そもそも主体性とは?

「主体性」という言葉は、一度はどこかで耳にしたことのある方が多いかもしれません。しかし、実は本当の意味を正しく理解できていなかったり、別の言葉と混合して認識してしまったりしている人が多くいます。言葉の認識の違いによって、自己PRで伝えたいことがうまく伝わらなくなってしまうことを避けるためにも、「主体性」についてまずは基本的なことから押さえておきましょう。

主体性とは

「主体性」とは、問題を解決したり現状を良くしたりするために自ら課題や目標を設定し、判断し、責任を持って行動することを指します。つまり「これをやってください」と他人から言われた仕事や頼み事でなくとも、現状を分析して何をどうすればいいのか考え、行動に移す力を持つ人を「主体性のある人」と言います。やるべきことをこなすことや、誰かがやっているから自分もやる、という他人から決められた行動だけに留まらず、自分の意思で自ら生み出すという所がポイントになります。

自主性との違い

「主体性」と間違えられることが多いのが、「自主性」という言葉です。どちらも「自分から行動する」という点で似たようなイメージがありますが、これら2つの言葉には実は大きな違いがあるのです。「自主性」とは、元々決まっていることや他人から言われたことを積極的に行う態度を指します。これに対して「主体性」とは、何もない状況でも自ら考え出し、さらに行動に責任を持つことを指します。混合して使われることの多い2つの言葉ですが、全く違った意味を持っていますので、自己PRの際はこのポイントに気をつけて言葉を選びましょう。

自ら考え、判断し、責任をもって行動するのが主体性

自ら考え、判断し、責任を持って行動するという「主体性」は、社会人として強く求められるスキルであり、実際に多くの企業が採用において「学生に必要な資質である」と考えています。
どんな企業でも必要とするスキルなため、主体性のある人はあらゆる業界・業種やポジションで重宝されます。自己PRにおいても「ただ指示された内容をこなすだけの人」よりも、「現状を分析し意見を出す力も備わっている人」の方が、企業を成長・発展させる能力のありそうな人物だと認識してもらうことができるでしょう。

そもそも主体性とは?

主体性を伝えるときの注意点

上記で解説したように、「主体性」は自分をアピールするのに非常に有効なスキルですが、その説明の仕方を間違えてしまうと反対に良くない方向に捉えられてしまう危険性があります。
認識の違いがあるとあなたの良さを企業に伝えることができず、お互いに損をすることになってしまいます。ここでは、「主体性」を自己PRする際に注意すべき点を押さえ、言いたいことを正しく面接官に伝えられる状態にしましょう。

協調性が無いと思われる可能性がある

主体性をアピールすることで、状況を分析する力や積極的な姿勢、周りを巻き込む力があることを伝えることができますが、場合によっては「自己中心的で協調性が無い人」と思われてしまう可能性があります。自ら行動するといっても、「自分がやりたいよう好き勝手にやる」「自分の意見を周囲に押し付ける」「他人の意見を聞かない」といった印象を持たれてしまわないように注意しましょう。自分の設定した目標に周囲が賛同していること、主体的な行動によって結果的に良い成果が生まれていることも一緒にアピールすることが大切です。

やるべきことをやるのが主体性ではない

やるべきことをやる、という積極的な態度は「主体性」ではなく「自主性」です。例えば、「アルバイトの仕事に、誰よりも早く取り組みました」というのは、単にやる気や行動のスピードの速さのアピールになります。先ほどの項目でも解説した通り、既に決まっている仕事をこなすのは「主体性」ではないのです。「自主性」も大切ではありますが、それだけをアピールすると逆に「指示されたことしかできない人」という捉え方をされてしまう可能性もありますので、注意が必要です。
行動するという点だけでなく、「自ら考える」という点を強くアピールしましょう。

主体性を伝えるときの注意点

主体性をアピールするときに押さえておきたいポイント

ここまでの解説で、徐々に自分の主体性を自己PRするイメージができてきたという方もいるのではないでしょうか。しかし、いくらその主体性が素晴らしいものであっても、アピールの仕方によっては面接官に正しく伝わらないこともあります。あなたの主体性をしっかりとアピールするためにも、以下の4点のポイントを押さえ、自分の中で整理をし直してみてください。

主体性を明確にする

これまで解説してきたように、「主体性」という言葉は曖昧に捉えられたり、別の言葉と混同されたりすることがあるため、面接官によってもイメージされる内容が違います。
そのため、自己PRで主体性をアピールする場合には、まず初めに「主体性とは何を指すか」を具体的に定義しましょう。例えば「現状を分析できる」「自ら発信することができる」「周囲を巻き込むことができる」など、主体性をイメージさせる具体的なスキルを例に挙げ、アピールしたい自分の能力を明確にすることが大切です。

結論は最初に伝える

主体性をアピールするために面接官に伝えたい内容はたくさんあると思いますが、まずは結論から話すことを心がけましょう。いきなり具体的なエピソードを話し始めると、ただ過去の経験を説明しているだけで結局何が言いたいのか相手に伝わらない、という状況に陥ってしまいます。
「私の強みは、主体性です。」と最初に結論を伝えておくことで、あなたがなぜそのエピソードを話しているのか、何をアピールしたいのかが伝わりやすく、自己PRの全体像を正しく理解してもらえることに繋がります。

