「継続力」があるということだけでは評価されない

人間の本来の性質として、「ラクして生きたい」という欲求があるものです。「ラクな生活」と「努力する生活」のどちらかを選べと言われれば、多くの人が「ラクな生活」を選ぶことでしょう。だからこそ、なにかを長期間にわたって続けることができる「継続力」があることは、厳しい試練を強いられることの多い社会人生活において、重宝されます。ただし、ただ単に継続するチカラがあることを企業にPRしても、面接や応募書類ではあまり効果を発揮しません。

そのチカラが何にどのように活かされるのかという結びつけが足りないと、機械のようにインプットされたことを何も考えずに動いているかのように誤解されることもあります。
「自分の意志で続けている」ことに加え、それが希望している仕事にどう結び付くのかを示すことが大切です。

「継続力」があるということだけでは評価されない

企業が求めているものを考えることが重要

すべての企業が継続力を求めているかといえば、必ずしもそうとは言えません。継続することよりも、「短期的でもいいから新しいものをクリエイトしてほしい」というように、長期的な努力を求めない企業もあります。自己分析の結果、自分にはものごとを続けるチカラがあると自覚した場合、そのチカラをアピールするべきかどうかは、企業が求めている人材像を確認してから決めましょう。

しかし上記のような例外をのぞけば、多くの企業はものごとを継続するチカラを歓迎しています。簡単にあきらめずに、結果を出すために長期的に努力する姿は、新卒ならなおさら好意的に受け止めてもらえることでしょう。

企業が求めているものを考えることが重要

「継続力」がもたらした結果を伝えよう

面接でも応募書類でも大切なのは、継続力からどのような「よい結果」「望ましい結果」を得たのか、明らかにすることです。代表的な例として挙げられるのは、「部活で優勝(準優勝やメダルの獲得、入賞もあり)した」「アルバイトで来店者数を伸ばすことができた」「高校や大学の成績が伸びた」というものです。

上記のような例は、すべてなにかポジティブな結果を残したことを示しています。このように、ものごとを続けることで何を得たのかについて、企業側に伝える必要があります。
企業はあなたがどのような特徴を持っているのかを知りたいと考えています。しかし学生生活で自分の力で得た経験も同時に知りたいと考えています。

「継続力」がもたらした結果を伝えよう

自己PRで継続力を効果的に伝える5つの方法

自己PRには、「これまでの経験や実際にあなたがとった行動=自分にできること」と、「入社後にどのような成果をあげて企業に貢献できるか」という2つのことをアピールする役目があります。この2つの目的をかなえるためには、以下にご紹介する5つの方法を用いるとよいでしょう。

結論を最初に述べる

面接で自己PRについて質問される際、企業によっては「1分以内で」、「2分で」などと、時間指定をされる場合も多くなっています。このように、時間指定をされるケースでは特に、いかに短時間で自分の特徴をわかりやすく話すかがキーポイントとなります。時間指定されていなくとも、話の構成をあらかじめ考えて、聞く人の立場に立った表現ができる人は、面接でも高く評価されるものです。

聞く人の立場に立った効率的な伝え方として、「最初に結論から述べる」という方法があります。もっとも言いたいこと、メッセージ性の強い内容を冒頭に持ってくることで、面接官の興味・関心をひくことができます。さらに、最初に結論を述べることによって、「この自己PRタイムでもっとも伝えたいことがなにか」を、面接官の集中力が高いうちに伝えることができるのです。メールを送るとき、タイトルにメールのだいたいの内容を入れて伝えるのと同じように、「これからこの話を始めますよ」と概要を冒頭で伝えることで、面接官は自己PRを聴く準備を整えることができ、内容をより深く理解してもらえるでしょう。

エピソードを交える

前述したように、自己PRには「これまでの経験や実際にあなたがとった行動=自分にできること」を伝える目的があります。
ところが、具体的なエピソードなしでは、他の応募者と似かよった内容になってしまいがちで、“自分にできること“がその他大勢の中に埋もれてしまうかもしれません。おそらくあなた以外にも、継続力をPRしようと考えている学生はたくさんいます。それらの学生と差別化をはかるために有効なのが、「具体的なエピソード」なのです。

