自己PRの作成で知っておきたいこと

①:面接官は自己PRで何を見ているのか

面接の場で、面接官はどうして自己PRについて質問してくるのでしょうか。それは、受験者である学生が活躍できる能力、資質、行動特性を持っているかどうかを知りたいからです。
この学生を採用した場合、どのようなスキルがあって、なにに向いているのかを把握しておかなければ、面接官は採用後の具体的なイメージを持つことが難しくなります。採用後にどの部署に配属できるか、希望している部署で本当に活躍できる人間なのかを見極めるために、人柄を知ることができる自己PRについて質問してきます。

②:面接官が知りたいことを把握しておく

エントリーシートや面接で多い質問として、『学生時代に力を入れたことはなにか』ということが挙げられます。また『自己PRをしてください』『あなたのセールスポイントはなにですか』などの質問でも、『学生時代に力を入れたこと』を面接官は聞きたい場合もあります。これは受験者が“物事に対して一生懸命努力する”という行動特性を持っているかを知りたいからです。そのためエピソード(がんばったことの根拠)と一緒に語られることで、仕事も一生懸命がんばってくれるだろうと面接官に期待してもらうことができます。

③できる限り具体的に書く

アルバイトの経験や、サークルでの活動を自己PRのテーマにしようと決めている人もいるのではないでしょうか。ここで気をつけるべきポイントは、エピソード内容をできる限り具体的に書くことです。面接官は多くの受験者の面接を担当しているため、抽象的な自己PRをただ述べられても、具体的なイメージがつきにくく、印象にも残りづらくなります。そのため、短時間でできるだけリアルにイメージしてもらうためにも、具体性が必要になります。

たとえば、「大学時代に接客のアルバイトをしており、忙しい時でもがんばっていたので、店長からも評価されました」という内容は、かなり抽象的で印象に残りにくいと言えます。

これをできるだけ具体的にすると、「大学2年生から約2年間、○○駅構内のマツモトキヨシにて、レジとお客様サポートの仕事を担当していました。駅構内ということで、朝には約300名近くの利用客がいるなか、忙しさを表情に出さず、丁寧な接客を心掛けている点を店長から評価されました」となります。どこで、なにを、どうやって行ったのか、できるだけ数字と固有名詞を入れて表現するとよいでしょう。

自己PRの作成で知っておきたいこと

自己PRで忍耐力を伝えるのは効果的?

自己PRで忍耐力についてアピールをすることが、本当にいい評価につながるのでしょうか。答えは、「企業が求める人材像による」というのが正直なところです。多くの企業は忍耐力がある、つまり仕事に対して一生懸命努力する力がある人をポジティブに評価します。しかし一部の企業には、「私には忍耐力があります」という表現をすると、ネガティブな評価をされることもあります。

これは「忍耐強く努力すること」と「自分の意見を言えない」ということが混同されてしまうからです。そのため、自分から発信することを是とする企業(業種・職種)の場合、自己PRが逆効果になってしまうこともあるので注意しましょう。「企業が求める人材像」によっては「忍耐力」という直接的な言葉を使用せずに、文章内で別の表現をするなどの方法で自分のPRポイントを伝えるという方法もあります。

自己PRで忍耐力を伝えるのは効果的?

忍耐力ってそもそもなに?どんな能力なの?

①困難な状況にも負けない力

忍耐力ときいて、多くの人が一番先に思い浮かべるのが、「困難な状況に負けずに立ち向かう力」ではないでしょうか。

業務量が多く、タスクが複雑である。新しく勉強しなければならない、努力がなかなか結果に結びつかない。そういった場面でも、あきらめずに粘り強く挑戦し続けるという働き方ができる人は、企業からすると育てがいのある人材です。たとえば学生生活では、サークル活動のイベント企画や運営、アルバイト経験、学生時代の部活動などがテーマとして挙げやすいと言えます。

