学生時代頑張ったことを聞く理由
面接時の質問には、面接官がその質問から何を判断したいのかという『質問の意図』が必ずあります。では学生時代のエピソードを聞く意図は、どこにあるのでしょうか?
【人柄を知りたい】
企業側がこの質問をする意図とはつまり、就活生の人柄を判断する材料を手に入れる点にあります。学生時代にどのような活動に取り組み、どのような行動を起こし、そこから何を得たのかを知ることで、ある程度の人柄が見えてくるのです。
居酒屋のアルバイトを頑張ったという話をする場合を例にとりましょう。
どうしてアルバイト先として居酒屋を選んだのか、その仕事の中でどのような役割を担ったのか、どんな仕事を頑張ったのかといった点について詳しく語ることができるでしょう。
これらの内容を通じて、自分の人柄を上手にアピールすることを心がけてください。
【チェックされるポイント】
学生時代の活動に関する質問で、企業側が特にチェックするポイントとしては、『問題解決能力』と『自社とのマッチング度合い』が挙げられます。
問題解決能力は、業界や企業、職種を問わず、共通して求められる能力の一つです。仕事上の問題には『正解』といえる解決方法はありません。そのため問題に対するアプローチの仕方や、どのような取り組みを行うかには、各人の個性が如実に表れます。
一方で、自社のカラーや募集している職種に合っている応募者なのか否かも、採用企業にとっては重要なチェックポイントです。
事前に企業の理念や経営方針などを正確に把握して、そのカラーに合うように話を組み立てる工夫が求められます。
頑張ったことがないという人でも大丈夫
学生時代を振り返っても特に頑張ったことがない場合、学生時代の活動に関する質問にはどのように対処すればいいのでしょうか?
【特別な経験である必要はない】
学生時代の活動に関する質問において、留学をした・ボランティア活動を頑張ったといった『華やかな活動』の有無を企業は知りたいのだ、と考えがちな就活生は多いですが、それは誤解です。
もちろん「所属していた部活動で全国大会優勝のメンバーだった」といった話は、面接の場でプラスに働くことが多いのは事実です。
しかしその理由は、全国大会で優勝したからではありません。企業が評価するのは、全国大会で優勝するために真剣に取り組んだあなたの努力や継続力、そしてチャレンジ精神なのです。
つまり、そうした点をエピソードの中でアピールできるのであれば、それが必ずしも華やかな活動である必要はないのです。
【頑張ったことの探し方】
「頑張ったことがない」と悩んでいる人の中には、他者から見れば十分に頑張ってきたと思えることでも、本人にとっては当たり前すぎてそれが「頑張った」の範疇に入るとは考えていないというケースが目立ちます。
例えば「ダイエットを頑張った」といった話は、一見すると就活の面接の場で話すのにふさわしい内容ではないと感じるかもしれません。
しかし期間を区切って目標を立て、必要な情報を収集し、目標達成のために自制をし、地道に継続を続けたことで目標を達成したならば、それは十分に「頑張った」といえるエピソードであり、あなたの人柄を十分に反映しているのです。
そうした日々の小さなエピソードを思い出すためには、日記やブログ、SNSへの投稿を振り返ってみるのも便利です。また自分が忘れていることも、家族や友人は印象的に覚えていることも多いので、周囲の人に聞き取りをすることも役立ちます。
【嘘のエピソードはNG】
学生時代の活動に関するエピソードがなかなか見つからないからと、友だちの話やインターネットで見かけた話などをいわば「盗用」して、自分のことのように面接の場で話す就活生もゼロではありません。
しかし面接官はまさに百戦錬磨です。そんな相手に盗用した付け焼き刃のエピソードが通じるはずはありません。掘り下げた質問をされれば、すぐに嘘がバレてしまいます。面接の場で嘘のエピソードを語るのはNGと肝に銘じましょう。
そしてもしエピソードそのものは真実だったとしても、少しでも自分を良く見せようと過度な誇張を加えることも避けてください。
面接官は、さまざまな切り口から就活生の人柄を判断しようとしています。仮にその場はうまく凌げたとしても、ほかの質問からメッキが剥がれ、その矛盾が面接官に不信感を与えかねません。
