学生時代に力を入れたことは頻出
「あなたが学生時代に力を入れたことを教えてください」
この質問は、就活の際によく企業から尋ねられる質問の一つで、頻度の多さから『ガクチカ』という通称があるほどです。
この質問がどのような場面で聞かれるか、そしてこの質問を出す採用者の意図について、まずは解説します。
【ES、面接どちらでも聞かれる】
ES(エントリーシート)、面接のどちらでもこの質問はされます。そのため、文章用と口頭用の回答はどちらも用意しておくことが望ましいでしょう。
ここで注意するべきは、あまり違った内容になりすぎないという点です。面接の多くはエントリーシートを見て行うため、回答に齟齬や矛盾があると疑問視されます。
かといって一言一句同じ内容だと、ただ文章を暗記して読み上げるだけで、機転が利かない人だと思われかねません。
どちらで聞かれても良いように、両方のケースを想定して回答を作りましょう。
【入社後に活躍できるかを評価】
ではなぜ、この質問は頻繁にされるのでしょうか。その理由としては、入社後に活躍できるかどうかを、経験から判断したいためです。
新卒の社会人には、まだ社会に出てからの実績がありません。そのため、キャリアやポートフォリオから「この人はどのような人物なのか」が判断できないのです。
そこで、学生時代に打ち込んだことを質問し、その人が学生時代にどんな実績を作ってきたのか、どんな人物なのかを評価し、入社後の活躍が期待できるかを判断するために、この質問が用いられます。
学生時代に力を入れたことを作成するコツ
「学生時代に力を入れたこと」への回答を作成するコツを解説します。重要なのはエピソードの扱い方です。詳しく見ていきましょう。
【エピソードを深掘りする】
単純にエピソードを用意するだけではなく、エピソードを深掘りしておきましょう。
エントリーシートで記述した「学生時代に力を入れたこと」への項目を見ながら、さらに深掘りする質問が面接時にされる可能性があるためです。
・なぜ、その活動に力を入れようと思ったのか
・その活動でどんな課題があり、どのように乗り越えたのか
・その活動からどんなことを学んだのか
といったエピソードを深掘りする質問は高い確率で聞かれるので、対策しておきましょう。
【複数の切り口で用意する】
エピソードは一つではなく、複数用意しておきましょう。
聞かれる質問自体は変わりませんが、業界や企業によって話すエピソードを変えるためです。さらに、担当者によってもそのエピソードが評価されるかは変わってきます。
例えば「海外に2週間ホームステイした話が、外資系の企業A社では評価されたが、別の国内産業向け企業B社では評価されなかった」ということはあり得ます。
これは、人材に求める能力が企業によって異なるということも要因です。企業研究をして企業が必要であろう能力や人物像を想定した上で、最適な回答を選択しましょう。
エピソードの選び方
エピソードといっても、採用担当者に評価されやすいものとそうでないものがあります。ここでは具体的に、評価されやすいエピソードの探し方を知っておきましょう。
【具体的な行動が伴っているか】
具体的な行動の伴ったエピソードを選択しましょう。
例えば「学生時代にサッカーに打ち込み、全国大会に行った」というのは、魅力的なエピソードですが、重要なのはそこにつながる過程です。
「そのために自分はどんな貢献の仕方をしたのか」「練習でどんな工夫をしたのか」などといった具体性のある自分自身の行動が伴っていたかどうかは、とても重要です。
なぜなら面接官が知りたいのは「本人の行動力や考え方」であって、エピソードそのものではないからです。
【自分らしさが伝わるか】
自分らしさが伝わるエピソードを選びましょう。具体的に言えば、自己PRや志望動機など、ほかの質問につながるような内容です。
そうすることで、自分自身の自己PRに厚みを増すことができますし、ほかのエピソードと合わせてより説得力を増す結果となります。
逆に、自己PRでは「新しいことに取り組む姿勢」をアピールし、学生時代には「一つのことを継続する力」などのエピソードを話してしまうと、人物像について面接官は首をかしげてしまうかもしれません。
自分の長所や強みは何か、そしてそれをアピールできるエピソードを選ぶようにしましょう。
【企業の求める能力とマッチしているか】
企業研究を進めていくと、業界や企業はどんな課題を抱えていて、どんな人材を欲しているのかといったことがわかってきます。
企業の求める人材と、学生時代に打ち込んだことによって明らかになる人物像は、できれば一致している方が好ましいです。
そうすることで、面接官に対して「自社に欲しい人材だ」と思ってもらうことができます。また、企業研究をよくしている学生だと、高評価を持たれることもあるでしょう。
特別な体験でなくても問題ない
『甲子園出場』や『コンクール受賞』といった特別なエピソードがあれば、それに越したことはありません。しかし大抵の人はそうではなく、エピソードを選ぶ時に「こんな凡庸なものでいいのか」とつい不安になってしまいます。
