五大商社とは?

五大商社とは三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅の5企業を指します。いずれも歴史のある大企業で、他の商社に比べて高年収で知られています。当然、競争率も高いので、志望する人は各企業の社風や特徴を説明できるようにしておきましょう。

それぞれの企業の説明に入る前に、まずは総合商社とはどういう企業かを知っておく必要があります。

【総合商社について知る】

総合商社とは、国内外の多種多様な商材のトレーディングを行っている企業で、さまざまな事業を手掛けているのが特徴です。「ラーメンからロケット(ミサイル)まで」などと言われるように、世界中から生活品や金属、繊維、原油に至るまで幅広く商材を仕入れ、取引先企業に販売するのを生業にしています。

なお、総合商社というのは日本独自の業態であり、海外では限られた商材を扱う専門商社がスタンダードな存在となっています。日本でも、特定の業界に精通した専門商社が数多くあり、大手メーカーの商品のみを専門に扱っている企業も少なくありません。

【総合商社の中でも特に大きな規模の五大商社】

日本には多くの総合商社がありますが、その中でも三菱商事、伊藤忠商事、三井物産、住友商事、丸紅の五大商社は、特に事業規模が大きい点で有名です。さらに、兼松や双日、豊田通商を含めて八大商社と呼ばれるケースもあります。

五大商社は、いずれも日本の高度成長をけん引した存在であり、日本の企業が海外進出する際のオーガナイザーとしての役割を担ってきた歴史があります。さまざまな商品を右から左に流す商取引だけではなく、事業開発や投資、金融など幅広い分野の事業を大々的に手掛けているのが特徴です。

五大商社とは?

五大商社を比較

それでは、五大商社のそれぞれの特徴や社風、社員の平均年収を比較してみましょう。それぞれ独自の強み分野を持っており、社風も違っています。志望している人は、単純な規模だけではなく、それぞれの企業が求めている人材や企業風土にも注目しましょう。

【各社の特徴を比較】

五大商社のそれぞれの特徴を挙げてみると、次のようになります。

・三菱商事:あらゆる分野の商材を扱っている。特に金属資源分野に強い。2015年に資源価格の暴落を受けて連結赤字に陥ったが、生活産業を中心とした非資源分野では高い純利益を誇っている。
・三井物産:金属資源分野や機械・インフラ系の分野に強みを持つ。資源価格の影響を受けやすい体質で、2016年に初めて赤字を経験したため、近年は食糧や消費財、ヘルスケア分野に注力している。
・住友商事:社会インフラ事業や不動産事業、メディア事業に強みを持つ。2015年にマダガスカルのニッケル事業で打撃を受けたが、輸送機や建機、メディア事業などで積極投資を行い、業績を改善してきた。
・伊藤忠商事:あらゆる分野の商材をバランス良く扱っている。他の商社と比べて確固たる特徴を持たないとも言われるが、非資源分野には強く、2014年には同分野でNO.1を達成した。
・丸紅:石油・ガスなどのエネルギー分野と穀物分野に強みを持つ。近年は電力部門にも注力しており、2016年からの電力自由化を推進力として、堅調に売上を上げている。

どの商社も多様な商材を扱っていますが、それぞれ強み分野があります。資源分野は特に外部的な要因の影響を受けやすいため、非資源分野にも重きを置いている企業が多いようです。

【各社の社風を比較】

次に、各社の社風を比較してみましょう。

・三菱商事:社訓である三綱領「所期奉公」「処事光明」「立業貿易」を体現するバランス感覚と公明正大さを重視する社風。
・三井物産:「個」の尊重と成長を重視する社風で、若手にもどんどんチャレンジする機会を与える。
・住友商事:「自利利他公私一如」を理念とし、堅実を重視する社風。過去の不正事件を教訓に、何より信用を重んじるようになった。
・伊藤忠商事:個の力を重んじる社風とされており、特定の領域にひたむきに取り組む人材が多い。バイタリティに溢れる社員が目立つと言われる。
・丸紅:フラットな組織で若手の活躍を重んじる社風。年次にこだわらず、ボトムアップで物事を決められる傾向がある。

商社によって風土に大きな違いがあります。企業研究を深めて、どの商社の風土が向いているかを調べておくのが大事です。

【各社の平均年収を比較】

2019年度有価証券報告書や民間調査などを元にした五大商社それぞれの平均年収は次の通りです。調査する年によって具体的な年収額は変動するため、あくまでも目安として記載します。
————————————————————
<社名>
<平均年収>
<平均年齢>

三菱商事
約1630万円
43歳

三井物産
約1390万円
42歳

住友商事
約1440万円
43歳

伊藤忠商事
約1570万円
42歳

丸紅
約1450万円
42歳
————————————————————

社員全体の平均年収ではありますが、いずれも1000万円以上の高収入を得られるようです。日本人全体の平均年収が約430万円なので、他の業界と比較しても、かなりの年収水準であるのが分かります。

