「フライング企業」が続出
経団連の指針では今年の就活解禁は例年より4ヶ月遅れの8月1日とされていました。
しかしリクルートキャリアの調査によると、8月1日の解禁日前の内定率は65%にのぼります。
多くの企業は「フライング」して採用活動を始め、「面談」と称した面接を行い、早々に「内々定」という形で学生を囲い込んでいました。
また大企業の採用活動が遅くなったことで、早くに学生を囲い込みたい中小企業では12月~2月の冬のインターンシップで面接を行い、その結果から内々定を出す企業もありました。
経団連の指針に沿って8月1日に採用活動を始めた企業は、一時面接の時点ですでに内定を持っている学生が多く、内定を出したころには行き先が決まっていて辞退されてしまうなんてことも頻発したようです。
このような背景の中、なるべく早く内定を獲得したい学生は、夏および冬のインターンをはじめ早くから動き始めざるを得ませんでした。
就活ナビサイトのオープン、情報解禁日も3月1日となっていましたが、上記のような「フライング企業」に対応するため、就活ナビサイト以外にも自分で調べてチェックしておかなければなりませんでした。
逆に日程が後ろ倒しになったと油断していた学生は、動き始めた頃には採用活動が終わっている企業も多く焦ったことでしょう。
このようなお互いに動きが読みづらい状況で早め早めにと動いたために混乱を招き、結果的に就職活動全体は長期化してしまったということです。
そもそも何の為に日程を見直した?
就活の短期化を図った今回の日程見直しは結果として長期化につながってしまったのですが、そもそもなぜ日程見直しを行ったのかもう一度振り返ってみましょう。
大きな理由は2つでした。
・学業に支障を出さないため
・留学生の不利をなくすため
では実際これらの目的は果たされたのでしょうか。
答えはNOです。
学業に支障を出さないため短期化を図ったようですが、実際には長期化してしまっています。
また経団連通りの指針で8月から面接となると、卒論・修論の作成に大きく支障をきたします。
就活に時間をとられて単位を落とした、いい研究結果が得られなかったという学生も少なくありません。
学業に支障を出さないどころか、より就職活動に時間を取られてしまう結果となりました。
また留学生の不利をなくすため、という目的ですが果たされたとは思えません。
実際データとして結果が出ているわけではありませんが、フライング企業が続出している以上、狙い通りの結果が得られたとは考えづらいです。
そもそも就活をする学生のうち留学生は1%程度に過ぎません。
その1%のために日程を変更して99%が混乱し振り回されたという結果は、いくら不利をなくすためといっても妥当とは思えません。
今回の就活から学ぶこと
大きな混乱を招いた16卒の就活ですが、そこから得られるものも多かったように思います。
そもそも従来の就活スケジュールに対して、「学業に支障が出る」等の不満が出ていたことから始まった見直しです。
これがうまくいかなかったということは、
・従来のスケジュールが適切だった
・日程変更の方法が悪かった
のどちらかです。
「後ろ倒し」が失敗したということは、前倒しならいいのか、後ろ倒しする期間が悪かったのか、従来のものがよかったのか、など様々な議論を生みます。
その結果、よりよい就活スケジュールを探すためのきっかけになったように思います。
そして「フライング企業」の存在によって、経団連の指針、ルールを破る企業があるということがわかりました。
ルールを信じ「就活ナビサイト」のオープンを待っていた学生で痛い目を見た人も少なくないでしょう。
今回の就活によって、ルールに頼り就活ナビサイトに頼って自分から進んで調べたり問い合わせたりと行動しない学生に対して警鐘が鳴らされたように思います。
また日程に関するルールだけでなく、「オワハラ」など学生を囲い込むため手段を選ばない企業も多く露呈しました。
そういった企業の情報も学生間や大学内、インターネット等で共有が進み、問題がある企業を炙り出す結果となりました。
こういった情報も含め、インターネットをはじめ様々な情報収集が必要となっており、「就活は情報戦」だということを強く印象付ける就活だったように思います。
17卒でも、大きな変更はないものの日程の見直しが行われるようです。
その後もどのように変化していくかはわかりませんが、ルールに惑わされず自分から行動して情報収集を怠らないように気をつけたいですね。

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