理系は就職に有利?

文系に比べて、理解は専門知識を活かせるので就職に有利と言われることがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?まずは、理系の就職活動の現状を把握しましょう。

【理系の需要は年々増加している】

厚生労働省による「令和2年度 大学等卒業予定者の就職内定状況」によれば、大学生の就職内定率は全体で69.8%となっており、文系・理系別では文系の就職内定率が68.7%なのに対して、理系の就職内定率は74.5%となっています。

文系よりも理系の方が内定率が高いのに加え、内定率の推移をみても、緩やかなペースではあるものの、年々内定率が上がっているようです。したがって、理系の需要は年々増加していると考えてよいでしょう。ただし、直近では新型コロナウイルスの影響によって、就職活動者の内定率が下がっているようです。

※出典:厚生労働省『令和2年度 大学等卒業予定者の就職内定状況』
https://www.mhlw.go.jp/content/11804000/000694850.pdf

【文系とは求められるものが異なる】

理系と文系では、企業が求めるものが変わってきます。文系は本人のポテンシャルがより重視される傾向があり、知識やスキルよりも人柄や人間性に重きを置いた採用がされるケースが多いです。一方、理系の場合は専門知識やスキル、大学での研究経験などが評価の対象となる傾向があります。

さらに、理系は文系のように営業職から始めるといった採用よりも、初めから製造・設計部門や研究部門に配属されることが多いようです。そのため即戦力が求められる傾向にあり、責任は伴うものの、文系に比べて大学の専門分野を活かして働けるチャンスが広がっています。

理系は就職に有利?

理系の進路

理系の進路は大きく分けて「就職」か「大学院への進学」があります。文系でも大学院に進む人はいますが、理系に比べると少数派で、ほとんどの学生が就職を選んでいるのが現状です。理系が大学院に進学するメリットや、理系の就職先の特徴を考えてみましょう。

【大学院に進学する】

理系の学生の場合、大学院に進学することで、さらに自分の専門性を高められるメリットがあります。その専門性が企業のニーズにマッチしていれば、大学から就職するよりも有利になるでしょう。事実、専門分野の高いスキルと見識を持っている大学院卒は、大卒よりも高い初任給をもらえる傾向があります。

さらに企業によっては、大学院修士のみを採用条件としている場合もあるため、自分の望む就職先の条件を満たすために大学院への進学を決める人もいるようです。一方、学生の中には、大学院に進むことで社会人としての経験が遅れることを懸念していたり、費用面から大学院の進学を諦めたりする人も少なくありません。

メリットとデメリットをよく考えた上で、大学院に進学するか就職するかを決める必要があります。

【理系就職と文系就職】

理系の就職先の特徴として、理系分野の就職先はもちろん、文系の就職先も選べる点が挙げられます。理系分野の就職先は薬学や電気、情報分野、機械といった業界が一般的で、企業にもよりますが大学の専門知識を活かせるメリットがあります。

しかし、学生によっては専門外の文系分野に就職する人も少なくありません。理由は人によってさまざまですが、もともと専門外の仕事に興味を持っていたり、文系の学生との差別化を図るために、あえて文系の多い業界に就職したりする人もいます。

【自由応募と推薦応募】

理系の就職では、文系とは異なり応募方法にも違いがあります。それが自由応募と推薦応募で、前者は学生が自ら企業の求人に応募する方法で、後者は大学や担当の教授から企業に推薦してもらう方法です。

自由応募は文系の学生と同じ流れになりますが、推薦応募の場合は、企業の方から大学や特定の教授に対して人材を推薦してくれるように依頼するケースも多いようです。

推薦応募は企業の依頼に応える形で選考に臨めるため、自由応募に比べると就職できる確率が高いでしょう。ただし、推薦を受けると辞退ができなかったり、場合によっては採用で落とされてしまったりする可能性もあります。

理系の進路

理系の就活スケジュール

次に、一般的な理系の就活スケジュールを説明します。

【準備期間】

就職活動のための準備期間は、特に定められているわけではありません。興味のある業界や企業を調べたり、自己分析を行ったりするのに早すぎることはないため、就職したい業界が決まっている人はどんどん活動しましょう。

人によっては学部2年生から活動を始める人もいるようです。初期のインターンシップは学部3年生の夏からスタートすることが多いので、春先には準備を始めるとよいでしょう。

【3月から就活スタート】

本格的な就職活動のスタートは、学部4年(あるいは修士2年)になる前の3月からです。企業は3月1日から学生に対して企業説明会や企業セミナーなどを開けるようになるので、このタイミングで積極的に動けるようにしておきましょう。

