最後に一言を求める理由
「終わりよければすべてよし」ということわざがありますが、面接においても、面接官に最後に与える印象は強いものがあります。では面接官は、なぜ面接の最終盤で「最後に一言」という言葉を投げかけてくるのでしょうか?
【アピールのチャンスを与えるため】
面接官が「最後に一言どうぞ」と面接者に促す理由は、大きく分けて二つあります。一つが「応募者にアピールの最後のチャンスを与えるため」という理由です。
応募者の中には、緊張のあまりうまく面接官の質問に答えられない人も少なくありませんが、そうした雰囲気は面接官にも伝わっています。
そこで「最後に一言」という形で自由に発言させることで、まさしく最後にしっかりと自分をアピールしてほしいと考えているわけです。
【人柄を見るため】
もう一つの理由が、フリートークを通じて、それまでの面接の中だけでは把握しきれなかった、応募者の人柄を確認するためです。
面接は限られた時間の中で行われます。面接官としても、応募者の人柄に関してもう少し確認したい、少しでも聞き漏らした部分をなくしたいという思いがあります。
そこで面接の最後の場面でフリートークの時間を設けることで、その話から応募者の人柄や入社の意思を再確認したいと思っているのです。
最後に一言の回答例
何を話すのかを一から考えなくてはいけないフリートークは、応募者にとって質問に答えるよりも負担が大きいものです。そこで「最後に一言」で面接官にアピールしたいポイントと、具体的な回答例を紹介します。
【熱意を伝える】
入社に対する意欲や熱意をうまく伝えたいのに、面接の中でアピールできる機会は限られています。そこで「最後の一言」で熱意をアピールするのも有効な方法です。例文を見てみましょう。
「本日の面接で御社の様子を詳しくお聞きすることができ、御社で働きたいという意欲がますます高まりました。私は子どもの頃、父の仕事の関係でソウルに暮らした経験があります。日韓関係は難しい問題を数多く抱えていますが、将来は日韓の架け橋となる仕事がしたいと考えていました。
この夢の実現には、日韓貿易に強い御社が理想的だと思っております。入社後は日韓バイリンガルの私の強みを生かして、ぜひとも御社の更なる発展に貢献していければと考えております。何卒よろしくお願いいたします。本日は貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました」
自分と企業のマッチング度合いの高さ、入社に向けての熱意、自分の強みのアピールなどができています。
また例文のように「最後の一言」の結びでは、必ず面接に対するお礼の言葉を一言添えるようにしましょう。
【まだ聞けていないことを質問】
企業によっては、面接の中で応募者から面接官に対して質問をさせる「逆質問」の時間を設けているケースもあります。そうした機会がなかった場合、「最後に一言」の中で質問を投げかけることも可能です。
例文を見てみましょう。
「本日のお話の中で、御社のキャリアパスの仕組みについて十分理解することができました。そこに関連して、一つ質問をしてもいいでしょうか?
仮に内定をいただいた場合、入社までの期間に今後のために身につけておくべきものは何かありますでしょうか。もしあれば、内定をいただけたら積極的に取り組みたいと考えていますので、お聞かせいただければと思います。よろしくお願いいたします」
「最後の一言」を質問形式にする場合には、その質問の中身が大切です。
「有給休暇の消化率はどれくらいですか?」という質問では、仕事に対する熱意は伝わりません。質問の中で、入社への熱意を上手にアピールできれば評価が高まります。
【面接のお礼を伝える】
それまでの面接で十分に手応えがあったり、自分が聞きたいことも十分に聞けていた場合には、むしろあまり語るべき一言がないという場合もあります。
そうした場合には、その日の面接に対するお礼を、最後の一言として伝える方法もあります。以下が例文です。
「本日の面接で御社の様子を詳しくお聞きすることができ、御社に入社したいという気持ちがより一層強くなりました。本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただきまして本当にありがとうございました」
【伝えきれなかった強みを言う】
前述の通り「最後の一言」には、最後にアピールのチャンスを与えたいという面接官の思いもあります。その意図通りに、そこまでの面接の中で伝えきれなかった自分の強みを、最後の一言としてアピールすることもできます。
「本日の面接の中で、御社は今後ネット事業にも力を入れていきたいとのお話をうかがうことができ、御社に入社したいという気持ちがより一層強くなりました。
私は学生時代の活動を通じ、インターネット通販のプラットフォーム構築に関わってきました。もし御社にご縁がありましたら、私の経験や強みを生かして御社の発展に貢献していければと考えております。
本日はお忙しい中、貴重なお時間を頂戴しありがとうございました」
最後に一言の注意点
自由な意見を面接官に伝えることができる「最後の一言」ですが、避けるべき点や注意すべき点はあるのでしょうか?
【特になしはできるだけ避ける】
面接官に「最後に一言」と求められたときに、「特にありません」と答えて最後の一言を発しないのはNGです。
応募者の入社への意欲が高ければ、面接官から与えられた最後のチャンスを生かすはずです。そのため「何も語るべきことがない」ということは、入社への意思が弱いと面接官に判断されてしまい、最悪の場合それが不合格の決定打になりかねません。
もし特に話すことが浮かばない場合には、例文でも紹介したように、質問形式にしたり、面接のお礼を伝えるだけでも構いません。必ず何かしら自分の思いを面接官に伝えるようにしましょう。
【最後の一言に期待しない】
面接において「最後の一言」は、必ず求められるとは限りません。それまでの質問で合否の判断に十分な回答が得られたと、面接官が感じる場合もあるでしょう。まさに面接の最終盤でされる質問だけに、単純に時間切れという場合もあります。
そのため面接官からの「最後に一言」という言葉を期待して、それまでに質問をしたいと感じることがあっても、「最後の一言で聞こう」と考えて溜め込むのは避けましょう。
最後に一言を聞かれない場合
面接の最後に面接官から「最後に一言どうぞ」と振られるはずなのに、それがなかった場合には、果たして「不採用が確定だから聞くまでもない」というサインなのでしょうか?
【不採用のサインではない】
結論としては「最後の一言」を求められなくても、それがイコール不採用のシグナルではありません。
1人の応募者にかけられる面接時間は限られています。そのため、面接の中で次の段階に進ませることを面接官が決めている場合には、反対に最後に一言を応募者から聞く必要はないのです。
意外かもしれませんが、心の中で不採用を決めている場合の方が、最後に面接官の扱いが丁寧になることがあります。
応募者は、面接室を一歩出たらその会社にとって顧客になるかもしれない存在です。面接の結果「あの会社の商品は一生買わない」などとは決して思われたくはないでしょう。
つまり「最後に一言」と聞かれなくても、それだけを理由に落ち込む必要はありません。
【自分から言い出す方法も】
もし面接官から「最後に一言」と振られなくても、自分としては最後にどうしてもアピールしておきたいことがあるときもあるでしょう。
その場合、自分から「最後に一言よろしいでしょうか」と切り出すのも一つの手段です。多くの場合、応募者に求められれば、面接官は許可してくれるはずです。
ただ、ここで注意しなければいけないのは、逆効果になる危険性がある点です。自分ではアピール不足と感じていても、面接官からすれば熱意は十分に伝わっているという場合には、「最後の一押し」が過剰に感じられる場合もありえます。
自分から切り出す場合には、面接官の様子をよく観察してからにしましょう。
最後に自分をしっかりアピールしよう
面接の場での「最後に一言」は、まさに応募者にとって内定を勝ち取るためのラストチャンスです。
「最後に一言」は聞かれない場合もありますが、聞かれることを想定して、念のためしっかり準備をしておきましょう。
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