②楽なほうに流されない力

忍耐力があるということは、「楽なほうに流されない力」ということでもあります。つまり、自分の欲求に打ち勝ち、理性的な行動をとることができるということです。

仕事で「もうダメだ……」と思った時、ごまかそう、あきらめようという弱い心が出たとしても、忍耐力があれば「もうひとがんばり」「今度は違う方法でがんばってみよう」と立ち直ることができるでしょう。忍耐力という言葉のなかには、ただがむしゃらにがんばるのではなく、理性的に考えた結果、あきらめずにがんばれるということも含まれているのです。

③ポジティブな発想で気持ちを回復させる力

忍耐力があるということは、何度も耐え、途中で落ち込むことや、大変なことがあっても、そこからまた立ちあがってがんばることができるということもあります。たとえば新しい仕事を覚えられずにミスばかりしていると、「才能がない」とネガティブな発想になる人もいるでしょう。

ところが、忍耐力がある人は、「ミスから覚えることもある。成長するチャンスだ」と、同じ状況でもポジティブにとらえることができます。このような力は、「レジリエンス(心の回復力)」ともよばれており、社会人として多くの企業が求めている力といえるでしょう。

忍耐力ってそもそもなに?どんな能力なの?

履歴書で使える!自己PRの例文

履歴書で自己PRを伝える場合、長文を書けばいいわけではありません。シンプルに、わかりやすく相手に伝えることで、採用担当の記憶にも残りやすくなります。ここでは履歴書に書ける自己PRの例文をご紹介します。

忍耐力が伝わる例文①

【野球歴10年。厳しい特訓で身についた2つのこと】

1.絶対にあきらめないしぶとさ
キャッチャーの私が試合でこなす役割は、ピッチャーのどのような投球にも対応することです。たとえ暴投があっても、死ぬ気で食らいつきます。
2.チームワーク精神
個人ではなく、チームの勝利のため逆境であっても努力します。味方のミスは素早くフォローし、チームを盛り上げるために積極的に声を出します。

忍耐力が伝わる例文②

【通学片道2時間半×3年間、皆勤賞連続受賞】

私は、片道2時間半の道のりを、電車と地下鉄とバスを乗り継いで通学しています。朝のラッシュの満員電車に身体を押しつぶされ、長時間立ちっぱなしになっても、3年間毎日無遅刻、無欠課、無欠席を一貫しています。これを3年間続けるために、日々の体調管理と忍耐力が必要でした。このようなことから、私はどんなことにもへこたれず、コツコツがんばることができる自信があります。

忍耐力が伝わる例文③

【塾講師のアルバイトで受講生30名を志望校に全員合格させる】

私は大学時代、塾講師の仕事に真剣に取り組み、困難な状況にあっても耐えて、工夫して乗り越えることができました。

1.30名の生徒の前で1コマ60分の講義を展開→度胸が身についた

2.すべての学生が理解できるまで勉強に付き合う→責任感と忍耐力が身についた
3.学生獲得のためにチラシ配りを1日2時間→体力と忍耐力が身についた

上記の結果、2年間のアルバイト期間で受講生30名全員を志望校に合格させることができました。御社の仕事でも、徹底的に努力して、必ず結果を出します。

履歴書で使える!自己PRの例文

面接で使える!自己PRの例文

面接では、できるだけ結論を先に伝え、その後に自己PRの根拠となるエピソードを述べることで、内容が面接官にしっかりと伝わります。ここでは、面接時に使える例文をご紹介します。

忍耐力が伝わる例文①

私には、困難に耐えて、あきらめずにがんばる力があります。小学校、中学校と運動が苦手だったにもかかわらず、高校ではバスケットボール部に入部しました。レギュラーをめざし、練習のない日でも、毎朝毎晩、自主練習をがんばりました。努力が報われず、試合に出ることができなかったり、後輩のほうが早くレギュラーになってしまい、あきらめそうになったりしたこともありました。しかし諦めずに練習に打ち込んだ結果、2年目から成果が出はじめ、3年目にはトレーニングリーダーに選ばれるほど上達しました。このようなことから、私は仕事でも自主努力を積み重ね、困難に耐えられると考えております。