基本的には新卒の募集をしている企業なら自由にエントリーできますが、説明会やセミナーの出席者のみエントリーを許可している企業もあるので注意しましょう。情報収集を怠ると、志望する企業の説明会を見逃してしまう可能性があります。

【内定式は10月1日が多い】

就職活動に成功し、晴れて企業から内定をもらうことができれば、10月1日に内定式に参加する流れになります。この時点で内定をもらっていない学生は就職活動を続ける必要があり、企業側も予定採用人数に満たない場合は採用活動を続けることになります。

なお、理系の場合は就職活動の間も研究を続けなければいけないことも多く、文系に比べて使える時間が限られている人も少なくありません。

数多くの企業にエントリーする人もいますが、限られた時間で効率的に就職活動をするためにも、事前に志望する企業は絞っておいた方がよいでしょう。その方が十分な準備ができるため、内定をもらえる確率が高くなります。

理系の就活スケジュール

就活時のポイント

続いて、理系大学生が就職活動をする際のポイントを解説します。基本的には文系の学生と変わりませんが、理系は多忙な人が多いので、以下のポイントに留意しつつ事前準備を怠らないようにしましょう。

【特定の分野にこだわりすぎない】

理系の場合、自分の専門分野に絞って就職活動を進める人が多いようです。確かに効率の面では志望分野を絞った方が就職活動を有利に進められますが、分野を絞りすぎてしまうと、希望する企業から内定をもらえなかった場合に困ることになります。

どうしても就職したい企業があるなら徹底的に的を絞ってもよいですが、特定の分野にこだわりすぎず、少し視野を広げて考えることも重要です。自分の本当にやりたいことを落ち着いて考えてみましょう。

【対策はしっかりする】

文系に比べて理系の就職内定率は高めですが、たとえ有利だからといって対策を怠るのは危険です。推薦応募も内定を保証するわけではないため、楽観視せずに必ず志望する企業について調べておき、少しでも内定の確率が上がるようにしておきましょう。

たとえブランド力のある有名な理系大学院の人であっても、決して油断せずに地道な活動を続けることが大事です。同じ企業に就職を目指すライバルがいることを忘れてはいけません。

【インターンに参加する】

職場の雰囲気を感じることができ、仕事も体験できるインターンに参加する文系学生は多いですが、理系の人もインターン制度を利用することで得られる恩恵は多いです。企業の内部の様子を確認できたり、自分の仕事への適性を把握できるでしょう。

企業によっては、インターンでの働きぶりを評価して内定を出してくれる場合もあるので、気になる企業のインターン制度には参加するようにしましょう。

就活時のポイント

理系に人気の業界

それでは最後に、理系に人気の業界を紹介しておきます。

【IT業界と自動車業界】

IT業界や自動車業界は安定して理系から人気のある業界です。ITエンジニアを志望する学生は多く、自動車業界も機械設計の代表分野だけあって、毎年数多くの理系出身者が採用エントリーしています。トヨタ自動車や本田技研工業など世界的に有名な企業が多く、新しい自動車の設計に携わりたいと考えている人も多いでしょう。

【工作機械業界と電子部品・半導体業界】

工作機械や電子部品・半導体業界も人気があります。産業用ロボットや建設機械をはじめ、航空機や鉄道などを開発する業界も含まれます。宇宙産業に興味があり、ロケットを開発したいと考えている人も少なくありません。

また、パソコンをはじめとした数多くの製品に組み込まれる電子部品や、近年、AIやIoTの進化・普及によって大きく成長している半導体業界に興味を持つ人もいます。

【化学業界と製薬業界】

専攻分野の知識を活かしやすい化学・製薬業界に就職を希望する理系学生もたくさんいます。製薬業界は再編が激しい業界ではあるものの、年収が高いので安定性や将来性を見込んで就職を望む人は多いでしょう。

化学業界は化粧品や洗剤、プラスチックなど金属以外のモノづくりが中心の業界で、さまざまな製品生産の上流工程を押さえているため、経営が安定していると言われています。専門知識を活かしてモノづくりに携わりたい人におすすめの業界です。

理系に人気の業界

早めに就活の準備を

理系の就職活動の特徴と、就職活動をする際のポイントを解説しました。理系は専門知識を活かしやすく、企業も即戦力を求めているため、ニーズにマッチした知識やスキルを持っている学生は就職活動が有利なのは間違いありません。

ただし、油断していると内定の確率が下がってしまうので、本格的に企業の採用活動が始まる前に、しっかりと準備をしておきましょう。志望企業が決まっている人は、インターン制度などを利用すると、本当にその企業が自分に合っているかどうか確認することができます。

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