就活で志望動機が重要な理由とは
まず、そもそもなぜ就活では志望動機を聞かれるのかを考えてみましょう。質問に対してそのまま思いついた通りに答えるのではなく、企業の立場で考え、意図をくみ取ると相手が求めている事が見えてきます。この「質問の意図をくみとる」という事は社会に出ても大切になってきますので、今のうちから実践しておきましょう。
なぜ志望しているのかを知る為
一つ目は、基本的な所からです。志望動機を聞く一番の理由は他でもなく、その企業を志望している理由を知りたいからです。就活というのは学生が「あなたの会社に入りたいです」というものですから、それに対して理由を聞く事は当然ともいえます。志望動機は就活において全てのベースになる為、一番基本的な質問として、エントリーシートや面接の早い段階で聞く企業が多いのです。
本気で志望しているのかを知る為
志望動機を聞けば、本当にその学生がその企業を志望しているのかを判断できます。志望動機の内容がどの企業にも当てはまる内容だったり、自分の考えが何も書かれていなかったりすると、読み手に「本当はどの企業でも良いのだな」という印象を与えます。本気で志望していない学生を採用しても、入社後の活躍は見込めない為、志望動機の段階で本気で志望しているかを見ているのです。
入社後のミスマッチを防ぐ為
就活では、学生が業界や企業について十分な情報を持っていない事もあります。例えば、就活生が「○○の仕事ができる」と思っていても、実際は「10年後、試験を受けて合格しないと○○の仕事はできない」という状況だった時、就活生が若いうちからその仕事をバリバリやりたかった場合には、すぐに退職をしてしまう可能性が考えられます。志望動機を本当にその企業で実現できるのか見極めるのも一つのポイントなのです。
志望動機を考える為に必要な事
志望動機が重要な理由を押さえたところで、早速、実際に志望動機を書く準備をしていきます。志望動機はいきなりスラスラと書けるものではない為、自分の考えを整理した上で書いていきましょう。今の時点では「志望動機がない」「志望する気持ちが薄い」という人も、整理をすれば、きっとあなたの就職に対する考えが見えてくるはずです。
自己分析
まずは、あなたの考えを整理しましょう。どんな価値観を持っていて、どんな仕事をしたいのかという事は、志望動機を書く上で全てのベースになります。もし、人生で成し遂げたい目標ややってみたいビジネスがすでにあるのなら、その目標に近づくにはどうすればよいのかを考えればOKです。
しかし、今ははっきりとした目標はない、という人もいるかと思います。そんな時は、日常生活でどんな時に自分は喜びを感じるのか、どんな時に頑張れるのかという事を書き出してみて、自分に合う仕事を探すという方法もお勧めです。
企業研究・企業分析
なぜあなたがその企業を選んだのか、という事を相手に納得してもらう為には、その企業にあって、他の企業には無いものを挙げる事が必要です。この部分をしっかりと押さえておかないと、「うちの会社ではなくてもいいのでは」と言われてしまう可能性があります。
また、企業の研究ができていないと「やる気がない人」とも捉えられてしまい、せっかく書いたエントリーシートにも向き合ってもらえなくなってしまう可能性も考えられます。
OB訪問・OG訪問
就活では、一度社員の生の声を聞いておく事をお勧めします。現場のリアルな体験談を聞く事で、仕事を具体的にイメージする事ができ、志望動機にも具体性を持たせる事ができるからです。具体的な事を知っていればいるほど、「よく調べているね」と評価も高くなる事でしょう。
また、現場の実態をしらないまま就活が進み、あとから違和感を持つなど、就活の時間を無駄にしない為にもOB・OG訪問はおすすめです。
志望動機の構成、組み立て方
志望動機を書く準備が整ったら、志望動機を書きだしましょう。とはいっても、何から書いたら良いのか戸惑うかもしれません。基本の組み立て方に沿って構成を整えていくと、大切なポイントを押さえた志望動機をスムーズに完成させる事ができます。以下の4つのポイントを意識しながら、順番に書き進めてみてくださいね。
1.「志望動機」を紙に書き出す
