なぜ自己分析をしなければならないのか?

自己分析に取り組む前に、まずは自己分析をやることで就活にどういう影響が出るのか、なぜ自己分析が大切なのかを理解していきましょう。
 

①就活の軸を明確にするため

これから働く会社を選ぶ基準は人それぞれです。自分の性格に合っていたり、自分がやりたいと思うことが出来たり、自分の将来の夢が叶えられそうなどあるでしょう。ただ、そのような会社を見つけるには、自分がどんな性格なのかということや、自分のやりたいこと、自分の将来の夢が何なのかということをはっきりと自らで認識していなければなりません。つまり会社を選ぶ基準=就活の軸を明確にするために、自己分析は必要なのです。

例えば、自己分析を通して小さいころからグループで行動することが好き、誰かと一緒に結果を追求することが好き、グループ内の雰囲気が悪くなるのが嫌だったということが見えれば、会社は個人プレーを尊重する風土よりも、チームプレーを重視する風土のほうが働きやすいでしょう。自分に合った企業を見つけ、ストレスなく働くためにも、自己分析は必要だということがわかります。
 

②自分のことを正確に伝えるため

就活は、学生と企業のコミュニケーションの上で成り立ちます。企業は目の前にいる学生がどんな人物であるのか、どんな思いを持っているのか、雇うべき人材なのかを確かめるために質問をします。一方で学生はその質問に答えていくわけですが、そこで的確に自分自身を伝えるために自己分析が必要なのです。
「自分のことなんだし、普通に答えられるでしょ」と思いがちですが、企業は内定を出した後、多くの資金と時間を使って新入社員を育てるのですから、それに見合う人材なのかを真剣に見定めます。表面的な答えをすれば、すぐにぼろが出ます。そのためにも時間をかけた自己分析が必要です。
 

◇ちなみに…企業は学生との会話で何を知りたいのか

大学のゼミで頑張ったことや、サークル運営をした話など、面接では大学で取り組んだことを中心に伝えますが、企業が面接で本当に聞きたいこと・知りたいことは何だと思いますか。
それはその人の「人柄」「企業への熱意」「今後の可能性」についてです。つまり、ゼミで何をしたのか、どんなサークルで活動していたかという具体的な過去の出来事はそこまで重要ではありません。それよりも「その活動でどんなことを考えて行動したのか」や「サークルでどんな役割を担う人物なのか」というその人の価値観・考え方・能力が重要です。一つ一つのエピソードの深掘りをするためにも、自己分析が大切なことがわかります。

なぜ自己分析をしなければならないのか?

自己分析の効率的な方法

自己分析をする目的がわかりました。では自己分析をするための方法を解説していきます。
 

①:まずは人生を俯瞰しよう!過去の出来事を洗い出す

始めに、自分の人生の全体像を把握します。おすすめの方法はモチベーショングラフを作成することです。モチベーショングラフとは人生の出来事の流れをグラフ化するもので、横軸は時間を表し、縦軸は自分の気持ちの上げ下げを表します。
スタートは幼少期から開始しましょう。幼少期から始めることで、今でも持っている普遍的な価値観に気づくことができるほか、どんな経験を経て成長してきたのかがわかります。
縦軸の自分の気持ちの上げ下げは、あくまでも自分の気持ちのフォーカスしたものです。例えば野球の大会で優勝したとしても、自分にとってはあまり気持ちの乗らない出来事だったということもあるかもしれません。そこにあなたらしさが出るのです。なぜ優勝したのにすっきりしなかったのかを掘り下げることで、自分の性格や、何に対してモチベーションが上がるのかがわかります。
グラフが完成したら、それぞれグラフの頂点の出来事を一緒に書き出します。これでモチベーショングラフの完成です。モチベーショングラフを作ることで、今までの人生の出来事を俯瞰して見れます。さらに自分の感情の変化も可視化されているので、気持ちが上がる場面ではどういうことが共通しているのか、逆に気持ちが下がる条件はどんなときなのかがわかり、そこから自分の性格が把握できます。

