そもそもなぜグループディスカッションは行われるのか?

グループディスカッションは採用選考方法の一つで、数名のグループを作り、与えられた議題についての議論を行います。この方法が用いられるのは、企業の採用担当者にとって直接1人ずつ面接を行うよりも、多くの情報を得られるメリットがあるからです。

さらにグループディスカッション中は、面接で分からないような、人とのやり取りや話し方なども見ることができます。グループの中に入った時に、その人物がどのような役割を果たしているか、という視点は面接では得られない貴重な情報源です。

また、ディスカッションは複数名のグループで行うので、まとめて多くの志望者を選考対象として同時に見ることができ、時間短縮ができるという利点もあります。エントリー数の多い人気企業では、特に限られた時間内で選考作業をする必要があるので、効率の面から重要視している企業もあります。

そもそもなぜグループディスカッションは行われるのか?

グループディスカッションで注目されるポイント

グループディスカッションで与えられる議題は、基本的に「答え・正解のないもの」が中心となります。つまり、議論の結果は選考において重要視されるものではない、ということです。
では、どのようなポイントを選考基準として見られているのでしょうか。主に次の5つが挙げられますので、しっかりと押さえておきましょう。

論理的思考の能力

論理的思考能力は、問題解決能力や目標へのステップを明確に定められるなどの、就職後に必要な実践力に繋がる部分です。特にグループディスカッションで注目されているのは、主張や導き出した答えにきちんと理由や裏付けができているかという点です。

いくら主張をしたところで、裏付けとなる理由がなければ、全く説得力のないものになってしまうからです。また、自分から主張を発信する以外に、他の参加者の主張の穴や抜けている点を指摘するのも、論理的思考能力を持っていることをアピールでき、評価に繋がります。

人間関係を構築する能力

ディスカッションは、グループメンバーとの意見のぶつけ合いでもあります。一見すると対立しているように映ってしまう場面で、メンバーと上手く打ち解けられているか、という部分も注目されています。

相手を批判し、否定してしまう議論ではなく相手の主張をより良いものにするために、自分のアイデアを追加付与していく、というイメージで議論を組み立てるといいでしょう。また、開始前に参加者と談笑し、場の雰囲気を先に和ませておくのもおすすめです。

他者を説得する能力

意見が食い違った時に、自分の主張を相手に理解してもらうことができるかどうかも大切なポイントです。ここで重要なのは、単純に主張を曲げず意固地になってしまうのではなく、冷静に相手の主張に足りない点を指摘したり、自分の主張のメリットを挙げたりすることです。

また、第三者の意見に賛同し、反対の主張をする人を代わりに説得するなど、臨機応変に対応できればさらに評価ポイントになります。

他人の意見を受け入れる能力

自分の主張を一方的に押し通すだけでは、逆に採用担当者にマイナスイメージを与えてしまう可能性があります。グループディスカッションで重要視されているのは、グループ内での円滑なやり取りから、最善を導き出そうとする「過程」だからです。

相手に指摘された事柄に「成る程」と納得できたのであれば、素直に受け入れる姿勢も大切です。さらに、自分以外のメンバーの意見がぶつかったときに、双方の意見を抽出し、妥協策や打開案を例示できる、というのも評価に繋がるアピール方法の1つです。

時間内に答えを出す能力

グループで議論をしていて、一向にまとまらず結論が時間内に出ないというのは一番避けたい部分です。自分だけでなく、グループ全体がまとまりや協調性がない印象を与えかねません。また、ビジネスシーンにおいて、納期や企画の期限など時間に追われる場面は多くあります。

グループディスカッションを通して、上記のような時間配分の正確さも求められていることを意識しておく必要があります。議論が白熱してきている様子であれば、「そろそろまとめに入りましょう」と自分からメンバーに促すのもベターです。