まずはあなたの思っている事をざっと紙に書き出してみましょう。あなたの価値観、大切にしている事、会社でやりたい事、他の会社と何が違うのか……など、思いつくままに言葉にしていきます。これはあなたの考えを言語化する大切な作業ですので、「この意見はウケが良くないのではないか」と思う事でも、企業に直接見せるわけではないので、一度正直に書き出してみてOKです。
2.「なぜ」を繰り返す
志望動機を一通り紙に書きだしたら、それに対して「なぜそう思うのか」「なぜその仕事がしたいのか」という事を自問自答してみましょう。
自分の考えに対して「なぜ」を繰り返すと、自分の考えの元になっている根本的な価値観が浮かび上がってきます。例えば、「接客がしたい」→「人と話すのが好きだから」→「人が笑顔になる瞬間が好きだから」などというように、あなたが何を好きで、何の為に頑張れるのかという事を明らかにしてみましょう。
3.エピソードを加える
自分の価値観を明らかにする事ができたら、その価値観を表現するエピソードを加えましょう。エントリーシートにエピソードが加わると、具体性が増し、説得力のある話になります。例えば前述したような価値観の持ち主であれば、「アルバイトで、自分の工夫した事がお客さんに喜ばれた経験が忘れられません」など、その価値観を実感したエピソードを加え、読み手が具体的にイメージできるようにすると効果的です。
4.文章構成を整える
最後に、文章の構成を整えましょう。自分の言いたい事を読み手に正確に伝えるには、構成を整える作業は欠かせません。
志望動機を書く際には、まず初めに「私の志望動機は、○○です」と結論から述べ、次に「なぜなら~」と、志望動機の理由を自分の価値観や経験(エピソード)と照らし合わせながら説明していくのが良いでしょう。起承転結を意識すると、正しい順番で読み手にスムーズに伝える事ができます。
【例文集】エントリーシートの志望動機
志望動機①:商社
私は、モノを必要としている人に適切に届ける事で、特に発展途上国で困っている人の問題を解決したいと考えています。大学のゼミの調査で発展途上国を訪れた際に、流通ルートが整っていないが為に必要なモノを手に入れる事ができない人が大勢いる事を知り、課題に思いました。発展途上国への参入を積極的に推進している貴社では、この課題解決に取り組む事ができると確信し、貴社を志望しました。
志望動機②:製造業
私は、最新の技術開発に関わる仕事をしたいと考えています。子供の頃から新しいものに強い興味を持つ事が多く、新しい電子機器や家電製品を目にするたびに日本の技術に驚き、感動していました。高校生の頃から自分で機械を組み立てる事を趣味としており、コンテストへの参加経験もあります。世界に技術を誇る日本の中でも、代表的な電機メーカーである貴社こそ、私の興味が活かされる場所ではないかと考えています。
志望動機③:アパレル
私は、人々が明るく毎日を過ごす事ができたら、世の中は平和になっていくと信じています。ファッションは人を明るい気持ちにできると思っており、私自身、暗い気持ちになった時は明るい服を着て気持ちを明るくしたり、イベントではドレスを着て素敵な時間を演出したりと、ファッションに可能性を感じています。アパレル業界の中でも「ワクワクするファッション」というテーマを掲げている貴社でぜひ働きたく、志望しました。
志望動機④:金融
私は、生まれ育った町に貢献できる人間になりたいと思っており、中でもこの町の人々が多く利用している金融機関である貴社で働きたいと考えています。子どもの頃から家族と足を運んでいましたが、社員さんのいつも笑顔で優しく対応している姿に憧れを抱いており、物心ついた頃からこのような働き方をしたいと考えていました。この町と貴社に強い思い入れのある私だからこそ、お客様に良いサービスを届けられるのではと考えています。
志望動機⑤:広告
私は、世の中に大きなインパクトを与える仕事がしたいと考えています。自分の発信によって世の中が変化する事が好きで、爆発的な行動力で物事を動かす事ができます。大学時代は広告代理店へインターンシップに行き、広告こそが世の中にインパクトを与える仕事であると感じました。業界の中でも大手企業を顧客に持つ貴社では、よりインパクトのある仕事ができると考えております。
