ベンチャー企業について
入社した年から活躍できるベンチャー企業もあるため、就職活動中の学生の中には興味を抱いている人も少なくないでしょう。
創業して間もない、あるいは若い人が多いなどのイメージが強い「ベンチャー企業」には、明確な定義があるのでしょうか。
【ベンチャー企業の定義とは?】
ベンチャー企業には基準・定義はありません。しかし「新しいビジネスモデルの展開」「中小企業の規模」「創業して間もない」などの特徴を持つ企業が、ベンチャー企業と呼ばれる傾向にあります。
また常識にとらわれないアイデア・技術を駆使し、新しいビジネスモデルを世に送り出している企業が呼ばれる傾向にあります。新たな事業展開はリスクが高いため、自ずと少人数で若い人材が集まりやすいのも特徴です。
大企業は盤石な経営基盤ができており、リスクのある事業を行う機会は少なくなります。他方、ベンチャーは細やかな軌道修正のできる少人数の企業だからこそ、挑戦的なビジネスモデルを展開できるわけです。
ベンチャー企業とその他企業の違い
ベンチャー企業は定義があいまいなため、他の企業との区別がしにくいでしょう。
ここからは、ベンチャー企業に似た企業との違いや特徴を解説していきます。
【中小企業】
中小企業とは、従業員数や資本金額などの企業の規模を表した名称です。中小企業基本法で明確に定義されており、例えばサービス業では「資本金額が5,000万円以下」「従業員数50人以下」の条件に当てはまる企業が中小企業と定義されます。
創業から5年以上経った中小企業など、事業の成長スピードが小さい企業はベンチャー企業とは言い難いでしょう。反対に、創立して間もないにもかかわらず中小企業ほどの資本金・従業員を抱えている企業は、急成長しているベンチャー企業と判断できます。
【スタートアップ企業】
スタートアップ企業とは、新しいビジネスモデルの展開で急成長を果たした企業です。企業の規模や形態による定義はなく、個人で立ち上げた場合でも、スタートアップ企業に該当するケースがあります。明確な定義がないため、ベンチャー企業と同様に中小企業に含まれます。
ベンチャー企業よりも収益が不安定な場合が多いのも特徴です。しかし革新的な技術・サービスに触れられ、入社間もない頃から第一線で活躍できることもあって若者から注目されています。
【社内ベンチャー】
企業が独自に設けた、新事業部を「社内ベンチャー」と言います。企業内に存在する部門の一つため、独立した企業とは言い切れません。
規模の大きい新事業の開発を主な目的としているため、大企業が立ち上げる傾向が高いです。新たな分野へビジネスを展開できるため、企業にとっても社内ベンチャーの設立は収益アップを見込めるメリットがあるためです。
社内ベンチャーを立ち上げる過程は主に2段階あり、トップダウンの受動的なプロセスとボトムアップで能動的に立ち上げるプロセスとなります。ボトムアップ形式での立ち上げは「社内ベンチャー制度」と言い、社内で集めたアイデアを元に生まれるケースがあります。
ベンチャー企業のメリット
ベンチャー企業には大企業にはない、多くのメリットがあります。もちろん大企業などの他の企業にも魅力的があるので、ベンチャー企業への志望を躊躇している人も少なくないでしょう。
そこでここからは、ベンチャー企業のメリットを4点挙げていきます。
【貴重な存在として自分をアピールできる】
従業員数の少ないベンチャー企業の場合、社長やベテラン社員との距離が近いため、事業活動で成功すれば早い時期から評価される可能性が高いです。その反面、一人ひとりに与えられる責任・裁量が大きくなるため、大企業よりもプレッシャーを強く感じるかもしれません。
出世するスピードも早いのも、ベンチャー企業の特徴です。大企業なら40・50代でないと就けないような管理職にも、20代のうちに就くのも夢ではありません。
ベンチャー企業での経験は、他の大企業・中小企業では得られないため、社会的にも貴重な存在として重宝されるでしょう。
【企業の意思決定速度が早い】
小規模で事業を展開しているため、トップダウン・ボトムアップ問わず意思決定が早いのも特徴です。例えば新しい社内ルールを提案した場合、従業員数が少ないベンチャー企業なら早く浸透していきます。
また若い人材が多いため、新しい習慣でも柔軟に受け入れられるのもメリットです。大企業の場合は権限規定が細かく決められているため、新しいルールを提案しても承諾されるまでにいくつもの役職を通すことになり、大きな時間ロスが発生しやすいです。
【仕事の幅が広く自分の成長につながる】
分業体制が整っている大企業と異なり、ベンチャー企業は人材が限られているため、部署に関係なく幅広い分野の仕事に携わる機会が多いです。例えば営業担当が、マーケティングや広報の業務をこなすことも少なくありません。