グループディスカッションで注目されるポイント

グループディスカッションでのNG行動・言動4つ

注目されているポイントを理解した上で、逆に採用担当者にマイナスな印象を与えてしまうNG行動・言動についても見ておきましょう。ここで紹介するのは、グループディスカッションの内容とは関係のない意外な部分ですが、見られていることも多い重要なポイントです。

声が小さく、聞き取りづらい

グループディスカッションは、決して1グループだけで行われるとは限りません。複数のチームが同じ場所で議論している場合、周囲の声に消されないためにも、声のボリュームを大きくする必要があります。ディスカッションのメンバーにだけでなく、監督者にも聞き取れる大きさを意識しましょう。

開始してから何度も質問をする

ディスカッションがすでにスタートしているにも関わらず、試験の担当監督者にいくつも質問をしないようにしましょう。スタートの合図が入る前に質問の時間が設けられていたら、挙手して発言権を得てから質問するようにしてください。

議題や企業によっては、質問無しの状態で議題のみ出されることもあります。その場合は、自分の疑問点をディスカッション中にメンバーと共有し、認識をすり合わせるように心がけましょう。

自分の「クセ」に要注意

何気なく普段してしまっているクセにも注意しましょう。次のようなクセに当てはまっている人は、ディスカッション中にしてしまわないように意識してください。

・爪を噛む
・髪をいじる
・貧乏ゆすり
・腕組み・肘をつく
・ペン回し

これらのクセは、ディスカッションのメンバーの集中力に影響する、採用担当者に態度が悪いという印象を与えてしまう、などの懸念があります。

ただし、自分の意見を主張する時に、身振りを交えて説明するのは問題ありません。あまりに目につくようなクセは、ディスカッションの場面で出さないようにしたいですね。

終了後に即帰宅してしまう

終了後の態度も気をつけるようにしましょう。終了後に即帰宅するのが評価に大きく影響するわけではありませんが、例えば僅差で採用判断に迷った時に落ちてしまう要因になる可能性があります。

椅子を揃え、使用した道具の後片付けをし、ディスカッションメンバー、採用担当者への挨拶などを忘れずに行うことを心がけ、会場を出るまで気を抜かないようにしてください。

グループディスカッションでのNG行動・言動4つ

グループディスカッションの対策、コツ

グループディスカッションを行うにあたって、いきなり志望企業で本番を迎えるのは不安な部分もありますよね。ここではそのような人に向けて、事前に行えるグループディスカッションの対策や練習のコツを紹介します。

友人・家族と模擬練習を行う

友人や家族と模擬ディスカッションを行う方法があります。時事ニュースや日常生活のちょっとした問題など、テーマは何でも構いません。あまり「ディスカッションの練習をしよう」と意気込んでしまうよりも、普段から意見交換をするイメージで行うことをおすすめします。

グループディスカッションの何よりの対策は、どんなテーマに対しても「自分の意見を持つこと」です。ニュースやSNSでの意見を読みながら自分はこう思う、という明確な意思を普段から意識して生活するようにしてみましょう。

対策講座、対策セミナーに参加する

グループディスカッションの対策講座やセミナーを受講する練習方法もあります。有料のものもありますが、大学やリクルート関連企業で無料セミナーが開催されていることもあるので、積極的に活用しましょう。

ケーススタディーを大まかに把握しておく

就活中の選考場面で行われるグループディスカッションの議題は、いわゆるビジネスシーンで考えられる問題や困難を想定した、ケーススタディー形式の選考として例示されたものになります。

・新しいアイデアを練るタイプ

(例)全く新しい形式の食堂を作るには

(例)スプーンに代わる新しいカトラリーを提案してください

・問題をいかに改善するかを議論するタイプ

(例)赤字企業〇〇の利益を黒字化するには

(例)トイレの利用者の行列を改善する工夫

・1つの議題に対する数量や金額を議論・推察するタイプ(フェルミ型)

