を知る前に、まずは大成建設がどのような事業をおこなっているのか、大成建設ではどんな職種があるのかをつかんでいきましょう。
◇大成建設の事業内容・特徴とは?
大成建設は大手総合建設会社として、国内外問わず、建築工事や土木工事、都市や地域の開発、道路や鉄道などの公共施設、商業施設に関わる企画、測量、設計、監理、施工、エンジニアリング、マネジメントやコンサルタントをおこなっています。また何かを作る以外にも、土壌の浄化や河川の水質浄化などの環境保全なども事業内容の1つです。
売上高の約6割が建築事業、約3割が土木事業、残り1割が開発事業です。
スーパーゼネコン5社と比較すると、大成建設は開発事業の割合が大きく、さまざまな都市の再開発や商業施設の開発などを担っています。また大成建設ハウジング住宅メーカーを傘下に入れて住宅事業にも関わっています。
もともとは橋梁などの大規模土木工事を得意としており、明石海峡大橋を含む本州四国連絡橋のすべてのルートの建設や、青函トンネルの建設プロジェクトにも参加しています。またドバイにあるヤシの木型の人工島「パームジュメイラ」の外周部に連絡する海底トンネルの設計から建設工事一式をおこなったのも大成建設です。ヨーロッパの大手建設会社を押さえ、大胆な施工法を提案して受注したそうです。CMでも見るように、アジアを中心とした海外でも建設土木工事もおこなっています。
スーパーゼネコンのなかで唯一同族経営の会社ではないのも特徴です。
戦後の財閥解体の際に社員からの投票で役員を選出する制度や、社員株主制度を導入しており、ある一族の会社であるというよりも「社員の会社」という意識が強い企業でもあります。そのため比較的、風通しのいい会社、現場に与えられる権限が強い会社、そしてチャレンジングな社風といわれます。
◇事務?それとも現場?大成建設の職種とは
事業内容としてはさまざまな領域での建設工事、土木工事をおこなっていることがわかりましたが、では実際にどんな職種の仕事があるのでしょうか。
主に「建築」「土木」「事務」でわかれ、次のような職種が設定されています。
【建築】
建築施工:建設現場のスケジュール調整や安全、品質、工程管理をおこなう仕事
設備施工:電気・衛生・空調・搬送設備工事の現場の監理をおこなう仕事
建築(機械):工事に必要なクレーンなどの機械、仮設電気設備などの選定、設置、解体をおこなう仕事
設計(建築):顧客の要望を汲んで、建築物の外観デザインや内部デザインの設計を担う仕事
設計(構造):建物の基礎や骨組みを設計する仕事
設計(設備):建築物の上下水道やガスの配管、電気設備などのインフラを設計する仕事
エンジニアリング:医薬品工場などの特殊施設のコンサルティングから企画、設計、積算、施工、メンテナンスなどをおこなう仕事
都市開発:都市開発プロジェクトの企画、計画、推進をしていく仕事
原子力:原子力関連施設の建設に関わる仕事
【土木】
土木(施工):土木工事の現場管理をおこなう仕事
土木(設計):土木工事の設計や計画を作る仕事
土木(機械・電気):土木工事で使う最適な機械を選定し、その機械を使って施工に携わる仕事
【事務】
企画管理:いわゆるコーポレートスタッフで、異なる角度から全社員のサポートをおこなう仕事です。
作業所管理:現場の業績管理とリスクマネジメントを担う仕事です。
営業:顧客が予定する工事情報をキャッチして、大成建設としての提案、そしてプロジェクトの受注をおこなう仕事です。
その他、都市開発や情報という職種もあります。
大成建設の年収は低い?平均年収の推移と比較
大成建設の事業内容や職種がわかったところで、さっそくこのような仕事をおこなう社員の平均年収はどのくらいなのか見ていきましょう。
◇大成建設の平均年収の推移
大成建設の有価証券報告書をもとに解説していきます。
過去10年の平均年収の推移は次のとおりです。
平均年収 従業員数
2020年 985万円 8,532人
2019年 1,010万円 8,507人
2018年 1,051万円 8,490人
2017年 987万円 8,501人
2016年 950万円 8,415人
2015年 917万円 8,072人
2014年 891万円 8,007人
2013年 878万円 7,951人
2012年 870万円 7,942人
2011年 862万円 8,087人
10年前と比べると平均年収が100万円以上も上がっていることがわかります。
2011年から2020年までは、東日本大震災からの復興、東京オリンピックへ向けた首都圏の再開発、それに伴うホテル需要の拡大などにより、建設業界が大きく伸びていました。大成建設の売上高を見ると5,000億円も伸びており、純利益で見ても2011年から2018年で1,000億円も増えています。そうした背景もあって、平均年収が高くなっていると考えられます。
