就職活動のESとは?

ES(エントリーシート)の作成に苦しむ学生は少なくありません。何のために提出を求められているのか、その理由が分かっていないと、何を書いたらよいのか分からなくなりがちです。

ESを作成する意味や、履歴書との違いを見ていきましょう。

【採用選考に使う書類】

ESは採用時の書類選考に使用する目的で、提出を求められます。企業はESに書かれた様々な質問に対する回答を通じて、応募者の『人間性』を知ろうとしているのです。

人気がある企業ほど多くの応募者が集まるため、第一選考用の資料として利用されることが珍しくありません。

採用に当たって必ず求められるというわけではなく、企業によっては志望動機書のみの場合もあります。また、あらかじめ複数の企業に向けて必要事項を登録しておける、オープンエントリーシートを採用している場合もあるでしょう。

【履歴書との違い】
履歴書とESには、志望動機・自己PR・特技など、重複する項目があります。二つの間には、どんな違いがあるのでしょう。

ESは採用選考で参考にする書類として、企業側が用意した書式に則って、作成していくことが一般的です。

一方、履歴書は採用後も人事部で保管され、従業員の個人データとして使用されます。『公的書類』という位置づけなので、嘘があった場合は『私文書偽造』の罪に問われる可能性があります。

市販の履歴書に加え、パソコンでダウンロードした書式を使用する人も多いでしょう。特に指定がなければどちらでも構いませんが、企業側から作成方法やサイズについて指定がある場合は、そちらに従いましょう。

【面接でも利用される】
ESには、選考を通して企業側が知りたいと思っている質問が一通り書かれており、一般的にはESに書かれた内容を基に面接が進められます。

事前に提出した志望動機・自己PR・長所・事業分析などの様々な項目の中から、面接官が気になった部分をピックアップし、確認や質問をすることが多いでしょう。

ESで提出している内容と違うことを答えてしまうと、面接官を混乱させることになるため、一貫性が重要です。一言一句、ESの内容と同じことを言う必要はありませんが、大筋が違ってしまわないようにしましょう。

ESは最初の関門

ESは企業が最初に応募者を評価する材料となり、就活を次に進めるために突破しなければならない壁の一つです。どの程度、重要な意味を持っているのでしょう。

【ESが通らないと面接へ進めない】
採用担当者は、多くの応募者の中から、通過者を絞らなければなりません。中には、希望者の全員を面接する企業もありますが、時間には限りがあるので、書類選考である程度の数まで振るい落とすことが多いのです。

ESのぱっと見の印象や文章の読みづらさなどが原因で、最後まで読んでもらえないこともあるでしょう。

就活を進めるには、ESを通じて自分の能力やスキルを的確にアピールし、採用担当者の目を引く必要があるのです。誤字脱字が多かったり内容がイマイチだったりすると、面接には進めないでしょう。

【多くの候補者の中から選ばれる必要がある】
ESを通じて「この人に会ってみたい」と思わせることができれば、面接へと進めます。

人気がある企業ほど多くの応募者が殺到するので、人物像を掴みにくく何が言いたいのか分からない内容だと、選んでもらえません。

深く考えることなく内容をまとめてしまうと、後悔する結果になります。ライバルたちもESの重要性を理解し、力を入れて作成しているので、手を抜きたくない部分です。

就職希望者が多い企業にESを送っている人ほど、簡単に通過することは難しいでしょう。

『その企業が必要とする人材』であることが分かる、個性的なエピソードと共に自己PRがしっかりとできていれば、選ばれる確率はアップします。

ESは最初の関門

基本的なESの質問項目

ESには埋めなければならない多くの項目があり、記入漏れやミスがないようにしなければなりません。

企業によって求める情報は違いますが、基本的な質問項目は概ね共通しています。どんな項目があるのか見ていきましょう。

【基本情報】
応募に際して必要になる、氏名・生年月日・住所・連絡先といった、個人情報を記入します。固定電話がない場合、携帯電話の番号でも構いません。

基本情報に間違いがあると連絡が取れない原因になるので、マンション名やアパート名も忘れずに記入します。

ESや履歴書に押す印鑑には『朱肉』を使用し、『認印』を押すことがマナーです。スタンプ式は、時間がたつと滲んだり薄くなったりすることがあるので、重要な書類には不向きといえます。

写真は履歴書の写真と同じで、本人を確認するために必要です。スーツを着用して撮影し、添付しましょう。全て書き終えた後に貼ると、書き損じた場合も無駄にせずに済みます。

【志望動機】
ESの書式は企業によって違いますが、志望動機は必ず登場する項目です。なぜ、応募してきたのかという理由は、採用する側が大いに注目する部分なので慎重に書きましょう。

採用担当者は志望動機を通じて、『応募者の熱意』を量ろうとしています。

企業側からすると、自社との相性を見るために、重要な意味がある項目です。「うちでは活躍してもらえそうにないな」と感じさせてしまうと、その後の過程には進めないでしょう。