魅力的なエピソードにするコツ
同じ話題であっても、話の組み立て方により魅力的なストーリーにも、あまり印象に残らないエピソードにもなります。ここでは、魅力的なエピソードにするためのコツを解説します。
【求める人物像を把握する】
面接官は、就活生と自社がぴったりとマッチするかどうかを探っています。それだけにエピソードトークの中に自社とマッチしている部分を見つけられれば興味を示します。
そこで話を組み立てる前に必要なのが、企業の求める人物像を把握する作業です。
企業理念や社歴をチェックすれば、その企業の方向性や全体的なカラーを把握することができます。
さらに、新卒求人サイトやパンフレットなどに書かれている「求める人材像」をチェックしたり、OB、OG訪問で経験談や働く人の本音を聞いたりといった方法で、その企業がどんな人物像を求めているのか把握することはできるでしょう。
【数字など具体的な実績を出す】
「角栄節」と呼ばれたその説得力のある話し方で、人心掌握から外交交渉まで乗り切ったとされる故・田中角栄元首相は、自分の話に聴衆が信頼感を覚えるのは、数字をきちんと示しているからだと、インタビューなどで自ら語っています。
実際には、体験談の中でどのような部分を数字で示したらいいのか、迷うかもしれません。
しかし「○年間」「1日○時間」「○割減らした(増やした)」など、期間や成果を語るときに具体的な数字を入れるだけでも、話の説得力が格段とアップするのです。
【フレームワークに沿って作る】
話の組み立て方に迷った場合には、決められたフレームにエピソードを当てはめていくと、比較的容易に話を組み立てることができます。
下記に挙げる代表的なフレームワークを利用して、自分のエピソードについて見直してみましょう。
1. 何をやったのか(結論)
2. エピソードの前提となる情報(所属など)
3. どんな問題を抱えていたのか
4. 問題を解決しようと思った動機
5. 問題の原因をどのように特定したのか
6. 具体的にどのように行動を起こしたのか
7. 行動した結果どのような成果が上がったのか
8. その体験から何を学んだのか
OKな例文とNGな例文
最後にOK な例文とNGな例文を比較します。どのように話を組み立てればいいのか、具体的に検証していきましょう。
【OKな例文】
「私は学生時代、ホテルで深夜のフロントのアルバイトを2年間続けました。そのホテルは外国人観光客が中心で、室内の備品の使い方などに関する問い合わせの電話を頻繁に受けました。そのため英文で『よくある質問と回答』を作成しました。
このQ&Aは大変好評だっただけでなく、問い合わせの電話が減ったことで、自分たちの仕事の負担も軽減させられました。この経験を通じて、問い合わせやクレームにはサービス向上や業務改善のヒントが眠っていることを学びました」
この例文には、従事した具体的な年数、どんな問題がありどうやって解決し、その結果どういう成果を実現し、そこから何を学んだのかが織り込まれています。しかもこの例文は、フレームワークに当てはめれば比較的簡単に作ることができるでしょう。
【NGな例文】
「私は学生時代、テニスサークルの活動に打ち込みました。アルバイトは居酒屋のホール係で、最後にはホールの仕切りを任されるまでになりました。ゼミにも熱心に参加し、良い成績を修めました。
学生時代に全てのことに全力で打ち込んだ情熱は、御社でも必ず活かすことができると確信しています」
この例文の場合には、活動履歴を羅列しているだけで具体的なエピソードがないため、相手はそこから話し手の人柄や何を学んだのかを知ることができません。
話の切り口を一つに絞り、そこを深掘りして語る工夫が必要です。
学生時代に頑張ったことを見つけよう
学生時代の活動エピソードは、ほかの誰も経験していない特別な活動でなければアピールできないというわけではありません。
むしろ日常の何気ないエピソードの中にこそ、あなたの魅力を輝かせる体験が眠っています。それを自分の言葉で語ることが、面接官に好印象を与えることにつながることを知っておきましょう。
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