(例)〇〇の1日の利用者数を推察してください

(例)〇〇した場合に予測される費用の総額は

・利益や客数・店舗数などを拡大するための方法分析を行うタイプ

(例)1日の利用者数が1,000人未満の駅の利用者を倍にするには

(例)当社の〇〇部門の営業利益を3倍にするには

・その他抽象的な議題(答えの出ないようなもの)

(例)100年後の日本はどうなっているか

(例)いい会社とは

上記のように大まかに5つに分類できますが、出題される議題は多岐に渡るため、事前に意見を準備しておく、というのはほぼ不可能です。普段から上記4つのような議題に自分なら、どう意見を抽出するかをシュミレーションしておきましょう。

また、ブレーンストーミングなどの練習を行い、短時間で一気にアイデアを抽出する力を身につけるのもおすすめです。

実際にグループディスカッションを受けてみる

第一志望以外の早い段階で選考がスタートしている企業で、選考方法にグループディスカッションを導入している企業を受ける方法もあります。どうしてもセミナーや講座では味わえない、実際の会場の緊張感や雰囲気を掴むことができます。

グループディスカッションの対策、コツ

グループディスカッションの進め方

事前練習を行うのであれば、できるだけ本番に近い形を意識したいですよね。ここでは、実際にグループディスカッションの本番でも行う、流れ・進行方法について見てみましょう。

最初に時間配分を決める

まず、議題と制限時間を聞いたら、何にどれだけの時間を割くのか、時間配分をしておきましょう。これをしておかないと、意見抽出にばかり時間を取られて結論が出ないまま、制限時間を迎えてしまった……なんていうことになりかねません。

~時間配分の例(制限時間30分の場合)~

・役割分担と時間配分の決定 2分
・議題認識のすり合わせ 5分
・アイデアの個別発案(ブレーンストーミング) 5分
・ディスカッション【意見の選定】 6分
・ディスカッション【問題点の指摘・解決案例示】 7分
・まとめ【プレゼン・発表準備】 5分

上記のように分刻みでスケージュールを組みます。ただ、時間が足りなくなってくることもあるので、3~5分程度余力を残しておく方法もあります。逆に時間が余った時はさらに意見のブラッシュアップに時間をあてるようにしましょう。

書記とタイムキーパーを決める

書記は、グループメンバーから出てきた案をホワイトボードなどにメモとして残します。箇条書きや図を利用して、意見を分かりやすく可視化しましょう。また、タイムキーパーはストップウォッチなどの提供物があれば、利用して時間配分通りに進行するように声掛けしましょう。いきなり終了時間を告げるのではなく、「1分前です」など早めに時間をアピールするとベターです。

答えは余裕を持って出しておく

結論はできるだけ早めに出すようにしましょう。その上で、結論の穴やウィークポイントを埋めるための方法・アイデアを出し合う形にすることで、意見がまとまらないまま時間切れになるのを防ぐことができます。

答えが出たら、誰が説明するかを決める

プレゼン・発表のときに説明する人物も、最初の役割分担の時点で決めておく方法もありますが、良い意見を出したメンバーに任せるなど臨機応変に対応して問題ありません。また、説明する内容が複数あるときは、1人に任せず分担するのもいいですね。

答えは紙にまとめておく

抽出したアイデアや意見を、バラバラに箇条書きした「メモ状態」で残しておかずに、必ずまとめて一覧状態にしたメモを作成しましょう。書記が忙しく作成できそうにない時は、別のメンバーがまとめをディスカッションと同時進行で作成する方法も活用してください。

グループディスカッションの進め方

まとめ

グループディスカッションの対策は、目立って発言することばかりを意識する必要はありません。大切なのは「ディスカッションが円滑に進み、結論を時間内に出せるようにすること」です。

率先してリーダーポジションにならなくても、「その意見に~も追加するのはどうですか?」などの提案で、メンバーが見落としている部分を客観視できているだけでも高評価に繋がることもあります。グループ全体にとってどう立ち回ればスムーズなのかを考えながら、参加するようにしてくださいね。

新規会員登録はこちら
ページトップ