忍耐力が伝わる例文②

私には、粘り強く努力を重ねる力があります。私は、60名ほどの規模のテニスサークルで会計の役職に就き、サークル費徴収の仕事を担当しておりました。支払期限が迫っても未払いのままで、出し渋るメンバーが40名もいましたが、電話をかけたり、直接会ったりして、メンバーとの信頼関係を築きながら、粘り強く交渉を重ねました。その結果、40名すべてのメンバーから徴収することができました。御社の営業職の仕事においても、この粘り強さを活かして取り組んでまいりたいと考えております。

忍耐力が伝わる例文③

私は、大学の授業に打ち込むことで、30科目中28科目で、もっともよい評価である「優」をおさめることができました。毎日朝8時から夕方5時まで学校の図書館で勉強することを習慣としていました。遊びたい、さぼりたいという気持ちもありましたが、自分で学費を工面していたため、学費が優遇される特待生でなければいけないという理由がありました。学部の学科の科目はもちろん、他学部の興味ある科目も履修し、その結果、必修科目30科目中、28科目で「優」を獲得しました。

面接で使える!自己PRの例文

忍耐力を伝える時の注意点

①冒頭に結論を持ってくる

面接の場合、面接官に「結局なにが言いたかったんだ?」と思われることは避けたいものです。せっかくの自己PRの内容を効果的に面接官に伝えるために、最初に結論を話すことが重要です。結果を冒頭で述べることで、話の全体像が理解しやすくなるだけではなく、インパクトを最初に与えることで、興味を持って話を聞いてもらいやすくなるからです。興味を持ってもらえた状態であれば、その後に具体的なエピソードを話した時、関心を保って自己PRをきいてもらうことができるでしょう。

②内容によっては完全に受け身の人間と思われることも

忍耐力という言葉は、「他者からの要求や圧力に耐える」ことを想像させる言葉のため、表現方法をまちがえると、受け身の人間だと誤解される可能性があります。エピソードの中に忍耐力だけではなく、企画力、発信力など、受動的な印象を与えにくいものも入れてアピールすることをおすすめします。たとえば「忍耐力+説得力」「忍耐力+協調性」など、ただひたすら耐えるだけではないという表現をするとよいでしょう。

③忍耐力をアピールする時は表情にも気をつける

面接で忍耐力についてアピールする際には、表情も大切です。笑顔が好印象をつくるため、面接の間できるだけ笑顔でいる人もいますが、忍耐力をアピールする際には、表情も真面目に、誠意が伝わるものにしましょう。にこやかであれば問題はありませんが、へらへらしていると勘違いされてしまった場合、エピソードが信憑性(しんぴょうせい)に欠けてしまい、面接官はアンバランスさを感じてしまうかもしれません。志望動機や、自分の性格的特徴などの際には笑顔で受け答えし、自己PRの忍耐力の部分では表情を引き締めることで、入社への熱意、決意も伝わりやすくなるでしょう。

まとめ

自己PRのなかで忍耐力をアピールすることは、決して悪いことではありません。ただし、受け身な人間だと誤解されてしまう可能性があり、採用につながりにくくなる可能性があります。そのため、表現方法を工夫して直接「忍耐力」と言わず(書かず)、「~という困難にも負けずに」「何度も努力と工夫を重ね」というように、忍耐力があることを想像させる文章にするとよいでしょう。

もちろん、忍耐力自体は、社会人として仕事に向きあい、仕事をがんばる力があることをアピールできる言葉ですから、言い方(書き方)に注意して自己PRに入れ込むことで、就活でもよい結果につなげることができるでしょう。

まとめ

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