面接で自己PRを聞く理由は二つ
新卒の採用面接においては色々な質問が想定されますが、中でも自己PRは必ずといっていいほど聞かれます。なぜ採用側は自己PRをそこまで重要視しているのでしょうか。その理由について解説します。
【何ができるのかを知りたい】
企業が自己PRを聞く理由の一つは、応募者が何ができるのかを具体的に知りたいというものです。
特に新卒の就活生の場合、ほかの企業で働いた実績や社会経験はありません。つまりこれまでのキャリアから、スキルや長所を判断することができないのです。そのため、何ができるかは応募者の口から直接聞くしかありません。
就活生が持っている強みや特技が、自社の社風や求めている人材とマッチするかどうかを知りたいがために、自己PRが重要視されるのです。
【どんな人間なのかを知りたい】
自己PRのもう一つの目的は、採用希望者がどんな人間かを知りたいというものです。企業で仕事をしていく上では、人間的な相性や、企業の風土や理念にその人が馴染めるかどうかはとても重要な要素です。
せっかく採用しても自社と相性が悪いばかりに早期に離職されてしまっては、採用と教育にかけたコストが無駄になってしまいます。
そこで自己PRに含まれる具体的なエピソードや考え方を通じて、その人が自社でやっていけるかどうかを判断したいがために、自己PRが重視されています。
自己PRを話すときの流れ
面接で自己PRを話すにあたり、話の流れを具体的に決めておきましょう。流れが決まっていないと話があちこちに飛んでしまったり、趣旨が分かりにくくなったりします。
時間内にスピーチをまとめるためにも、以下のような流れで自己PRを話すようにしましょう。
【結論から話す】
まず自分の強みや長所から話すようにしましょう。それを補足する形で、根拠やエピソードを盛り込んでいきます。
最も伝えたいことを先に述べることで相手の興味を引けることに加え、話の筋が通るため何がいいたいのか分かりやすくなります。
強みや長所の選択にあたっては、企業が求めている人物像にフィットさせることが重要です。面接を受ける企業によって、打ち出す強みを変えることも必要でしょう。そのため、自己分析の時点でいくつかの強みを用意しておくことをおすすめします。
【具体的なエピソードを入れる】
例えば以下のように主張したとしましょう。
「私の長所は我慢強いところです。私は学生時代、応援団に所属していました」
これは具体的なエピソードとはいえません。応援団にまつわるエピソードを通じて、何を学んだのかが不透明だからです。
「私の長所は我慢強いところです。私は学生時代、応援団に所属し、炎天下の中さまざまなスポーツ競技の応援に駆けつけました。
3年間続けたことで、私は応援団の団長に抜擢されました。運動部の学生が皆、応援団の声が力になったといってくれたことを、今でも誇りに思っています」
これならどうでしょうか。具体的なエピソードを交えることで、主張に説得力を持たせられます。エピソードから自分が何を感じたか、そのエピソードを通じて何を学ぶことができたのかを伝えましょう。
【入社後にどう生かせるのか】
ここまで説明してきた強みや長所を、企業で働く中でどう生かせるかをPRに盛り込みましょう。
いかに優れた長所や強みがあったとしても、それを仕事で生かせないのであれば、アピールポイントとしては不足です。企業側としても、自社に必要のない強みを持っている人材をわざわざ採用しようとは思わないでしょう。
自分の強みを入社後にどのように生かすか、仕事の現場でどう貢献するか、将来的にどうなりたいかを伝えることで、自分が必要な人物であることをアピールしましょう。
NGな自己PR
自己PRにはさまざまな伝え方がありますが、中にはあまり推奨されない内容もあります。どのような内容の自己PRを避けるべきなのかを解説します。
【伝えたいことが分かりづらい】
伝えたいことが分かりづらくなってしまう要因はいくつかあります。
まず考えられるのが、内容の詰め込みすぎです。自己PRで多くのことを伝えようと話を詰め込みすぎてしまうと、話があちこちに飛んでしまい、相手からすれば聞きにくくなってしまうでしょう。
さらには話の内容が抽象的な場合です。エピソードの具体性の欠如や主観的な内容は避けましょう。
【結論までなかなかたどり着かない】
結論を最初に話すことを推奨しました。その理由は、結論を先延ばしにすると、その話で何を伝えたいのかが不明確で、聞き手の印象に残りにくくなってしまうためです。
重要なことを話の途中に伝えても、面接官はそれを重要なことだと思わずに聞き流してしまう可能性も出てきます。
よほどスピーチに自信があって相手の興味を惹きつけておけるなら別ですが、そうでなければ最初に結論を述べることを意識しましょう。
【自慢話になってしまっている】
他人と比べて特別なスキルや資格があった方が、採用に有利に働くと考えている人もいるでしょう。その考え方自体は間違ってはいません。