しかし、エピソードは特別な体験である必要はありません。なぜそのように言えるでしょうか。
【自分の個性を伝えることが大切】
「学生時代に打ち込んだこと」を聞かれたときに、人にはない特別なエピソードは、たしかに面接官に印象づけられます。
しかし、特に印象的なエピソードである必要はありません。なぜならこの質問の意図は、面白いエピソードを聞くことではなく、エピソードを通して見えてくる人物像だからです。
そのために重要なのは、自分の持っている特技や強みといった個性をしっかり伝えられるかどうかになります。
【エピソードのインパクトより中身が重要】
特別な経験によるインパクトよりも、エピソードは中身自体がとても重要なのです。
例えば「スポーツの県大会で1回戦敗退した」というエピソードであっても、「チームのマネージャーとして選手の健康管理を徹底した」「PTAとの連携や練習試合の設定、部費の運用などのマネジメント管理を行った」というエピソードであれば、マネジメント能力を説明するには十分でしょう。
重要なのは、エピソード自体のインパクトではなく、そのエピソードの中で自分がどのような立ち位置にいて何をしたか、その能力が企業で働く上でどう貢献できるかなのです。
【企業は物事に取り組む姿勢を見ている】
エピソードの内容から、企業は学生の物事に取り組む姿勢を見ています。
ある困難な出来事に対して、それが達成できなくても毎日努力していたというようなエピソードは、粘り強さのアピールになります。採用して仕事を与えたときに、粘り強く仕事に取り組むことを期待してくれるかもしれません。
そのため、エピソードを選ぶときは自身が消極的だったエピソードや、悲観的な出来事などは避けた方が良いでしょう。アルバイトやボランティアなど、自分から参加したエピソードは話も広げやすいという強みがあります。
伝わるガクチカのまとめ方
エピソードがどれだけ魅力的であっても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。ガクチカを相手により印象的に伝えるための方法について解説します。
【最初に結論を明確にする】
「私が学生時代に力を入れたのは、〇〇です」といったように、最初に結論から話しましょう。
いきなりエピソードから話しても、面接官はそれが何について話しているのかが不明瞭です。結末まで知っている自分とは違い、面接官はエピソードの内容はおろか、学生の人柄でさえもよく知りません。
そうした情報量のギャップがある人物に対してエピソードをわかりやすく話すには、結論から話すことがもっとも有効なのです。
【論理的な構成でまとめる】
PREP法など、論理的に物事を伝えるためにフレームワークがあります。そうした論理的な方法を使うことで、自分で構成を考えるよりもはるかにわかりやすく伝えることが可能です。
ガクチカを話す際に有効なのは『STAR法』という方法でしょう。STAR法は『Situation(状況)』『Task(課題)』『Action(行動)』『Result(結果)』の頭文字を取った言葉で、この順序で話すことを指します。
1.Situation(状況)…どんな状況や立場に置かれていたのか。どんなことに取り組んだか
2.Task(課題)…取り組みや状況の中で、どんな課題があったか
3.Action(行動)…課題を解決するためにどのような行動を取ったか
4.Result(結果)…行動の結果何が得られたのか、どんな成果を残せたか
このフレームワークの通りに話を組み立てることで、話の内容を簡潔に、しかもわかりやすく伝えることができます。
【専門用語は一般的な表現に言い換える】
エピソードを説明する際には、専門的な話も出てくることがあるでしょう。
例えばスポーツであればルールや選手の名前、プログラミングなどのスキルの習得であれば、その過程で使う用語などです。こうした用語は、専門家ではない人でもわかる言葉に置き換えましょう。
相手を驚かせようとしたり、自分を有能に見せようと専門用語を頻発させてしまう人もいますが、明らかな失敗です。エピソードの中身がわかりにくくなってしまいますし、説明下手な人だと思われてしまうかもしれません。
わかりやすい内容にすることで、エピソードや自分の人柄など、重要なことが確実に伝わるようにしましょう。
自分らしさが伝わる経験をまとめよう
ガクチカを伝える上で重要なのは、エピソード自体のインパクトや特別感より、そのエピソード通じてどんな人物なのか、どのように会社に貢献できるのかです。自分らしさを伝える経験を選択して話しましょう。
そして、相手がわかりやすいように専門用語は使わずに、面接で話す時は相手が聞き取りやすいよう大きな声でハッキリとしゃべることも重要です。
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