目まぐるしく変化する現場状況に対応するため、必然と判断力・マルチタスク能力・コミュニケーション能力が磨けるでしょう。幅広く仕事に触れられるベンチャー企業での経験は、将来の転職や起業にも大いに役立つはずです。
【社長と近い距離で仕事ができる】
社長との距離が近いのもベンチャー企業のメリットで、自分の考えや意見を直接伝えられやすいです。大企業の場合、社長を目にする機会すら滅多にありません。
ベンチャー企業は社長と会話できるチャンスが豊富にあるため、若いうちから経営やマネジメントなどの経営者としてのノウハウを養うことができるでしょう。日頃の仕事で感じる、問題点や改善案を気軽に相談できるので、自ら働きやすい環境も作り上げられるメリットもあります。
ベンチャー企業に向いている人の特徴
魅力なポイントが多いベンチャー企業ですが、独特の特徴が肌に合わない人も少なくないでしょう。
就職は人生において重要なターニングポイントのため、ベンチャー企業が自分に合っているか知っておきたいところです。
そこでここからは、ベンチャー企業に向いている人の特徴を紹介していきます。
【色々な経験を通じて自分を成長させたい】
ベンチャー企業では新しい事業・幅広い仕事を経験できるため、様々な経験を通して早く成長したいと考えている人に向いていると言えるでしょう。ただ設立から間もないベンチャー企業は人材育成の手法が確立していないため、積極的な姿勢が大切になってきます。
丁寧に教育してくれる人材や時間がないのも理由の一つです。そのためベンチャー企業側も「自ら成長できる」「自己管理ができる」など、自立した人材を求める傾向にあります。
【新しい価値やサービスを提供したい】
従来の概念にとらわれない、新しい価値・サービスを提供するのがベンチャー企業です。日本になかった新しいビジネスモデルや技術に触れたいと考えている、好奇心旺盛な人にベンチャー企業は向いているでしょう。
ただ成功事例の少ない新事業を立ち上げることも少なくないため、多少のリスクと失敗に恐れないメンタルが必要です。
【日常業務の激しい変化に順応できる】
意思決定が早いベンチャー企業では、現場状況も激しく変化していきます。そのため状況に合わせた柔軟な対応ができる人材が、ベンチャー企業に向いていると言えるでしょう。
またベンチャー企業は積極的に新しい技術やビジネスモデルを取り入れる傾向にあるため、様々な方向にアンテナを張って必要があります。様々なことに興味があり、自ら吸収していく姿勢を持った人材を、多くのベンチャー企業で求めていると考えられるでしょう。
【起業家や会社役員になりたいと考えている】
社長との距離が近いベンチャー企業では、日頃から経営・マネジメントなど管理職には欠かせないノウハウを学べます。そのため、将来的に起業家・会社役員を目指している人にもベンチャー起業は向いているでしょう。
またベンチャー企業は規模が小さい分、他の企業との交流が多い傾向にあります。一つの企業に勤めながら人脈を広げられるのも魅力です。
ベンチャー企業を選ぶ方法
設立から日の浅いベンチャー企業では、軌道に乗るまでは収益が不安定です。
将来的に不透明な部分も多いため、就職を希望するベンチャー企業は慎重に選ぶ必要があります。そこで最後に、選ぶ際の二つのポイントを紹介します。
【将来性のある企業を選ぶ】
志望業界を明確に決めていない人は、将来性のあるベンチャー企業を選ぶのがポイントです。就職活動時に急成長していたベンチャー企業でも、数年後には倒産する可能性があり、10年後の生存率は6%程度とも言われています。
公式ホームページや募集要項だけではなく、売上実績・事業展開・ビジネスモデルなどのより具体的な内容にも目を通しておきましょう。例えばAI(人工知能)やブロックチェーンなど、新興技術に関わるベンチャー企業は将来性が見込めます。
【自分の成長と関連付けられるか確認】
「営業ノウハウを身に付けたい」「マネジメントを学びたい」など、自分の目標やビジョンにつながる職場環境かも確認しましょう。ベンチャー企業は従業員数が少ないため、研修や教育制度が整っていない場合が多いです。そのため実務を通して学ぶ必要があります。
ただ目標と違った業務では、期待したノウハウを学ぶことができず、徐々に仕事に対するモチベーションが下がってしまうかもしれません。ミスマッチを防ぐためにも、「入社してから携わる業務」「目標を達成した社員はいるか」など、具体的な質問を用意しておきましょう。
自分とベンチャー企業の成長を考えて選ぼう
ベンチャー企業は、幅広い経験を若い年齢で経験できるのがメリットです。
その反面、一人ひとりに課せられる責任が重い面もあります。事業が軌道に乗るまでは不安定な部分もあるので、選ぶ際は自身の成長だけではなく、将来性が期待できるかも考えましょう。
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