モチベーショングラフについて

就職活動を始める際に、ほとんどの学生は自己分析をするはずです。さまざまな分析方法がありますが、その中でも、モチベーショングラフは就活生が自分の性格や価値観などを理解するのに役立ちます。

【モチベーショングラフとは】

モチベーショングラフとは、過去の体験から、自分がどんな出来事にモチベーションが影響を受けたのかを探る自己分析法の一種です。どんなことでモチベーションが左右されるのか、できるだけ客観的に把握することで、強みや価値観を理解できるようになります。

就職活動においては、自分の強みを活かせるだけでなく、価値観に合った就職先を見つけることが重要です。モチベーショングラフで過去の歩みを知ることによって、本当は何をやりたいのか、何に喜びを感じるのかを確認し、それを基準に志望する企業を絞り込めるようになります。

【モチベーショングラフを作成する目的】

モチベーションの源泉を理解し、これまで気付かなかった一面を知ることがモチベーショングラフ作成の目的です。多くの人は自らの性格や持ち味といったものを客観的に確認したことはなく、何がきっかけでモチベーションが変化するのかを漠然としか把握していません。

そこで、モチベーショングラフを作成すれば、過去のモチベーションの上がり下がりが一目瞭然になるため、現在の自分がどういった出来事がきっかけで形成されているのかが分かるようになります。完全には把握できなくても、大事にしている価値観や将来やりたいことなどが、かなり具体的になるはずです。

モチベーショングラフについて

モチベーショングラフを書くメリット4点

モチベーショングラフを作成するメリットは、自分の価値観を理解することで進路選択の基準を明確化できることです。就職活動だけではなく、今後の生き方を考える上でも参考になる分析方法であり、他にも次のようなメリットを得られます。

【自分の特性を知ることができる】

過去の遍歴とモチベーションの状態を確認することで、自分の性格を客観的に知ることができます。これまで漠然としか理解していなかった特徴を、客観的な事実を元に分析できるので、自分の適正を具体的に言語化できるようになるでしょう。

それまで考えていなかった新しい発見がある場合も少なくありません。将来の行動も予想できるようになるので、自分の特性を発揮できる企業選びの参考になります。

【ストロングポイントが分かり発揮しやすい】

モチベーショングラフは自分の強み(ストロングポイント)の把握にも役立ちます。力を発揮できることや、継続して取り組めることを明らかにできるので、企業にアピールするポイントを知ることができます。

自らの強みを活かせる企業を絞り込めるようになるので、どんな企業が自分に合っているか分からないという人も、企業選びのヒントを得られるでしょう。

【今と未来の自分の状態を知ることができる】

今だけではなく、未来の状態も予測できるのがモチベーショングラフのメリットです。どんなきっかけでモチベーションが上がる(下がる)のか、その原因を把握できるため、将来同じような出来事が起こった場合にも、モチベーションが影響を受けると予測することができます。

これまで何となく「やる気がみちあふれている」あるいは「やる気が出ない」と感じていたことに、客観的な理由付けができるようになるわけです。どんな企業に入れば満足感を得られるのかを理解できるようになるだけでなく、今後の生き方のヒントにもなるでしょう。

モチベーショングラフを書くメリット4点

モチベーショングラフの書き方

それでは、モチベーショングラフの書き方を説明します。白い紙にペンを使ってグラフを作成する方法が一般的ですが、パソコンを使ってグラフを作成しても構いません。自分のやりやすい方法を選択しましょう。

【x軸とy軸の2本を引く】

まず時間の流れをx軸(横軸)、モチベーションの上下をy軸(縦軸)として、紙に2本の軸を書き込みます。x軸の始点は小学校の高学年や中学生あたりにすると良いでしょう。そこから年齢ごとに経験した特徴的な出来事と、そのときのモチベーションの状態をグラフにしていくわけです。

【そのとき起こった事象をブラッシュアップする】

年齢ごとに起こった出来事や事象をできるだけ詳細に思い出し、モチベーションや気分の上下を書き込みましょう。ポイントとしては、どんな些細な出来事でも、自分の感情に影響を与えたものはしっかりと書き出すことです。

人によっては思い出したくない出来事もあるかもしれませんが、それも自分自身を知る重要が手掛かりになるので、しっかりと書き出すようにしましょう。

【当時の環境や感情を振り返る】

年齢ごとに出来事を書き込んだら、一つひとつの出来事が起こったとき、どういう感情だったかを具体的に書き込んでいきます。主な人間関係や、そのときの雰囲気なども詳細に振り返るのがポイントです。他人に見せるわけではないので、ありのまま正直に書くようにしましょう。