単にその企業のどんなところに魅力を感じたのかを書くのではなく、入社後に活躍するビジョンがイメージできるように、できるだけ具体例を盛り込みながらアピールしましょう。

【自己PR】
自身の強みや長所をアピールするための項目です。これまでに体験してきたことをまじえながら、得意とすることや他者から評価されたことなどをまとめます。

採用担当者は自己PRを通じて、仕事を任せて大丈夫な人物かどうかを探ろうとしています。仕事に役立つスキルがあることを示す資格や賞をもらった経験などがあれば、積極的にアピールしましょう。

採用担当者に興味を持ってもらうには、どこかから拾ってきたような文章ではなく、『自分の言葉で表現すること』が大事です。

自己分析が足りないと、アピールできる部分がなかなか見えてきません。うまく書けない場合、自分を再度見つめ直してみましょう。

基本的なESの質問項目

頻出する質問項目

企業によって求められる人材が違うので、ESの内容も企業ごとに異なります。しかし、多くの場合で似たような項目を設けています。

頻出する項目と、企業がその質問を通じてどんなことを知りたがっているのかを見ていきましょう。

【学生時代に打ち込んだこと】
応募者が学生時代に何に打ち込んできたのかという質問は、どの業界のESにもよく出てきます。

企業側は打ち込んだ内容そのものよりも、どんなことを考えて取り組んできたのかを知りたがっているという点がポイントです。

人が夢中になって行動したことには、強い気持ちが伴っています。行動の原動力になったものから『人間性』や『価値観』を知りたいと考えているのです。

『部活に打ち込んだ』『ボランティアに精を出した』など、取り組んだこと自体はありふれたものであっても、何をやりがいだと感じていたかには個人差があります。どんな思いを持って取り組んだのかを伝えましょう。

【仕事観やキャリアプラン】
仕事観やキャリアプランに対する考え方からは、どのように働きたいと思っているのかが見えてきます。採用担当者は質問を通じて、応募者の目標と自社の業務内容がマッチしているかをチェックしているのです。

ただ目標を語るだけでなく、目標を実現するための『具体的な道筋』が見えているかが重要です。キャリアアップのために必要なスキルや、昇進のタイミングなどが分かっていないと、具体的には語れません。

企業への理解が低いと、キャリアプランを思い浮かべることが難しく、業務内容とのミスマッチが起きるでしょう。OB訪問や説明会を通じて企業をよく研究し、仕事に対する理解を深めておくことが大事です。

【業界に関する内容】
企業のことを研究する上で欠かせないものが、その企業が属する業界の情報です。業界のことがよく分かっていなければ、仕事に対する熱意が低いとみなされてしまいます。

場合によっては「企業の知名度だけに注目したのではないか」と、思われてしまうかもしれません。

業界への理解度が高いほど、仕事に貢献してくれそうという印象を持たれるので、評価も高くなるでしょう。また、業界を選んだ理由から、応募者の価値観を探ろうとしているとも考えられます。

頻出する質問項目

書類選考に通るES作成のポイント

書類選考を通過するには、いくつかのポイントがあります。なかなか面接に進めない人は、ESの書き方に失敗しているかもしれません。採用担当者に評価してもらえる、書き方のポイントを見ていきましょう。

【分かりやすく簡潔にまとめる】
ESを通じて、質問への回答そのものだけでなく、自分が体験したことを他者に分かりやすく伝えられる能力があるかどうかも、チェックされています。

表現が回りくどく、伝えたいことの要点が分からないと思われてしまっては、台無しです。

一文が長過ぎると読みづらくなってしまうため、できるだけ簡潔にしましょう。一文の中に複数の要素を盛り込まないように注意すると、分かりやすい文章になります。

伝えたいこと以外の余計な情報が含まれていたり、話の方向が逸れたりしないように注意しましょう。

【自分の強みをアピールする】
ESで好印象を与えるには、企業の中でどのように貢献できるのかをアピールすることがポイントです。ただ自身の良い点を挙げるのではなく、入社後に活躍している姿に結びつける必要があります。

求められる能力は社風や業種によっても異なりますが、下記のような要素をチェックされているケースが多いです。

-与えられた仕事をこなす自己管理能力
-問題解決能力はあるか
-チームで仕事を進める協調性
-仕事を成功へと導くリーダーになる資質

自身の強みをこうした能力に結びつけられるかどうか、考えながらまとめましょう。

【具体的なエピソードを書く】
どんなに興味深い話だったとしても、根拠となるエピソードを添えないと信頼度が低くなってしまいます。読み手の心を掴むには、具体例を出してアピールすることが大事です。

例えば、問題解決能力をアピールしたいなら、自身の経験をまじえながら『いつ、何を問題と感じ、どんな目標を掲げて、いかに努力をしたのか』という道筋が分かるエピソードを書きましょう。