志望動機⑥:人材
私は、企業と働く人が納得した形で雇用が結ばれ、働く人が幸せだと思える世の中にしたいと考えています。私の知り合いには、自分に合う仕事に巡り合う事ができず望まない労働環境に苦しんでいる人が何人もいます。この事を知り、人材業界に入る事で企業と人の架け橋となり、本当にその人に合う仕事を紹介できる人になりたいと思いました。働く人を何よりも大切にする事をモットーにしている貴社では、私の思いが叶えられると感じています。
志望動機⑦:事務職
私は、人をサポートする事で誰かを輝かせる事ができる人になりたいです。活躍している人には必ずサポートしてくれる人がおり、一人ので何かを成し遂げられる人はいません。私は、貴社で大きな仕事を成し遂げたいと日々努力している人をサポートする事でさらにその人が輝けるような環境を作りたいと思っています。事務職の中でもサポートする領域が広く、貢献できる可能性の大きい貴社へ志望させていただきます。
エントリーシートの志望動機を書く上での注意点
さて、エントリーシートにおける志望動機の書き方と例文を見てきましたが、ここまでで志望動機を書く準備は大方整ったのではないでしょうか。初めは「志望動機がない」「志望する気持ちが薄い」と思っていた人も、これなら書けそうだと思っていただけたかと思います。記事の最後に、志望動機を書く上での注意点をお伝えしておきます。この項目をクリアできているか、チェックしてみてくださいね。
自分だけの原体験を入れる
志望動機の組み立て方の一つに、「エピソードを入れる」事が大切だというお話をしましたが、志望動機を書くには実際の原体験はやはり欠かせません。誰にでも経験のある事ではなく、「あなたらしさ」を表現できる印象に残る原体験を盛り込む事ができると、印象に残りやすくなったり、興味を持ってもらいやすくなったりします。主張に説得力を持たせる為にも、あなたならではの原体験を入れるようにしましょう。
エントリーシートと面接で言う事を統一しておく
エントリーシートを提出してから面接を行うまで、少し時間が空く事がありますが、この2つのタイミングで自分の意見が変わる事がないように注意する必要があります。主張が変わってしまうと、本当にそう思っているのか疑われてしまう可能性もある為、エントリーシートで書いた内容は必ず手元にとっておき、面接前に見直せるようにしておきましょう。エントリーシートでは最低限の事を簡潔に伝え、面接で話を深めていくという立ち位置で考える事をお勧めします。
きれいな字で書く
これは言うまでもありませんが、ごちゃごちゃとしたものより、きれいな字で書かれたエントリーシートの方が読みやすく、良い印象を持ちますよね。ここでお伝えしたいのは、もともと字を書くのが上手な人が有利というわけではなく、「丁寧に」書く事が大切だという事です。丁寧に書けば誠意が伝わりますし、きちんとした人という印象を持ってもらう事ができます。多くの学生に対応している企業側の事を思いやり、きれいな字を心がけましょう。
必ず誰かに連作してもらう
自分で書いた文章は、客観視するのが難しいものです。自分の体験を人に言葉で伝えるのは難しい為、第三者に伝わるかをチェックしてもらう必要があります。また、自分で思い込みをしていた誤字や言い回し、夢中になっていて気がつかなかった脱字など、日本語の基本的な部分も第三者に確認をしてもらうと良いでしょう。エントリーシートを書き終えた後は、必ず自分以外の誰かに添削してもらう事をお勧めします。
まとめ
さて、エントリーシートへ書く志望動機に不安を持つ就活生に向けて、基本的なポイントを解説し、業界ごとの例文集を紹介してきました。初めはどう書いたらいいのか困っていた人も、実際にエントリーシートを書いてみようという気になったのではないでしょうか。
就活における志望動機は、うまく整理をすれば企業にきちんと伝わります。この記事を参考に、不安がる事なく、自身をもって志望動機を書き進めてください。
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