OB訪問のベストな時期と避けるべき時期

OB訪問はあくまで企業研究の一環として自発的に行うものです。そのため、時期の設定は学生側の提案次第になります。ではOB訪問を行うのに適切な時期、あるいは避けるべき時期は存在するのでしょうか。OB訪問をどのタイミングですると良いのか、具体的に見ていきましょう。

【遅くとも大学3年生の10月には始めよう】
2019年3月現在では、就職活動の大まかなスケジュールとして3年生の3月に選考情報が解禁になるとされています。そして、3月中には書類選考が始まり、早ければ面接を行う企業も出てくるでしょう。つまり、自己分析・業界研究の両方をある程度終えた状態で3月を迎えることが重要になります。3月に準備を始めるのでは少し遅いということですね。

また、OB訪問を行うための日程の調整に時間がかかってしまうことも考えられます。以上のことから、どんなに遅くても3年生の10月頃を目安にOB訪問関連の動きをスタートできると良いでしょう。10月から1カ月に1人ずつ訪問していけば3月の情報解禁までに5人のOBOGから話を聞ける計算です。

【実は3年生3月以降もOB訪問は有用】
この記事を読んでいる人の中には、「自分は一度もOB訪問をしていないから、もう遅いのだろうか……」と感じた人もいるかもしれません。そんなあなたには、たとえ3月以降でもOB訪問に一度行ってみることをおすすめします。実は先輩達もおよそ3人に1人の割合で3月にOB訪問を実施しているのです(参考:『2019年卒マイナビ学生就職モニター調査 3月の活動状況』/以下のリンクを挿入してください:https://www.mynavi.jp/news/2018/04/post_16890.html)。

選考が既に進んでいれば、担当の人事の方に「もっと御社のことを深く知りたいので、どなたか先輩社員を紹介していただけないでしょうか」と聞くことも可能ですし、実は3年生3月以降は3年生秋~冬よりもOB訪問を実行に移しやすいタイミングなのです。

面接で伝える志望動機をより強固なものにするためにも、このタイミングでOB訪問を実施しておきたいですね。

【なるべく繁忙期は避けて提案する】
会社や業界によって異なりますが、時期によってはいつも以上に業務が立て込んでいることがあります。たとえばそれぞれの企業が設定している決算月や、業界によっては特定のイベントや祝祭日に合わせて繁忙期となるかもしれません。

あくまでOB訪問はこちらからお願いをして社会人の先輩に時間をつくってもらうのですから、相手の仕事が忙しい時期を避ける、という配慮があると好ましいです。

これは業界・企業ではなく部署によっても異なることがあるため、先輩に直接聞くのが一番良いですね。もし都合が悪ければ、相手の方から別の日時を提案してもらえる可能性があります。

【選考の直前ではなく余裕を持って依頼しよう】
OB訪問では実際に働くにあたっての心構えや社内の状況など、貴重な情報を得ることができます。ここで得た情報をエントリーシートや面接に活かしたい、と考えてしまいがちですが、OB訪問はあくまで会社員側の善意で機会を設けてもらうことが多く、どうしても思い通りの日程に調整できない可能性もあります。

つまり、自分の2次面接に合わせてOB訪問を依頼したら先輩の都合が合わずOB訪問が出来ないままになってしまうという状況も考えられます。あくまでOB訪問は自分の企業研究を補完する役割だと認識した上で、期限や時間に余裕を持って依頼すると良いでしょう。

【他の就活生と時期をずらすのもコツ】
準備の早い学生は3年生の夏頃からOB訪問に向けて動き出します。インターンシップへの参加と合わせて複数の企業への理解を深めていきます。そして3年生の10月頃から徐々にOB訪問を検討する人が増え、3年生の冬から3月ころまでがピークとなる、というのが例年の傾向です。

いくら出身人数の多い大学といえども、会社に所属するOBの人数や、積極的にOB訪問を受け入れてくれる社会人の数には限度があります。OB訪問が集中する時期の人気OBだと1カ月以上先まで予約が入っていることもあるようです。

皆が始めたから合わせて始めるのではなく、他の就活生と時期をずらして実施できると良いでしょう。情報への感度を上げて周りの人より早めに始めておく、あるいは選考の合間をぬって先輩社員との面談をとりつけてもらう、などの工夫が大切です。

OB訪問のベストな時期と避けるべき時期

OB訪問を行う目的は?OB訪問を行うメリットとは?