例としては、「2年間365日筋力トレーニングを欠かさなかった」「5歳から始めたピアノを21歳の今でも続けている」などが挙げられます。「継続」を売りにしようとしているので3か月や半年、1年では継続力があると捉えられないこともあります。数年続けている内容のほうがインパクトを与えることができるでしょう。エピソードを伝える場合は、上記の例のように、具体的な数値を用いるとよいでしょう。ものごとを継続することの難しさを数値が物語ってくれるからです。また、「毎日」より「365日」というように、数値のほうが客観的に継続力をあらわすことができるため、おすすめです。

継続した結果なにを得たのかを説明する

自己PRには、前述したように、「入社後にどのような成果をあげて企業に貢献できるか」を伝える目的があります。この目的を達成するために、ものごとを続けた先になにを得たのかについて説明しましょう。例としては、「2年間365日筋力トレーニングを欠かさなかったことで、大学のラクロス部において80分間フルスピードで走り回る体力を得ることができた」というように、体力に結び付けることが挙げられます。

また他の例では、「5歳から始めたピアノを21歳の今まで続けることで、どんな曲でもアレンジして弾けるようになり、高齢者福祉施設で演奏のボランティアとして表彰された」というように、地域への福祉に貢献したことに結び付けることも挙げられます。よく「続けることの大切さを学びました」という学生もいますが、抽象的でインパクトに欠けるため、おすすめできません。それよりも、もっと具体的に得たものを企業は知りたいと考えているのです。体力でも、学力でも、演奏力でも、推測力でもよいので、なにか得た力、考え方などを具体的に表現しましょう。

継続できた理由を明確にする

自己PRを「結論」「エピソード」「継続力の結果得たもの」まで聞いた(読んだ)採用側は、“どうして”続けることができたのかについて知りたがっている場合もあります。
なかには性格的に「1度決めたことは最後まで続ける!」というタイプの人もいるでしょう。しかし、何か理由があって継続できたという人もいるのではないでしょうか。難しかったけれど、継続できるだけの理由を加えることで、エピソードに強い説得力を持たせることができます。

例としては、「部長として、チームを全国大会まで連れていきたいという思いから、毎日の筋力トレーニングを続けることができた」「私が演奏する曲を聴いて、笑顔の少ない施設の利用者が笑顔を見せてくれるようになった。もっとたくさんの人の笑顔が見たいと思い、この年齢までピアノを続けることができた」などが挙げられます。

継続できた理由があれば、応募者の人間性が透けて見えるものです。採用側としては、学生の人間性も見たいと考えています。このような理由を伝えることで、「こういう人間性だから、こういうエピソードになったのか」という説得力が生まれるでしょう。

継続力の言い方を変える

「継続力」も多くの学生が自己PRで使用する長所なので、そのままの言葉で表現してしまえば、他の応募者と重複する可能性が高くなってしまいます。自分だけの自己PRにするためにも、同じような言葉にならないよう、“継続力“をほかの言葉に言い換えましょう。例としては、「コツコツと努力し続けることができる」「あきらめずに地道な努力を続けられる」「目標をもってあきらめずに挑戦することができる」などが挙げられます。

言い回しひとつで、採用側に与える印象も異なります。採用側に「もう聞き飽きた」とエピソードを披露する前に門前払いされないよう、言い回しを変えてみることをおすすめします。

自己PRで継続力を効果的に伝える5つの方法

入社後にどのように活かせるのかを明確にしよう!

