新卒の面接における「自己紹介」とは?
これまでの人生で自己紹介をした経験は、おそらく新学期にクラスメイトに対して話す「自己紹介」ではないでしょうか。それと同じ感覚でいいのだろうか…と考えている人も多いと思います。
面接で聞かれる「自己紹介」は、「これから話をする私はこんな人物です」と伝えることを言います。いわばこれから始まる面接の雰囲気を作るため、質問のきっかけを探るためのものです。
「自己PR」と「自己紹介」の違い
就活生のやりがちなミスが「自己PRと自己紹介を混同してしまい、質問の意図と外れた回答をしてしまうこと」です。
自己紹介では名前や所属大学などの基本的なことと、今まで何をやっていたのかなどを簡潔に話します。前述した通り、これから出てくる質問のきっかけ作りや、コミュニケーションを上手くとるための雰囲気づくりの意図があります。
一方で、自己PRは自分自身の強みを今後の仕事でどう活かすことができるのかを企業側にアピールすることです。「自己PRをお願いします」という設問は、その人が持っているスキルは何なのかを確認する意図があります。
つまり「自己紹介」と「自己PR」は同じようで、質問の意図が全く違うということがわかります。「自己紹介をお願いします」と面接官に言われて、自己PRを始めてしまう学生が多いので注意しましょう。
人事は面接の自己紹介で何を見ている?
では、自己紹介で人事担当者は何を見ているのか確認していきましょう。
人柄や雰囲気の確認
自己紹介の内容からというよりも、自己紹介をしているときの話し方やしぐさなどから、その人がどういう人なのかを確認しています。落ち着いて話す姿を見れば「物怖じしない性格なのかな」と考えますし、逆に視線が合わずに挙動不審なしぐさが見られると「コミュニケーションに難がありそうだな」と感じます。自己紹介の内容から、人柄や質問の糸口を見つけることもありますが、どちらかというと話し方や雰囲気から人となりをチェックされている、ということを覚えておきましょう。
コミュニケーション能力の確認
もう1つはコミュニケーション能力の確認です。まず最初の関門は「自己紹介をするかどうか」です。ここで自己PRをしてしまうと「自己紹介をしてほしいのにな、質問を聞いていないな」と判断され、コミュニケーション能力の低さを疑われてしまいます。
またきちんと目線を合わせてコミュニケーションができるか、抑揚をつけて話すなどの仕草や話し方から、コミュニケーションにおける工夫が見られるかを確認しています。
素のあなたを知りたい
自己PRや志望動機、学生時代に頑張ったことなどは事前に入念に準備されているため、いわば「台本」のようなものです。自己紹介ではそれとは異なり、あなたの「素の話し方」を知りたいという意図もあります。
どう伝える?面接で自己紹介をするときのポイント
面接官が自己紹介で何を見ているかわかりました。
では、見られている部分をアピールするために、どのように自己紹介をすればいいのか考えていきましょう。
言葉遣い
面接官とあなたは初対面です。大学内でしか使用されていないようなサークルの呼び方などは、初対面の人にも伝わるような言い方に変えていきましょう。ゼミの名前や、大学の研究内容なども同様です。
表情や仕草
自己紹介はそのあとの面接の雰囲気を決める重要なものです、表情は明るく、姿勢はまっすぐにして自信があるように話しましょう。口角を少し上げ姿勢を伸ばして話すと、自然と明るい雰囲気になります。
話し方
自己紹介は簡潔さが大切です。ダラダラ話さないように1分を目途にまとめます。また大きな声ではっきりと発声するように意識しましょう。緊張していると思いますが、始めから大きな声を出すことで緊張も和らいでいきます。早口にも注意しましょう。
【オンライン面接】はさらにしっかりと意識すべし!
オンライン面接の場合は、対面の面接よりも表情が見えづらく、はっきりと話さないとよく聞こえないという点が見受けられます。そのためオンライン面接のときは、表情や仕草、話し方の注意点をより意識していきましょう。
何を言う?面接の自己紹介で盛り込むべき3つの項目
①基本的なプロフィール
まずは氏名と大学名、学部名、学科名、学年を言います。
大学名などは言い慣れている点もあり、ダラダラと話してしまいがちです。初対面の人にもはっきりと伝わるように話しましょう。
②学生時代に何をしていたのか
部活動やサークル、アルバイトやゼミ、学業など学生時代に何をしていたのかを簡潔に話します。具体的なエピソードはそのあとの面接でのやり取りのときに話すため、自己紹介では基本的な情報だけです。1分以上の自己紹介の場合は、軽いエピソードを話してもよいでしょう。
特に取り組んでいたことがない、という人は趣味や特技などを伝えましょう。
③意気込み
最後に意気込みや締めの挨拶をします。面接の時間をいただけたことへの感謝の言葉などを伝えると、そのあとの面接を雰囲気よく始められます
【例文】面接の自己紹介はこんな風に作成しよう
では、自己紹介で伝える3つの項目に沿って実際に例文を確認していきましょう。
ゼミやサークルの話を盛り込む場合
①〇〇大学△△学部〇〇学科4年の〇〇と申します。
②大学では人文地理学のゼミに所属しており、移民の歴史やコミュニティ形成についての研究をしています。最近では東京都における、インド人コミュニティの分布や形成過程の歴史を紐解くために、西葛西を中心にフィールドワークをしています。
②学業以外では、所属しているバスケットボールサークルで活動をしています。こちらでは会計係を担っており、サークルの運営に携わっています。
③本日は貴重な時間をいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
趣味などを盛り込んだ場合
①〇〇大学△△学部〇〇学科4年の〇〇と申します。
②大学では観光社会学のゼミに所属しており、観光と社会学を絡めて地域の発展について学んでいます。卒業論文では鉄道開発の過程を交えながら、甲府市の観光事業や地域発展について研究しています。
②趣味は鉄道を使った旅行で、月に1回は日帰りや宿泊をして気になる地域へ遊びに行きます。時刻表をもとにスケジュールを組んだり、一緒に行く友人の意向を踏まえて、訪れるレストランや観光地を決めて観光ルートを作るのが得意です。
③本日は貴重な時間をいただきありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
どちらも250~300字程度の文章量にしています。これは1分間以内に人間が話せ、聞く側も違和感を持たない量です。企業によっては、30秒や2分など自己紹介を話す時間が異なってきますので、1分間用の文章から減らしたり増やしたりして調整しましょう。
またゼミやサークル、趣味などの人柄がわかるエピソードを話すときは、具体的な事柄を入れましょう。抽象的な話をすると結局何をしてきた人なのかが伝わりません。初対面の方が聞いても、自分と同じイメージを持てるような伝え方を意識しましょう。
まとめ
新卒の面接における自己紹介について、見られているポイントや作成の仕方などを解説してきましたが、いかがでしたか。自己紹介は自己PRとは違う点、そのあとの面接の雰囲気を決めるために大切なものであることがわかりました。この自己紹介の際に、背筋を伸ばして口角をあげて大きな声で発声することで、自分自身にとっても緊張が和らぐきっかけになるかもしれません。話す内容も大事ですが、面接の出来を決める第一歩という意識で挑んでいきましょう。
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