ここまではOB訪問を行うにあたって、その時期に焦点をあてて解説してきました。もう一度振り返っておきたいのですが、OB訪問はあくまで企業研究の一環として各々が任意で行うものです。しかし、OB訪問を実施してから選考に臨むことには大きなメリットがあります。ここからはその具体的な目的とメリットについて解説していきます。

【求人広告ではわからない生の情報を手に入れる】
大きな目的の一つとなるのが、求人広告や説明会で得られなかった情報を直接手に入れることです。

もちろん、公開されている情報からその会社の業務内容や働き方を理解しイメージすることはとても大切です。しかし残念ながら表に出ている情報と実情は大きくずれている場合もあります。もちろん悪い側面だけではなく、その会社の良さや意外な一面が広告や説明会でうまく学生に伝わっていないケースもあります。

入社後のミスマッチを防ぐためにも、実際に企業で働いている人の意見を参考にすることはとても大切です。

【仕事、企業選びの軸が明確になる】
仕事や企業を選ぶ軸、というのは就職活動を通じて常に考えていくものになります。この軸をしっかりと言語化できるかどうかが就職活動を上手く進めていく鍵になるのですが、企業研究に手をつけた段階ではまだまだ曖昧なことが多いです。

そこで、自分自身が何故その会社に興味を持ったのか、ということを社会人の先輩にぶつけることで、かなり本格的なフィードバックをもらうことができます。時には厳しい言葉が飛んでくることもありますが、一度自身の言葉でアウトプットすることで、就職活動の軸や、それに沿った会社選びがより洗練されていきます。

【歩踏み込んだ志望動機作成に役立つ】
就活スケジュールが短期化・早期化した影響で、一社に対して企業研究に充てられる時間は相対的に少なくなっています。そうなると、学生の志望動機は似たり寄ったりになってしまうのですが、OB訪問で現場の仕事ややりがいの話を把握していれば話は別です。

実際に働く社員に聞いた生の情報を志望動機に反映させることで、その会社を志望する真剣さは見違えるように強固になります。他の就活生との差別化、という観点でOB訪問は非常に有効な手段だといえます。

【実際に自分が働く姿をイメージしやすい】
OB訪問では比較的年齢の近い先輩を訪問するケースが多いため、実際に入社後のイメージが湧きやすいでしょう。

同じ企業の中でも、年齢や経歴によって仕事の内容は大きく違います。例えば50代の社員の仕事内容を聞くことができても、就活生にとってその仕事をするのは何十年も先のことになります。それに比べて年齢の近い先輩がしている仕事は、自分が入社したときに携わる仕事である可能性が高いため、実際に自分が働く姿をよりイメージしやすくなります。

【そのまま他の社員を紹介してもらえることも】
企業の規模が大きくなればなるほど、各事業部、部署ごとに実際の業務内容が細分化されていく傾向にあります。そこで、学生側のやる気と社員側のスケジュールがかみ合えば、その場で別の社員を紹介してもらえ、更に自分の興味とマッチした話が聞けることもあります。

もちろん全ての会社に当てはまる訳ではないですが、もっと詳しい話や違う部署の話が聞きたいと感じた時にはそれを伝えてみましょう。勿論、目の前の訪問を受けてくれた先輩への敬意を損なわない聞き方が必要です。

OB訪問を行う目的は?OB訪問を行うメリットとは?

