激務でハードな環境に置かれた時の対処。

これは良い悪いの話ではなく、あくまでも一般論ですが、居酒屋のような飲食店のアルバイトというのは、仕事内容も意外とハードで、しかもシフトをキッチリ組まれてしまうため、バイトは所詮バイト、と考えている学生は長く続かない傾向にあるし、ライフスタイルでプライベートを充実させたい、って思ってる学生であれば、飲食店舗のバイトは避ける傾向も多々あります。 

彼女に聞いたところによると、居酒屋を選んだのは単に接客がしたかったから、であって、何が何でも飲食店!ということではなかったようです。接客と一口に言っても色々な接客があります。居酒屋のホール業務が、Aさんのやりたかった接客のジャンルだったかどうか?は詳しく聞いていないのでよく分かりません。でも激務と厳しさが慢性化している現場というのは、バイトの定着率が悪いものです。

でもAさんは長く続けた訳です。諸事情で辞めざるを得なかった時は、悔しくて仕方なかった訳です。Aさんはどうしてそんな状況にも係わらず辞めなかったのでしょうか?

仕事はキツく大変で、先輩の指導も厳しい状況で、スタッフの空気もすこぶる悪い。こういう環境に、もし皆さんが放り込まれたら、皆さんどうでしょう?どうすると思いますか?

目の前の状況を受け入れる素晴らしさ。

僕なら逃げますね。逃げるというか、ご都合主義で自己正当化して辞めるでしょうね。

「なんでバイトなのに、ここまでやんなきゃいけないんだよー」
「なんであんなヤツにそこまで言われなきゃいけないんだ!ムカつく!」
「あんなことしてるから、みんなすぐに文句言って辞めちゃうんだよ・・・」

なんて言いつつね。少しでもイヤだったらすぐ辞める。今自分で書いていて間違いない!って思いましたね(笑)。でも、大抵の人は辞めてしまうと思いますよ。事実、この居酒屋も人員シフトでいつも苦労していたようですし。

しかしAさんは逃げず一年半続けました。さらに結局辞めてしまったことを悔しいと思っていました。やっている間、仕事は楽しい!とさえ思っていました。これは僕のような自分の安全圏でしか行動を起こさなかった人間からみると、尊敬に値する行為です。

Aさんは、別に無趣味で無味乾燥的な人間ではありません。明るいし、いつも笑ってるし、友達も多いし、買い物も好きでファッションにもこだわりがあり、流行にも敏感。でもバイトの泥臭い仕事に、かなり自分の時間を費やしました。

Aさんがなぜ逃げなかったのかというと、まずはその居酒屋での接客の仕事自体を楽しいと感じたからという理由があります。仕事環境の実態全てを現実として受け止め、その上で自分なりに楽しむ方法を見出そうと「普通」に考えていけることは、なかなか出来るものでありませんから。こういう子ならひょっとしたら熱湯風呂に入っても楽しさを見出しそう(笑)。

受け入れる以上に素晴らしいこと。

でも、Aさんのもっとスゴイところは、実は自分なりに、いかに自分が感じてる楽しさをみんなに浸透させることができるか?今のサービスのクオリティを保ちつつ、いかにピリピリした空気を緩和させて、バイトの離職率を下げることが出来るか?ということを真面目に考えて、自分なりに行動していたことです。器じゃないのに、リーダーを受けたのもその一環。リーダーになって少しでも空気を改善していければ、との想いが強かったのでしょう。

つまりどうせやるなら、やりがいや楽しさを見つけて自分の成長に繋げ、そして職場環境も改善していこうとする姿勢、こういうことをAさんは素の自分で「普通」に行うことが出来る訳です。

実はこの価値観は、<事例1-②>での、ゼミの中でも発揮されていました。同じ学校とはいえ、全く知らない人たちの中に入り、そして専門外の分野で周りの人に比べて知識量もハンデがある中、自分のポジションを見出して普通に頑張っていたようです。

これらは全て、Aさんの「素」。だから特に自分では長所だとは思ってなかったし、そういう風に見てもいなかった。自分にとってみれば当たり前のことだったので、気づけなかった訳です。

果たしてAさんの手のひらは・・・?

そんなAさんの「手のひら」は、【建設的思考を持っている】というものなんです。分かりますか?彼女のこの価値観は過去の人生に大いに発揮されています。ここを認めてあげることが自信になります。

「建設的」・・・その事の良さを積極的に認めた上で、さらに良くしていこうとするさま。物事の成立や進行をおし進めようとするさま。

まさにAさんにハマる価値観ですよね。Aさんはそれが自信を持つべきことなのかどうか?ということに懐疑的でしたが、でも、他人からすればなかなか真似できることではありません。

Aさんの自己PRも、建設的思考ということを軸にして見直してもらい、「指」しか見えてない自己PRからは脱却しましたね。

次回はAさんの手のひらを踏まえて、自己PRを再構築してみます。

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