企業は志望動機で何をチェックする?

志望動機は採用選考において重視される部分です。とはいえ、企業の採用担当者が何をチェックしようと考えているのかを理解していないと、相手の心に響く内容を伝えられません。
採用担当者が、どんな点を見ているのか紹介します。

【自社とマッチしているか】
採用担当者は志望動機を通じて、『応募者が自社についてどの程度理解しているか』をチェックしています。
どんなに働く意欲に満ちていても、社風とマッチしていなければ強みや個性を十分に活かせず、成果につながりません。

例えば、自立心が高く1人でコツコツと仕事に取り組むことが得意な人は、協調性を何よりも重視する企業とは、うまく噛み合わない可能性があります。
実際に働いてみたらやりたいことと違った、という理由で離職されることを防ぐために、志望動機を詳しくチェックするのです。

【志望度の高さ】
同じ能力を持った人物の、どちらか一方を選ばなければならないとしたら、その企業で働くことをより熱望している方を採用したいと考えることは少なくありません。
採用担当者は応募者の志望動機から、どの程度の熱意を持っているかを推し量ろうとしています。入社後に発揮される『やる気』を、志望度の高さから見抜こうとしているのです。

企業側からしてみると、手間とコストをかけて採用活動をしたのに、長続きしない人物を採用しては損になってしまいます。入社意欲が高い人の方が仕事に対する本気度が高く、多少の困難に遭ってもめげないだろうと考えるのは自然でしょう。

企業は志望動機で何をチェックする?

自己PRとの違い

志望動機をまとめる上で、よく混同しがちなものが自己PRです。二つの違いを把握しておけば、書きやすくなります。それぞれのポイントをチェックしましょう。

【自己PRにはアピールポイントを】
自己PRは志望企業に対し、自分の価値を伝える項目です。企業側は、自己PRを通じて応募者の人柄や、入社後にどのように活躍してくれそうかをチェックしています。

企業側が採用したいと思える『自身の強みや魅力』をアピールしましょう。得意としていることや実績などをまじえながら、「採用したら、活躍してくれそうだな」と、思わせるような内容を伝えることがポイントです。
これまでに評価されたことや、物事を成し遂げる上でどんな点を工夫したかなどを、自分なりに掘り下げてまとめましょう。

【志望動機には入社したい理由を】
志望動機は、応募した企業に『入社したい理由』のことです。その企業のどんな点に魅力を感じたのかや、入社後にどんなことを成し遂げたいのか、などを伝えましょう。
企業が求める人物とあまりにもかけ離れた志望動機だと、募集要項を理解していないと判断され、評価が下がります。

他社との違いが分かっているかも、よくチェックされている点です。同じ職種であっても、企業によって特色が違うため『なぜ、この企業でなければならないのか』を伝えることが重要と考えましょう。

【一貫性を意識しよう】
自己PRと志望動機は、チェックする目的は違いますが、関連性が深い項目です。矛盾した内容が書かれていると、企業側は応募者の人物像を掴みづらくなってしまうでしょう。
例えば、志望動機に『伝統的で堅実な社風に共感』と書いているのに、自己PRが『冒険心を強く持ち、常に新しいことにチャレンジしてきた』だと、一貫性が薄れてしまいます。

もし、グローバルな事業展開や自由闊達な社風に魅力を感じたのであれば、新しいことへのチャレンジが得意という、自己PRとのつながりを保てるでしょう。
採用担当者に一貫性がある人物だという印象を持ってもらうためには、二つの間のつながりが薄れないように意識する必要があるのです。

自己PRとの違い

作成前の準備

志望動機が書きづらい、あるいは、納得がいく内容にまとめられないと感じる場合、作成前の準備が足りていないかもしれません。
準備に力を入れた方が、より自分の強みにマッチする企業を見つけられます。志望動機を書き始める前に、やるべきことを見ていきましょう。

【自己分析を行い強みを整理】
志望動機を書くにあたり、自身を客観的に見つめ、どんな強みがあるのかを整理することが重要です。こうありたいという理想ではなく、これまでに取り組んだことや、達成したことなどをもとに、自己分析をしましょう。
人から褒められた点や評価されたことなどがあれば、積極的に挙げていきます。同時に、取得している技能や資格も挙げていくと、自分の得意分野が見えてくるはずです。

自分の強みを深く掘り下げられるほど、志望動機や自己PRに対して根拠を与えられます。自己分析が足りないと、どんなに聞こえのよいことを言っても、口先だけの印象を与えてしまいかねないので、時間をかけて整理しましょう。

【応募企業の求める人材を確認】
企業側が求める人材と、自身の強みがかけ離れていると、採用されづらくなってしまいます。もし採用されたとしても、やりがいが感じられなかったり、働きづらさを感じたりして、早期退職につながる可能性があるでしょう。

応募する業界によって、求められる人材は違います。例えば、金融業界を目指しているなら、『コミュニケーション能力』『数字に強い』『金融系の資格がある』などの能力が求められるはずです。
グローバルに事業を展開している企業なら、外国語のスキルを高く評価されることもあるでしょう。