そして、当時の感情を元に、それぞれの出来事が起こった際のモチベーションの状態をy軸上に点で表しましょう。その点と点を結び付けていくことで、モチベーショングラフが出来上がります。

【各エピソードを比較して共通点を探す】

後は、それぞれのエピソードを比較して、共通点を探していく作業です。グラフが「山」になっている部分と「谷」になっている部分の共通点を考えることで、自分のモチベーションの源泉が明らかになってくるでしょう。

ポイントは「なぜそう思ったのか?」「こういう感情になったのはどうしてか?」を深く考えてみることです。これによって、自分はどんな環境に左右されやすいのか、何がきっかけでどんな行動を取りやすいのかが分かるようになります。

モチベーショングラフの書き方

モチベーショングラフを作成するときの注意点

モチベーショングラフを作成したら、時間を取ってじっくり自分に向き合う作業が必要になります。以下のポイントに注意しながら、自己分析を進めることが重要です。

【分析を通じ自分の価値観や特徴を理解する】

全体のグラフの動きを俯瞰しながら、モチベーションが上がった部分と下がった部分のきっかけを深く考えてみることが大事です。それによって、自分の価値観や特徴が明らかになってきます。

自分の感情や、その感情が湧き上がった理由を考え、何が原因となってモチベーションが左右されたのか、時間を掛けてじっくり考えてみましょう。

【自分が本当にやりたいことを精査する】

モチベーショングラフを作成する最終的な目的は、自分の特性を把握して本当にやりたいことを明確にすることです。進路選択の軸がはっきりするだけではなく、強みや改善点を面接でしっかりとアピールできるようになります。

自己分析をやらずに、世間の評判や年収だけで志望企業を決めてしまう人も少なくありません。しかし、自分の価値観や本当にやりたいこととの整合性を考えて選ばなければ、入社してからモチベーションが大きく下がってしまう可能性があります。

そうならないためにも、しっかりと時間を取ってモチベーショングラフを作成し、それを元に自分の価値観に合った仕事は何か、どんな企業であればそれを実現できるのかを考えましょう。

モチベーショングラフを作成するときの注意点

モチベーショングラフ作成後の活用方法

それでは、モチベーショングラフを就職活動に活かすためのポイントをもう少し掘り下げて説明します。

【就活する軸を固める】

モチベーショングラフが「山」から「谷」、あるいは「谷」から「山」に切り替わったタイミングに注目してみましょう。この分岐点には、自分の価値観が変わった出来事が隠されている可能性が高いです。特に、大事な親友との関わりや、尊敬できる人物との出会いなど、他者が自分の価値観に影響を与えていたケースも多いでしょう。

人生に大きな影響を与えている出来事をヒントにすると、自分が大切にしたいと感じている価値観が浮き彫りになってきます。その価値観を実現できるかどうかを基準にして、志望する企業を選ぶと良いでしょう。

【エピソードトークを作る】

モチベーショングラフを元に、自分のエピソードトークも作ってみましょう。企業によっては面接で30秒~60秒程度で自己紹介をしなければならないケースもあります。

自己紹介で何を話せば良いか分からないと悩む就活生は少なくありませんが、モチベーショングラフで自分に影響を与えた出来事を明らかにしておけば、自分の人生を形作った重要なエピソードとして話すことができるはずです。

特に面接では、短い時間で「自分がどういう人物なのか」を相手に分かりやすく伝えることが求められます。

モチベーショングラフに書き込んだ出来事を中心に話す内容を整理すれば、自分の性格や特性、大切にしている価値観を端的に伝えられるようになります。事前に、話すべきエピソードをピックアップしておき、それを中心にトークをまとめておくと良いでしょう。

モチベーショングラフ作成後の活用方法

モチベーショングラフを活かした自己分析を

自分のモチベーションを具現化して、分析できるモチベーショングラフの作り方と、就職活動に活かすためのポイントを解説しました。モチベーショングラフを書くことで、これまで影響を受けた出来事や、そのときの感情を整理することができ、何が価値観の形成に影響しているのかを分析することができます。

その内容を元に、自分の強みや特性を活かせる企業を選択すれば、就職後に「思っていた仕事と違っていた」「仕事にやる気が起こらない」といった事態に陥る可能性を減らせます。

自己分析で何をすれば良いか分からない人は、ぜひ時間を取ってモチベーショングラフを作成してみましょう。きっと、これまで気付かなかった新たな発見やひらめきが得られるはずです。

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