入社後の期待にこたえて活躍してくれる学生を探すために、企業は採用活動をしています。そのために、どの学生が戦力となってくれるのか、効率的に見つけるのに役立つのが自己PRなのです。このように、企業が自己PRを質問してくる背景を考えてみると、入社後にどのように自己PRポイントを活かせるのかを伝えなければならない理由にも納得できるでしょう。

例としては、「簡単にあきらめない点を活かし、営業職として働いた際には、お客様に難色を示されてもあきらめずに手法を変えて営業し続けることで、契約本数を伸ばしていきたいと考えている」という内容が挙げられます。このように、業種や職種に結びつけて話すことで、企業側はあなたを採用するメリットをイメージしやすくなるのです。

入社後にどのように活かせるのかを明確にしよう!

【例文】効果的な「継続力」の自己PR

例文①勉強を続けるチカラをPR

「私は大学の3年間、365日毎日予習・復習を欠かさずにすることで、全25教科ある必修科目のうち、23科目で「優」評価を獲得しました。

大学を主席で卒業したいという目標があったため、その高い目標を達成するためには、毎日の少しずつの努力が必要だと感じました。

勉強したくない日もありましたが、毎日続けることで周囲からも分からないことを質問されるようになり、頼られる喜びを得ることができました。

御社では事務職を志望しておりますが、コツコツと日々の業務を正確に行い、すべての業務に精通して、ゆくゆくはマネジメント業務にも携わって参りたいと考えております。」

継続力を数値化し、周囲から頼られる=マネジメントに必要な要素を得たことを強調できています。入社後のビジョンまで説明されているため、企業側には、長期にわたって活躍してくれそうだな……という印象を与えることができるでしょう。

例文②PDCAを続けるチカラをPR

「私の強みは、つねにPDCAを頭において行動できることです。Plan、Do、Check、Actionを繰り返すことで、もっともよいパフォーマンスができると考えています。

飲食店でのアルバイトで、利用者数が伸び悩んでいたときには、SNSでの宣伝を初めて企画・実施し、宣伝後の利用者数の増減を確認し、さまざまなSNS告知を試し続けました。

その結果、半年後にはもっとも効率のよい方法を発見し、売り上げを半年前から130%アップさせることに成功しました。

途中で結果が出なくても、あきらめずにPDCAサイクルを実施し、御社の企画業務においても、最も効果が出せる企画が見つかるまで努力できると考えております。」

この例文では、企画系の業務に求められるPDCA実行能力について、継続して行えることを具体的に伝えられています。「業務×継続するチカラ」をまとめの部分に持ってくることで、採用するメリットをより身近に感じることができる自己PRになっているといえるでしょう。

例文③特別ではないことを地道に続けるチカラをPR

「私は、トイレピカピカ係としてアルバイト先の居酒屋で活躍しています。居酒屋のトイレは、酔ったお客様も利用されるため、非常に汚れてしまいます。

トイレの清掃は、アルバイトの誰もがイヤがるものですが、私はこのトイレ掃除を率先して毎回行いました。

このように、人がイヤがる仕事を率先して続けることで、お店の皆から信頼され、リーダーに指名されました。

御社では事務職を希望しておりますが、面倒なこと、大変なことこそ努力しつづけ、事務室以外の皆様にも信頼される社員になりたいと考えております。」

まず、「トイレピカピカ係」というキャッチコピーを先に述べることで、採用側の注意をひき、エピソードをうまく実際の業務に結び付けることができる例文です。トイレ掃除は特別なことではないものの、みんながイヤがることでも続けてがんばることができるという点は、特別になりえます。自己PRは、このように特別ではないことでも売りにできるというよい例です。

【例文】効果的な「継続力」の自己PR

まとめ

継続力があることは企業で評価されることが多いものです。しかし、継続力があることそのものは評価の対象になりにくいという点に注意しましょう。

「なにかを継続した結果、なにが得られたのかを明確にすること」が大切なのです。あなたが主張したいことが採用側により伝わるように、結論を最初に述べ、具体的なエピソードを交えて、仕事にどうつなげられるのかを明確にしましょう。

また、他の応募者と差をつけるためにも、継続力という直接的な表現はあえて避け、「地道に努力を続けることができる」など、言い回しにも工夫し、自分だけの自己PRに仕上げましょう。

まとめ
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