同じ業界であっても、企業によって必要とする人材は異なります。企業ごとの違いを把握し、その企業が求める人物を深く理解する必要があるのです。

【応募企業の魅力をまとめる】
世の中には数多くの企業があります。なぜその企業を志望しているのかを伝えるには、自分にとって、他社にはない魅力があることを訴えなければなりません。
志望企業が扱っている商品・企業理念・事業戦略などから、魅力を感じる部分や共感できる点をまとめます。後々、なぜこの企業を選んだのかという理由につながっていくので、念入りに調べましょう。

感じている魅力を具体化していくことで、自身の経験やスキルなどをもとにアプローチする方法も見えてくるはずです。

作成前の準備

評価される志望動機のポイント

似たような内容の志望動機でも、書き方を少々変えるだけで、採用担当者からの評価が変わります。評価される書き方のポイントを見ていきましょう。

【具体的なエピソードを添える】
志望動機に抽象的なことばかりを書いてしまうと、評価されません。伝えたいことの裏付けになるような、具体的なエピソードをできるだけ添えるよう心がけます。
例えば、コミュニケーション能力を生かして働きたいのであれば、以下のようにエピソードを盛り込むのもいいでしょう。

” 学生時代に部活の活動内容について、部員同士でぶつかり合うことが多かったため、副部長として、それぞれの話を注意深く聞き、部内のバランスを保つ工夫をしてきました。
活動を通じ、人の話をよく聞くことが問題の解決に役立つことが分かりました。この経験から培ってきた能力を生かして、顧客の要望を深く聞き取り、ニーズに合った営業をしたいと思います。 ”

【自分が活躍できる理由を伝える】
企業は利益に結びつきそうな人材を求めています。どの部分に魅力を感じたのかだけではなく、その企業で自分がどんな活躍ができるのかを伝えることが大事です。
自身の成長が目的ではなく、『企業への貢献』が求められていることを忘れないようにしましょう。

例えば営業職を目指しているなら、以下のように、自分が活躍できるビジョンを盛り込むことをおすすめします。

” まずは貴社の商品に精通し、営業の基礎を身に付けるための経験を積みたいと考えています。これまでに培ってきたコミュニケーション能力を生かし、将来的には顧客ごとに最適な提案をできる営業として、貴社に貢献していきたいです。 ”

【その企業ならではの理由を書く】
採用担当者に「他社でもよいのでは?」と感じさせるような書き方をしないことが大事です。必ず、その企業ならではの魅力をまじえながら、志望動機を書きましょう。
他の企業にも当てはまる内容になってしまっていると、魅力的な志望動機とは言えません。金融機関への志望動機を例に見てみましょう。

『貴行が日本の企業を支えていることに感銘を受けました』とするよりも、『貴行の国内の貸出金シェアは〇%と圧倒的であり、他行よりも優れている点に感銘を受けました』とした方が、その企業ならではの要素を盛り込めます。

このように、志望企業の『業界内でのポジション』や『独自性』などと結びつけて考えると、その企業でなければならない理由を書きやすいでしょう。

評価される志望動機のポイント

読みやすい構成のコツ

魅力的な志望動機を書くには、構成にもこだわりましょう。採用担当者がどんどん読み進めたくなるような文章を書くための、ポイントを紹介します。

【結論から書く】
書き出しは結論から書きましょう。志望動機の『核心』から始まり、自分がどんな形で貢献ができるかを示す具体的なエピソードや、その企業でなければならない『必然性』などに移っていくと、説得力があり伝わりやすい構成になります。
結論はあまり長くせず、以下のように端的に書くことがポイントです。

“ 私は出身地である〇〇の企業を金融で支え、地域を元気にしながら、共に成長できる仕事をしたいと考え、貴行を志望しました “
“ 私が貴社を志望したのは、留学経験で培った語学力を生かし、貴社の海外営業チームで働きたいと思ったからです “

志望した理由から書き出すことで、採用担当者の興味を引き、最後まで読んでもらいやすくなるでしょう。

【論理展開を意識する】
志望動機が明確でなかったり、企業の魅力に引かれたという点だけを書いたりすると、熱意を伝えられません。以下のポイントを押さえ、志望動機を論理的に展開していきましょう。
 ・働く上で成し遂げたい目標
 ・目標に取り組む理由
 ・その企業でなければならない理由
 ・具体的にどんな貢献ができるか

目標は書き出しの結論部分にあたり、『能力を生かしたい』『企業の製品を世界に広めたい』『地域に根ざした仕事がしたい』など、『〇〇をしたい』という要素が盛り込まれています。
まず目標を述べてから、その理由を説明していく流れを意識しましょう。

理由や貢献できそうなことを明確にできない場合、自己分析・業界研究・企業に対する理解などが、足りていないかもしれません。

読みやすい構成のコツ

説得力のある志望動機をまとめよう

企業側は志望動機を通じて、応募者が自社とどれくらいマッチしているかや、熱意の高さを見ています。

志望動機は使い回さず、他の企業にはないその企業ならではの魅力を盛り込むことがポイントです。自身の強みをまじえながら、どんな点で企業に貢献できるのかを記載すると、評価してもらえるでしょう。

説得力のある内容にするためには、自己分析や企業研究を怠らないことが大事です。書き終えたら、結論から始まり、志望の理由を論理的に展開できているかをチェックしましょう。

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