過去の出来事を洗い出す方法は他にも、自分史を作るなどがあります。これは中学生・高校生・大学生など学生時代を区切って、どんなことに取り組んだのかを書き出していく方法です。どうしても、いい結果があったものばかりを思い出しがちですが、結果が芳しくなかった出来事、失敗した出来事も重要です。それぞれなぜ結果が出なかったのか、失敗したときどう挽回しようとしたのかを確認することで、自分の短所や長所が見えてきます。その点、モチベーショングラフは自分の気持ちの浮き沈みに沿って、すべての出来事を順番に書き出していけるのでおすすめです。
 

②:過去の出来事を何度も掘り下げる

人生における出来事を洗い出した後は、それぞれの出来事の深掘りをしていきます。
深掘りとは、なぜそれをおこなったのか、どんな困難があったのか、結果はどうだったのかなどを問い続ける作業です。

次の質問を参考にエピソードの深掘りをしていきましょう。
・なぜその活動に取り組んだのか
・なぜその活動を頑張れたのか
・その活動の中でどんな問題や課題があったのか
・その課題・問題に対して、あなたはどのような対処をしたのか
・対処した結果はどうだったか
・その結果からどんなことを学んだのか
・その結果からどんな影響を受けたのか
・その活動の中で辛い壁にぶつかったか
・その壁を乗り越えられたか
・なぜ乗り越えられたのか
 

③:②で掘り下げた内容から浮かび上がる自分をまとめていく

①で人生においてどんな出来事があるのかがわかり、②でそれぞれのエピソードの深掘りができました。次にそれぞれのエピソードを見比べて、そこから自分はどんな性格なのか、どんなことを大切にしてきたのか、短所は何なのかを考えていきます。

同じような状況に陥った時、例えば学力テストで点数が取れないときに、一貫した対処方法がありませんか。自分はただがむしゃらに頑張る対処法だな…とわかれば、つまり自分なりに答えや解決を導き出す力があるという長所です。逆に、周りを頼ることができない短所とも言えるでしょう。

このようにそれぞれのエピソードに共通することを中心にまとめながら、自分がどういう行動を取る人間なのか分析していきましょう。また、前述したモチベーショングラフの気分の上げ下げに注目して、自分のモチベーションが上がるときや下がる時の共通点を見つけると、自分の価値観や自分が何を大切にしているのかがわかります。
 

④:就活の軸や志望動機、自己PRに転用していく

こうした自己分析を通して分かった自分の長所や短所、自分が大切にしている価値観、モチベーションの源泉をもとに就活の軸を決め、企業研究や業界研究と合わせて、志望動機と自己PRに使っていきましょう。前述した通り、自己PRやガクチカでは過去の出来事で何があったかよりも、そのときにどんなことを思う人間なのかという人間性を企業は知りたがっています。ですから、③でまとめあげたことを、裏付けられるエピソードと一緒に話していきましょう。

自己分析の効率的な方法

自己分析の注意点

◇裏付けのある自己分析をしよう

よくある自己分析のミスが「周りの人に〇〇と言われているから」という理由で、それを自分の特徴だと思い込んでしまうことです。確かに他人から言われれば、客観性があるかもしれません。ただその人は幼少期からずっと一緒にいた人でしょうか。もしかしたら学校でしか見せないあなたを基に捉えている性格かもしれません。
自分の本当の考え方は他人にはわかりません。他人から言われる性格は参考程度にして、自分自身に問い続ける自己分析をしていきましょう。
 

◇企業に合わせるのはNG

もう1つ陥りやすい自己分析が企業の求める人材に引っ張られてしまうことです。特に選考が進んでくると、段々企業が求める人材に合わせていってしまうことがあります。入社はできるかもしれませんが、会社の風土と合わないなどのミスマッチが起きやすく、早期退職につながってしまいます。企業が欲しい人材に寄せないように注意しましょう。

