人間の行動の源泉は邪心である!
前向きなキーワードには、自分の邪心が加味されていない場合が多い。そして、そこに学生の勘違いがある・・・とは、前回の最後の部分です。
僕のいう「邪心」とは、本シリーズ第2回目の中で書いた、道端にお金が落ちていた際の、自身の心の内側の思いのことですね。今回のシリーズで頻繁に登場する「手のひら」というのは、邪心とほぼ同意です。この理屈で言うなら、前向きな自分というのは自分の本質ではない、ということになりますね。つまり、邪心や手のひらがあって、初めてそこから前向きな行動が出来るという流れです。
何度もしつこく言いますが、前向きな自分というのはすばらしい特長です。だから自己PRのキーワードに使うのは何の問題もないし、大いに堂々と使ってほしいとも思います。
自分のすぐ下に広がる壮大な海に気づけるか?
ただ、これも何度も言うように、面接とかで自分のその前向きさに自信が持てるかどうかは別。おそらく凹むでしょう。だって自分という本質の、わずか表面上の言動の一つである、前向きさということにしか注目していないから。まざに氷山の一角。これこそ「指」です。海の下には壮大な「手のひら」が眠っているのに、自己分析の過程ではそこまで潜って探してみようとしない学生が多いのです。
・・・もっとも、どうやって潜ったらいいのか分からないという理由が大きいのですけど。もっというと前向きな自分の下に、海があることが分かっていないという子も多いけど。
「私には自己PRする経験がありません・・・」
「今までの経験がありきたりすぎて、自分に自信が持てません・・・」
なんていう子は、十中八九、自分のすぐ下にある海の存在に気づいていませんね。Bさんという学生も、まさにそういうタイプの典型例でした。
Bさんの【外見+第一印象型】の自己PRは、まさに明朗快活です。明るいし滑舌もよく、ハキハキしている子。こういう学生は結構存在していて、僕なんかがよく面接をしていると、明朗快活な子っていうのはたくさん現れますね。
明朗快活な学生が面接で陥りやすいリスク。
でも一方で、こういう明朗快活な子に色々質問をしていくと、これまたほとんどの子が挙動不審になっていきます。僕としては、というか面接する側としては、会話をしているつもりなのに、学生サイドが勝手に、
「自分が言ってることって、最初に言った自己PRのキーワードと矛盾してるよ・・・。ああヤバイ」
「なんか面接官に、本当に明るいの?って思われてるんじゃないかなあ・・・」
なんて、深読みしてしまって墓穴を掘ってしまうケースが圧倒的。これでは面接官にしてみれば、「判断つきかねるヒト」になってしまって、最終的には落ちる可能性が高まります。
なぜ矛盾を感じるのでしょうか?それは以前も書いたように、自分を主人公にしているからだし、背伸びしている自分を演じているからです。
つまり、前向きで明るい自分は、確かに自分なのですが、それはあくまで一側面。自分の邪心・手のひらというものがあって、そこからたまたま明るい自分がアウトプットされているだけで、24時間365日前向きで明るい訳がないという意味。「指」に執着しすぎると、こういう矛盾を感じることになります。
緊張はしてもいいし、頭真っ白になっても構わない。でも矛盾だけはダメ。「判断つきかねるヒト」で落ちてしまうことほどもったいないことはないから。
それでは、Bさんのような、明朗快活な学生の「手のひら」って何でしょうね?
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