五大商社を比較

受ける前にしておくべき対策

五大商社の特徴を紹介してきましたが、これらの企業を受ける前にやっておくべき対策を紹介します。基本となる業界研究や自己分析などは当然ですが、商社から内定を貰うためには、早い段階から準備が必要となります。

【語学力を身に付ける】

国際取引や海外出張、外国人とのコミュニケーションをする機会が多いのが商社です。そのため、早い段階から語学力を磨く必要があるでしょう。内定のために絶対に語学力が必要と断言できるものではありませんが、グローバルに活躍することを求められる五大商社では、最低限、英語力は磨いておくべきです。

事実、英語の流暢な帰国子女が採用される確率が高いと言われているので、TOEICの高得点を目指して努力するのも良いでしょう。

【OB・OG訪問】

五大商社に限った話ではありませんが、OB・OG訪問はしておきましょう。特に商社は企業からの評価を得やすいと言われており、採用で有利になるケースは少なくないようです。

実際に現場で働いている社員の話を聞けるため、自分の特性や強みを活かせる会社か確認できるだけでなく、就職活動のモチベーションも高まるでしょう。可能であれば、多くのOBやOGに会って話を聞くことで、さまざまな角度から企業への理解が進みます。

【インターンシップに参加】

インターンシップを募集している場合は、必ず参加するようにしましょう。実際の企業で働いてみることで、職場の雰囲気を体験できるだけでなく、面接の際にインターンシップの経験から学んだ点などを語ることもできます。

企業の社風が自分に合っているかどうかも分かるはずです。説明会だけでは分からない商社の内側を知る機会はほとんどありません。貴重なチャンスを逃さないようにしましょう。

受ける前にしておくべき対策

知っておきたい知識

最後に、五大商社を受けるに当たって、事前に知っておくべき知識を紹介します。総合商社を希望する人にはさまざまなタイプがいますが、向いている人とそうではない人がいます。この機会に、自分が本当に商社マンに向いているか自己分析してみましょう。

また、総合職と一般職でも担うべき役割が違ってくるので、どちらを希望するかも明確にしておく必要があります。

【総合商社に向いている人】

総合商社は海外の多くの場所に拠点があるので、海外勤務も珍しくありません。そのため、新しい環境にもすぐに適応でき、ストレスに強い人が向いていると言えるでしょう。フットワークの軽さも大切です。

また、業務が多岐に渡るため、他の業界では起こらないようなトラブルが発生する機会は珍しくないようです。何か問題が起こっても、じっくりと腰を据えて解決できる忍耐力と責任感、そして自分自身で道を切り拓くチャレンジ精神が求められます。

【総合職と一般職】

総合商社の職種は、大きく総合職と一般職に分かれています。総合職は取引先と直接やり取りする営業職で、契約を結んだり提案をしたりするのが仕事です。商社の花形と言われており、海外勤務も多いため、世界を股に掛けて仕事をしたい人向けです。

一方、後者の一般職は総合職を支える役割を担っています。契約書の作成や商材の保守管理など、社内で仕事をする機会が多いのが特徴です。総合職に比べると年収も少ない傾向にありますが、転勤は少ないため、同じ場所で長く働きたい人に向いているでしょう。

【商社は配属リスクが高い】

商社は他の業界と比べて配属リスクが高いと言われているので、志望する場合は注意しましょう。「背番号制」という業界用語があるように、入社後に配属された部門で長く働き続けなければならないケースは少なくありません。

特に多種多様な商材を取り扱う総合商社では、希望した部門に配属される可能性は専門商社に比べて低くなってしまうでしょう。

どの部門に配属されたとしても、そこで結果を残そうと頑張れる人ならば、仕事を通じて自己実現できる機会が訪れるはずです。逆に、絶対に自分の希望する部署・部門で働きたい人は、商社以外の業界の方が向いているかもしれません。

知っておきたい知識

就活生に人気の五大商社

日本を代表する五大商社の特徴や社風、年収を比較してみました。いずれも日本経済をけん引してきた歴史ある企業であり、日本人で知らない人はいないほどの有名企業です。年収も他の業界に比べてかなりの高水準なので、志望している就活生も多いでしょう。

五大商社を受ける際には、語学力を身に付けるのはもちろん、OB・OG訪問やインターンシップ通じて会社の雰囲気を知っておきましょう。「何となく受けてみる」といった受け身の姿勢ではなく、しっかりと業界・企業研究や自己分析を重ねておき、自分に向いていると納得した上で受けるようにしましょう。

関連記事

新規会員登録はこちら
ページトップ