しかし自己PRの場でアピールする上では注意が必要です。実績や肩書きばかりを羅列すると、自慢話のように聞こえてしまうことがあります。
強みや長所としてアピールはできるかもしれませんが、面接の場で自慢話をする学生と判断されれば、人柄は低評価となってしまうでしょう。そもそも、学生時代の肩書きが企業で働く上でどれほど役立つのかは未知数です。
例えば「運動部の主将に選ばれた」というエピソードがあったとして、企業側が聞きたいのは選ばれたという実績ではなく、「主将の立場を経験したことでどんな学びを得たのか」なのです。
面接官が何を求めているのか、面接官の立場になって考えてみましょう。
1分間自己PRの例文
それでは具体的に、どのような自己PRがふさわしいのでしょうか。自己PRの例文をいくつか紹介しますので、参考にしてください。
【リーダーシップの自己PR】
私の長所はリーダーシップです。高校時代はサッカー部の主将を務め、3年時にはチームを地区大会優勝に導きました。それができた要因の一つが、私がきちんとチームをまとめられたためだと思っております。
練習メニューの考案やチームメイトのメンタルケア、顧問の先生や応援団との連携などを率先してこなしました。
入社後はリーダーシップを生かし、将来的にはチームリーダーやマネジメントの職に就きたいと考えております。
【コミュニケーション能力の自己PR】
私の強みはコミュニケーション能力であると考えています。私は小さい頃から人と接するのが好きで、学生時代は自治体のレクリエーションイベントへの参加や、介護施設訪問のボランティアなどを積極的に行ってきました。
そのおかげで自治体の会長や役員から顔を覚えられ、今でも帰省するたびに声をかけられます。
自身のコミュニケーション能力を生かして、営業の仕事など、多くの人と関われる業務で御社に貢献したいと思っています。
【忍耐力の自己PR】
私は物事をあきらめず、最後まで粘り強くやりきるという長所があります。私は大学時代に野球部に所属していましたが、所属する人数の多さや運動能力の低さもあって、レギュラー入りはおろかベンチ入りすら難しいと、人からはいわれていました。
しかしあきらめることなく、私は練習外で毎日200本の素振りを続けていました。それが功を奏したのか、3年生の夏の最後の試合で代打に起用され、ヒットを打つことができました。あのときのバットの感触を忘れることはできません。
この粘り強さを生かして、営業職や商品開発など、困難ではあるもののやりがいのある仕事に就きたいと思っております。
面接での自己PRポイント
最後に、面接での自己PRのポイントについて解説します。自己PRの内容だけではなく、いくつかのポイントも意識して自己PRに臨んでみるとよいでしょう。
【暗記ではなく自分の言葉で伝える】
自己PRの内容をある程度暗記しておくのはよいのですが、一言一句暗記したものをそのまま話すのはおすすめしません。そうした後に面接官から追加の質問をされて、答えられないという失敗をする人は多いのです。
一言一句暗記するための時間を、追加の質問の想定問答を考えることなどに費やしましょう。
面接官からすれば、暗記しているかどうかは話し方や声の抑揚などで一目瞭然です。ただ暗記したことだけを話すPRは、面接官によっては心証を損ねてしまうことがあります。
話す内容や順番はある程度決めておきつつ、現場では自分の言葉でしゃべりましょう。
【自己PR以外でも自己PRはできる】
自分の長所を主張する機会は、自己PRの場だけではありません。さまざまな質問への回答に、自己PRを織り交ぜましょう。
オーソドックスなのは、短所を聞かれた際です。単純に短所について答えるだけではなく、その短所とどうやって向き合っているのか、短所を長所に転換してアピールなど、答え方に工夫を凝らしましょう。
例えば『優柔不断』という欠点は、『慎重』と置き換えることもできます。ほかにも志望動機や学生時代に打ち込んだこと、将来のキャリアなど、色々な場面で自分の長所を盛り込んで答えることができるでしょう。
姿勢や声も重要です。堂々とした姿勢で落ち着いた言葉で質問に答えることは、本番に強いという長所をアピールすることにつながります。
面接でしっかり自分をアピールしよう
自己PRは面接でなされる機会が多い質問です。他人との差別化もしやすく、ほかの質問と比べても採用に大きく影響します。
そのため自己PRは事前準備を行った上で、しっかりと内容を決めてから本番に臨みましょう。自分の言葉で伝えること、結論から述べるなど、自分の長所が相手に伝わりやすいように話す順番を決めていきます。
自慢話になってしまったり、内容が曖昧になったりしないように注意しましょう。しっかりと自分をアピールする技術は、面接はもちろん、採用されてからも役立つ場面は多くあります。
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