『自分なりに工夫して取り組んだ部分』には人間性や価値観などが表れるので、特に力を入れて書きたい部分です。自信を持ってアピールしましょう。

【企業ごとに内容を最適化する】
ESには、複数の企業で使い回せる内容ではなく『その企業ではなければならない理由』を必ず入れます。入社後に、どのように貢献できるのかをアピールしましょう。

企業側は、自社での仕事を『継続できる気持ちがあるか』を知りたがっています。その企業で求められている人材の特徴を知り、内容を最適化することが重要です。

自身の強みが、企業の社風や経営理念などにマッチしていない場合、振り落とされる原因となります。

また、その企業の業界でのポジションや独自性などが分かっていないと、内容を充実させられないため、企業研究を怠らないようにしましょう。

書類選考に通るES作成のポイント

ESをブラッシュアップする方法

ESを完成させたら、仕上がりをさらに完璧に近づけるために、ブラッシュアップしましょう。ESの精度をより上げるために、実践したい方法を紹介します。

【読み手の気持ちで推敲する】
ESのクオリティーを上げるには『何度も読み返すこと』が必要です。自分が採用担当者になった気持ちで読んでみると、粗が見えてきやすくなります。

読み手が欲しい情報が書かれているか、独りよがりな文章になっていないか、などのポイントを押さえながらチェックしましょう。

商品名や売上高のような重要な情報が間違っていると、評価を下げてしまうのでミスをしたくない部分です。

また、採用担当者が自分と近い年代の人とは限らないので、流行語を使用すると意味が伝わらないことがあります。読み手の気持ちになって、使用する言葉を選びましょう。

【友人や先輩に添削してもらう】
何度も読み返して、自分ではどんなに完璧だと思っても、ほかの人が読んだときに分かりづらい部分が出てくる場合もあります。友人や先輩など、他者に読んでもらうと『客観的な意見』をもらえるでしょう。

特に、すでに就職活動を経験した先輩や、社会人の意見は参考になります。できれば、目指す業界が同じ人の方が、より専門的な視点に基づいて添削してくれるはずです。

学校の就職課やキャリアセンターなどを利用し、アドバイスをもらうこともおすすめです。就活のプロに見てもらえば、1人で作成するよりも、通過率がぐっと上がるでしょう。

【ほかの人のESも参考にする】
就職情報誌や就活を支援するサイトなどに、内定者のESが掲載されていることがあります。内定者のESを見れば、企業が欲しいと思う人材の姿が見えてくるので、利用しない手はありません。

内定者のESには、企業から必要とされる答え方の例が載っています。アピールしたいポイントや、長所などが似ている人を見つけたらチャンスです。どんな自己PRを書いているのか、チェックしましょう。

もちろん、ほかの人が書いた内容をそのまま使用することはできませんが、『文章の構成』や『言葉の選び方』などは参考にできます。

ESをブラッシュアップする方法

読みやすさも意識しよう

人気がある企業ほど多くの希望者が殺到するため、採用担当者は選考に苦労することが多いです。読みにくいと感じるESは、早々に弾かれてしまいます。読みやすいと感じる書き方をチェックしましょう。

【結論から書く】
採用担当者が読みやすいESにするには、書き出しにこだわることがおすすめです。

時間をかけて最後まで読んでもらえるとは限らないので、最初に言いたいことを書かないと、何も伝えられないまま不採用となってしまう危険性があります。

『私が貴社を志望した理由は、〇〇だからです』というように『結論』から書き始め、その企業でなければならない理由や、根拠などを書いていく構成にすると、内容が伝わりやすいでしょう。

自己PRや学生時代に取り組んだことなどの項目も、同様に結論から書き始めましょう。

【手書きの場合は文字を丁寧に】
ESはパソコン等で入力することが多いですが、手書きのものが求められる場合もあります。手書きの場合、下書きをしてからペンで清書しましょう。書いた後に消せるボールペンは、文字が高温にさらされると消えてしまうので、使用を控えましょう。

『誤字脱字』や『書き損じ』などがあると、評価が下がります。修正液や訂正印などは使用せずに、ミスがない状態で提出しましょう。

美しい文字を書ける人ほど高い評価を得られますが、たとえ下手な文字でも時間をかけて丁寧に書けば、好印象を与えられます。

最初は丁寧に書かれていても、後半になると疲れが出て文字が乱れたり、文字の間隔が狭くなったりといったミスが出ることがあるので、注意しましょう。

読みやすさも意識しよう

ESは選考の重要な要素。しっかり準備しよう

ESは企業に採用してもらうために重要な要素の一つであり、クリアしなければ面接に進めません。

企業はESを通じて、応募者の人間性や、企業に貢献してくれる人物かどうかを探ろうとしているため、時間をかけて丁寧に作成しましょう。

志望する業界・企業に対する研究や、自己分析が不足しているとなかなか書き進められないので、簡単ではありません。できるだけ準備に時間をかけた方が、内容を充実させられます。

結論から分かりやすく書くことを意識し、他者に添削してもらいながら書き進めていきましょう。

ESは選考の重要な要素。しっかり準備しよう
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