自己分析の注意点

なぜ自己分析ファーストがいいのか!徹底解説

自己分析の注意点で指摘した「企業に自分を合わせにいく」という点、ここに陥って就職活動が長引いてしまう人が多いため、詳しく解説していきます。

まず就活の進め方として、業界研究や企業研究から入って進めるやり方と、自己分析から始めるやり方の2つが主にあります。それぞれどんな風に進めていくのか確認し、なぜ自己分析から始めるのがいいのか見ていきましょう。
 

業界研究・企業研究ファーストの場合

業界研究や企業研究はやり方が明確で、自分の知らないことを知る機会にもなるため、手を出しやすい領域です。
ですが、業界研究や企業研究だけから実際に受ける企業や業界を選んでしまうと、本当はもっと違う分野に自分の価値観と合う業界があるにもかかわらず、今の興味だけで業界を決めてしまい、選考を受ける業界の幅を自分で狭める結果になってしまいます。また自分自身の実体験につながらない、説得力のない志望動機が生まれる原因にもなります。
そうした経験に基づかない説得力のない志望動機は、「何を根拠にここで働きたいと思っているんだろう?」と思われてしまい、より志望度の高い学生が選ばれていくのです。

・企業説明会、インターネット、就活本で業界研究や企業研究をする
   ↓
・調べた業界や企業の中から、選考を受ける企業を選ぶ
   ↓
・決めた企業や業界にあった志望動機や自己PRを考えるために自己分析をする
 
 

自己分析ファーストの場合

一方、自己分析から始めることで、まず絶対にぶれることのない核が定まります。なぜなら過去に経験した事実からわかった自分の性格や、大切にしている価値観、長所や短所は、就活中に変わることはないからです。その変化しないものを軸に据えることで、自分の性格や価値観に合った業界や企業をピックアップして、無駄のない就活をすることができます。また自己分析を既にしているので、過去のエピソードと絡めた志望動機や自己PRを話すことができ、説得力が生まれます。

・過去の出来事を整理し、自分が働くことに対して何を求めているのか(企業選びの軸)を複数出す
  ↓
・業界研究をしながら、自分の軸と合った業界を見つける
  ↓
・自分の複数ある軸に当てはまらない業界は削り、残った業界の研究を進め、企業を見つける

なぜ自己分析ファーストがいいのか!徹底解説

その他・おすすめの自己分析の方法

他にも自己分析の方法はあります。自分がやりやすい方法をぜひ見つけてみてください。
また、複数の方法で自己分析をするのもおすすめです。どの自己分析でも結果が出てくる要素があれば、それがあなたを表す一番の性格かもしれません。
 

診断サイトを利用してみる

ネット上や、就活支援サイトには自己分析をするための無料ツールがよくあります。
出題される質問に答えていくだけで、どんな性格なのか、どんな職業に向いているのかを分析してくれるため、時間がないときにサクッとできるのがメリットです。ただし、自分で深く考えながら自己分析をするわけではないので、面接でさまざまな質問に要領よく答えられるようになるには、分析結果を暗記する必要があります。自分でおこなう自己分析と合わせて利用するのがおすすめです。
 

参考書を購入してみる

就活の参考書もたくさん出ています。有名なものはダイヤモンド社の『絶対内定 自己分析とキャリアデザインの描き方』です。本の中には自己分析をするためのワークシートが入っています。自分なりに自己分析をやってみてから、復習としてワークシートに取り組むと、より考えがまとまりすっきりするでしょう。
 

他己分析

人から言われた性格を鵜呑みにするのは良くないとはいえ、他人から分析される性格も参考程度に聞いてみるとよいです。もしかすると、自分では普通だと思っていた価値観や物事への取り組み方が、他の人にとっては特別なものかもしれません。

その他・おすすめの自己分析の方法

まとめ

自己分析についてその方法や、なぜ就活において大切なのか解説してきましたが、いかがでしたか。どんな仕事があるかどうか知るために業界研究や企業研究も大切ですが、そこを入口に就活を進めることは、あまり良くないことがわかりました。取っつきにくい取り組みではありますが、自己分析ファーストで就活をスタートさせましょう。

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