なお、日本の男女合わせた正社員の平均年収は約503万円ですから、それに比べるとかなり高水準の平均年収であることがわかります。
◇大成建設と他建設会社の平均年収の比較
では、大成建設のこの平均年収が建設業界の中で高い方なのか、それとも低い方なのか見ていきましょう。
まずは建設業界の売上高ランキングをもとに比べていきます。
平均年収 従業員数
大和ハウス工業 867万円 16,417人
積水ハウス 792万円 15,071人
大林組 1,032万円 8,918人
鹿島建設 1,135万円 7,989人
大成建設 985万円 8,532人
清水建設 971万円 10,494人
大東建託 783万円 8,345人
竹中工務店 1,007万円 7,741人
平均年収の高いところで1,000万円以上、低いところでも800万円に近いなど、建設業界の上位企業の平均年収は日本全体の平均よりも高水準であることがわかります。
いわゆるスーパーゼネコンといわれている「大林組」「鹿島建設」「大成建設」「清水建設」「竹中工務店」に絞って平均年収を比べてみます。
大林組 1,032万円 8,918人
鹿島建設 1,135万円 7,989人
大成建設 985万円 8,532人
清水建設 971万円 10,494人
竹中工務店 1,007万円 7,741人
年収900万円後半から1,000万円以上になっており、建設業界の中でも飛びぬけていることがよくわかります。
大成建設の初任給はいくら?年収の上がり方とは?
では最後に大成建設の初任給と、そこからの年収の上がり方について押さえていきましょう。
◇大成建設の初任給
大成建設の募集要項を見てみると、「総合職」と「専任職社員」という2つに分かれています。「総合職」は勤務地や職種に制限がないもので、「専任職社員」は採用時に決定するエリア内で仕事をするものです。どちらで応募するかということと、学歴によって初任給が異なります。また「専任職社員」の場合はエリアごとに初任給が異なります。
【総合職】
博士了 290,000円
修士了 260,000円
大学卒 240,000円
高専卒 220,000円
【専任職社員・ベース】
修士了 208,000円
大学卒 194,000円
高専卒 178,000円
上記に次の地域手当が加算されます。
首都圏 36,000円
関西 25,000円
名古屋 22,000円
東北・九州 16,000円
札幌・北信越・中国 14,000円
四国 12,000円
日本の大卒の平均初任給は約21万円です。
総合職の場合は、平均よりも高い初任給であることがわかります。
給与改定は7月の年1回、賞与は6月と12月の年2回となっています。
◇大成建設の年収の上がり方とは?
大成建設の給与は等級給と業績給、そして残業代で構成されます。
等級給とは等級によって給与テーブルがあるもので、大成建設の場合1級~10級まであります。1級が部長職、2~4級が次長職、5~6級が課長職、7級が課長代理、8~9級が主任で10級が係員です。7級以上が管理監督職になり、だいたい30歳に入ったところです。
もともとの初任給も高いため、若手のころからかなりの年収になるようですが、ほとんどが残業代という声もあります。基本的には年功序列の風潮があり、20代のうちは毎年20~30万円ずつ年収が上がるイメージです。課長代理で年収900万円、課長職につけば年収1,000万円以上になるようです。
業績給は年度の上司の評価をもとに額面が変わります。G1~G5の五段階評価です。しかし職位が低いときにはあまり給与へ反映されません。
なお、進級や人事評価などがあまり開示されていないため、人事評価制度の不透明さを指摘する声が一定数います。自分の何を評価してもらえたのか、そしてその評価が仕事のモチベーションになるような人は再度考え直したほうがいいでしょう。
まとめ
大成建設の年収を中心に、平均年収の推移や競合他社との比較、初任給とそこからの年収の上がり方を解説してきましたが、いかがでしたか。スーパーゼネコンの平均年収が1,000万円に近く、日本全体の平均よりも高水準であることがわかりました。ただ未だに残業が多く、そこの部分で年収が高くなっているという現実もあります。仕事をする上で自分は何を一番大切にしたいか考えながら、企業選びをしていきましょう。
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