具体的なエピソードを伝える

「主体性」という言葉は曖昧で伝わりづらいからこそ、具体的なエピソードを添えてアピールすることが重要です。
「自ら考えることができます」「周囲を巻き込むことができます」と言っても、あなたが具体的にどのようにその行動を起こすことができるのかをイメージできなければ面接官にその魅力は伝わりません。

「○○という場面で、私は○○という事を問題に思い、解決策を○○だと考えました」「周囲には、○○というように協力を呼びかけました」など、面接官があなたの主体的な行動をしている姿をイメージできるように具体的に説明しましょう。

主体性が仕事にどう活きるのかを伝える

主体性をアピールできたら、次にその主体性が企業でどう活きるのかを伝えましょう。面接官に魅力的な人材だと判断してもらうためには、あなたの持つスキルと企業での仕事を結び付けて話すことが重要になります。あなたが主体的な行動をしたことで、どんな仕事につながり、どんな結果を出せそうなのかを具体的にアピールしましょう。そのためには、応募している職種の仕事内容をくわしく把握しておくことも大切です。あなたが企業で働いた際の活躍しているイメージを持ってもらい、企業にとって必要な人材だと思ってもらうことがポイントです。

主体性をアピールするときに押さえておきたいポイント

主体性が伝わる例文

主体性が伝わる例文①

「私は、組織でおきている問題に対して解決策を考え、行動する主体性を持っています。

大学3年生の時、所属している音楽サークルの雰囲気が悪くなり、コンサートで良い演奏ができなくなってしまった時期がありました。私は、それぞれが授業やアルバイトなどで忙しくなってきて、お互いにコミュニケーションを取る機会が減っていることが原因ではないかと考え、より近い関係になるためにサークル全体で旅行をするというアイデアを提案しました。

全員から賛成してもらうことができ、その旅行以来メンバー間の距離が縮まりました。会話する機会が増えたことでサークルの雰囲気が良くなり、コンサートの準備も協力しあえるようになりました。

この経験を活かして、御社でも組織の中で起きている問題に対して解決策を考え、自ら行動に起こしよりよい組織づくりに貢献したいと考えます。」

組織でおきている問題に対して、解決するためにどうすれば良いのか自ら考えられる人材であることを伝える例文です。自分の行動によって組織全体に良い結果が生まれたことをアピールしている点がポイントです。

主体性が伝わる例文②

「私は、仕事をより効率的に進める方法を考え、成果につなげるという主体性を持っています。

予備校で事務のアルバイトを始めた当初、生徒の成績を管理する際に、試験の結果を紙に手書きで記入するという形を取っていました。

しかし、過去の成績を確認する時にその都度数年分の資料を持ち出さなければならず、手間に感じていました。そこで、成績をパソコンのデータで管理することを提案し、入力のマニュアルを作成しました。資料を確認する際の手間が省けたのはもちろん、資料を置いていた棚が空き、より事務室がすっきりとしたことも喜ばれました。

このアルバイトでの経験を活かして、ただ仕事をこなすのではなくより効率的に進める方法を常に考えることで、社員の働く時間を短縮しワークライフバランスの良い組織を作ることにも貢献したいです。」

状況を論理的に整理し、解決策を導くことのできる人材であることを伝える例文です。また、ワークライフバランスの改善は多くの企業が課題に考えていることですので、「効率化」に取り組める人材は重宝されるでしょう。

主体性が伝わる例文③

「私は、目の前の相手に喜んでもらうためにどうすればいいのかを考え、行動する主体性を持っています。

子供たちと遊ぶボランティア活動をしているのですが、プールでの活動をしていた時、怖がって見学をしている子がいました。寂しそうにしている姿を見て話を聞いてみると、深い所で泳ぐのが怖いということだったので、まずは浅い所で一緒に水遊びをし、徐々に深い所へ移動してまた遊び、慣れたらまた少し深い所に移動し、というようにだんだんとプールへの抵抗がなくなるよう工夫した所、最後には笑顔でみんなと楽しめるようになりました。ボランティアの先輩から『普通ならあきらめてしまう所を、どうしたらいいか工夫したことで楽しんでくれた』と評価してもらうことができました。」

このように、御社でもお客様に喜んでいただくにはどうすれば良いのかを第一に考え、より必要とされる商品を開発できる人になりたいと考えます。」
目の前の相手のことを考え、工夫を生み出せる人材であることを伝える例文です。どんな企業もサービスをお客様に提供することがビジネスの基本なので、このスタンスはどの企業でも必要とされるでしょう。

まとめ

ここまで、自己PRで主体性をアピールするときに押さえておきたいポイントを解説してきました。あなたの主体性を面接官にアピールするイメージはできたでしょうか。「主体性」とは積極的に行動することだけでなく、自ら考え、判断し、責任を持って行動することです。自分の意思で生み出すというポイントを意識しながら、具体的なエピソードを添えることであなたの主体性をアピールしましょう。当記事でお伝えしたことを、ぜひ参考にしてみてください。

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