OB訪問で気を付けるポイント

OB訪問を行うことには明確な目的とメリットがあることがわかりました。ここで意識しておきたいのが、OB訪問は学生と社会人とのやり取りになるため、双方の常識の差を浮き彫りにしてしまうイベントだということです。そこで、OB訪問を実際に行う上で気を付けるべきポイントを以下の通りまとめました。全て確認して、失礼無く訪問を終えられるようにしましょう。

依頼メールの文面には気をつけよう

OB訪問の依頼メールはれっきとしたビジネスメールです。当然、敬語や署名、宛名の扱いなどビジネスメールのマナーが出来ているかどうかは確認すべき点です。不安な人は大学のキャリアセンター等にメールの下書きを持っていき確認してもらうと良いでしょう。

慣れない言葉遣いも数回使ってしまえばだんだん身に馴染んできます。ちょっとした表現の差が相手を不快にさせてしまうこともありますし、OBにとって、OB訪問におけるメールは見知らぬ学生とのファーストコンタクトになります。第一印象の管理として、しっかりメールのマナーを振り返っておきましょう。

必ず聞きたいことを複数用意していく

「OB訪問を依頼されたから行ってみたが、何も質問されず困った」「既に説明会で話していそうな基本的な内容ばかり聞かれた」という声はOB訪問を受け入れている会社員の間でよくあがっています。

周りが行っているから行かなければ、というスタンスで依頼してしまうと相手に失礼となってしまいます。前述の通り、求人や説明会では把握しきれなかったことを確認する場としてOB訪問を活用しましょう。必ず質問を複数考えていき、なるべくOBと対話しながら進行することを心がけると良いでしょう。

OBOGへの感謝と尊敬の気持ちを忘れずに

OB訪問では基本的に自分の在籍している大学出身で年齢の近い先輩宛てに訪問することになります。共通の話題があることも多く、話が盛り上がる中でついつい砕けたやり取りになってしまうこともあるでしょう。

しかし繰り返しになりますが、あくまで「忙しい中あなたのために時間を割いてくださった先輩」であるという前提を見失わないようにしてください。

「本日はお忙しい中貴重なお時間をいただきありがとうございます」と丁寧に御礼を述べる所から始めると印象もよくなります。

選考と同じ心持ちで臨む

こちらから依頼したOB訪問だから選考とは違う、と油断してはいけません。企業によっては採用業務の一環でOB訪問に関するフィードバックを採用担当部署と共有する場合もあります。OB訪問中の態度と選考や説明会での態度が異なる、などということが人事部に共有されてしまうとあまり良いことはなさそうです。

知り合いのつてで訪問するOBを探した場合などは見知った仲であることもありますが、あくまで学生と社会人とのやり取りであることは忘れないようにしましょう。基本的なマナーや立ち振る舞いなどは常にチェックされているくらいの心持ちでいてください。

【終了後も真摯な応対を心がける】
実際に毎年OB訪問を受けている社会人に感想を聞くと「聞きたいことだけ聞いてその後何の音沙汰も無いと寂しく思う」「御礼を言わない子が増えてきた」という話がいくつもあがってきました。

貴重な時間を割いてまでOB訪問を受けてくれた先輩には最大限の敬意を払いましょう。たとえそのつもりがなくても、訪問後何も連絡を入れなかったり、その場で失礼な態度をとってしまったりすると、自分の必要な情報を引き出すために都合よく使われたと誤解を与えてしまうかもしれません。

訪問終了後やその会社から内定をもらえた場合に御礼のメールを送るのは勿論ですし、たとえ違う会社に内定をもらい就活を終了する場合も、一言御礼を入れておくと良いですね。こういった細かな心遣いができるかどうかは、その後の社会人生活でも大切なポイントとなります。

OB訪問で気を付けるポイント

まとめ

今回はOB訪問について様々な角度からまとめてきました。OB訪問には多くのメリットがあり、選考通過に繋がりやすいですので、まだ実施していない人も是非就活準備の合間を縫って直接先輩に話を聞きに行ってみましょう。

ただし、闇雲に訪問するのではなく、しっかりとその企業のことを理解し、自分の会社を選ぶ軸を再度確認することを念頭に置いて行動することが大切です。軸が定まらない状態でOB訪問をしても得られるものは少ないでしょう。

まずは就活市場に詳しい人や就職エージェントに相談し、自分自身の会社選びの基準をきちんと言語化できているかどうか確認してみてはいかがでしょうか。

まとめ
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